インフルエンザ新ワクチンに期待…近大が有効な免疫システム解明

9月27日(金)13時45分 リセマム

滞在型メモリーCD8T細胞の働き(イメージ)

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近畿大学医学部 免疫学教室講師・高村史記氏らの研究グループは、インフルエンザウイルス感染防御を担う「滞在型メモリーCD8T細胞」が、肺気道上皮において持続的に供給されていることを発見、その仕組みを解明し論文を発表した。今後さらに、CD8T細胞を感染局所に効果的に誘導・維持することができれば、あらゆるインフルエンザウイルス株に有効な新ワクチンの開発が可能になるという。

 現在のインフルエンザワクチンは、変異しやすいウイルス表面タンパク質を標的とするため、特定の型のウイルスにしか効果を持たない。また、ウイルス侵入門戸である呼吸器粘膜における免疫効果が期待できないため感染そのものを阻止することは不可能とされている。一方、ウイルス感染細胞を認識・破壊するTリンパ球「CD8T細胞」は、あらゆるウイルス株に共通するウイルス内部タンパク質を標的として感染細胞を直接破壊するため、その維持機構を解明し、呼吸器粘膜に効果的に誘導・維持することができれば、インフルエンザウイルス感染防御の有効な手段になると考えられている。

 メモリーCD8T細胞には、全身のリンパ、血液間を循環する「循環型」と、感染部位などの末梢神経に滞在し続け、再感染時に即座に効果を発揮し防御の最前線を担う「滞在型」がある。高村氏らの研究グループは、2016年に発表した先行研究において肺における滞在型メモリーCD8T細胞の蓄積部位を特定しており、さらに詳細な維持機構を解明することが期待されていた。

 今回研究グループは、ウイルスが最初に感染する肺気道上皮細胞間に存在する肺気道メモリーCD8T細胞に関して研究を進め、「肺気道環境はメモリーCD8T細胞の長期生存に適さないため、継続的に新しい細胞を補わないと防御に有効な細胞数を維持できないこと」「肺気道にメモリーCD8T細胞を持続供給しているのは循環系ではなく、肺実質内に存在するメモリーCD8T細胞の蓄積部位であること」「この細胞移行には、肺実質メモリーCD8T細胞に特徴的に発現する受容体が関わっていること」を発見。

 これにより、肺気道上皮の滞在型メモリーCD8T細胞が循環型とは完全に独立して長期維持されていることを立証。さらにその持続的供給機構を解明したという。

 研究グループにより、肺気道上皮にメモリーCD8T細胞を持続供給する仕組みが解明されたが、既存の全身免疫型ワクチンでは肺気道メモリーCD8T細胞を誘導することが困難であることも示されたという。そのため、今後さらにその維持機構の詳細を明らかにし、CD8T細胞を感染局所に効果的に誘導・維持する仕組みを解明することで、あらゆるインフルエンザウイルス株に有効な新しいワクチンの開発に大きな期待が寄せられる。

 今回の研究は、近畿大学医学部のほか、近畿大学薬学部、近畿大学アンチエイジングセンター、大阪大学、東京理科大学、理化学研究所、大阪大谷大学、米国エモリー大学、カリフォルニア大学、ペンシルベニア大学との共同研究によるもの。研究に関する論文2本は、2019年9月26日午後10時(日本時間)より、ロックフェラー大学出版局が発行する免疫学分野のトップジャーナル「Journal of Experimental Medicine」にオンライン掲載されている。

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