満月の夜に犯罪が増えるのは本当なのか?犯罪学者が考察した「満月と犯罪」の関係性

9月30日(日)20時30分 カラパイア

fantasy-3675577_640_e

 満月の夜は犯罪が増えるという説がある。

 確かに、ミステリアスな満月と犯罪という組み合わせは推理小説やSFフィクション作品にとって格好のネタとなる。

 実際に普段よりも逮捕者が多くなり、病院では入院患者が増え、子供も妙に落ち着きがなくなるとも言われており、 こうした話は新しいものではなく、大昔から伝えられている。

 だが満月が人間の行動に影響するという証拠はあるのだろうか?

 満月と犯罪の関係性についてはこれまでも様々な研究結果が報告されている。オーストラリア・ポンド大学の犯罪学准教授のウェイン・ペッセリック氏は、そこからこんな結論を導き出した。

・満月と犯罪の増加に関するこれまでの研究

 少々古いが、これに関する最も重要な研究の1つは、1985年に発表された37本の公開・非公開研究を調べたメタ解析だ。

 そして、ここでは、満月の間に人の行動が普段よりもおかしくなるとは言い難いと結論づけられている。著者は次のように述べている。

 「満月と行動との間にあるとされる関係は、不適切な分析(中略)ならびに偶然による逸脱を月の影響の証拠として受け入れたがる気持ちが原因である可能性がある」

 より最近でもこれに関する研究が2本ある。

 1つは2009年の研究で、1999〜2005年にドイツで発生した悪質な暴行事件23,000件以上が調べられた。だが、やはり事件の数と月相とに関係は見出されなかった。

 もう1つは2016年の研究で、2014年にアメリカ13州およびワシントンD.C.で発生した犯罪が調査された。ただし、この研究では屋内で発生したものと、屋外で発生したものを区別して分析が行われている。

 結果、屋内の犯罪については月との関係は見当たらなかった。

 しかし、屋外については、月の輝きがかなりの影響を与えていた。月が明るくなるにつれて、たしかに犯罪活動が増加していたのである。

iStock-957698688_e


・満月が犯罪に関係しているとしたら照明効果のみ

 これについて考えられる原因としては、「照明仮説(illumination hypothesis)」が挙げられるだろう。つまり、満月の明るさは、逮捕されるリスクには影響しないが、活動がしやすい程度には照らしてくれるので、犯罪者にとって都合がいいということだ。

 また明るい夜のほうが外出する人が多い可能性もある。要するに、狙われるかもしれない人の数が増えるわけだ。

 じつのところ、犯罪と満月との関係を説明しうるのは、犯罪のしやすさぐらいしかないということになる。つまり、満月になると普段よりも明るくなるので、ターゲットが見つかりやすく、犯罪に勤しむ不届き者が増えると考えられる。

5_e0


・信じたいという心が作り上げる「満月の神話」

 そもそも、なぜ未だに月が人を犯罪や反社会的行為に駆り立てるなどと信じられているのだろうか?

 それの答えは、本当だろうと思っていることに意識が向かいやすい人間の傾向にあるのだろう。

 たとえば、満月の晩、あなたはそれが人間の行動に影響を与えるかもしれないと予測したとする。すると、たまたまそれを見聞きした場合に、普段以上に意識が向かい、やはりと思い込むのである。認知心理学でいう確証バイアスというやつだ。

 確証バイアスが働くと、自分が信じたい情報ばかりを集め、反証する情報はまったく集めようとしないばかりか、あっても無視してしまう。

 しかし分からないこともある。

 だがなぜ月の影響は、いつも好ましくないものなのだろうか?

  仮に月が直接的な影響を与えていたのだとしても、親切や他人を思いやるような行為を増やしても(あるいは減らしても)いいではないか。これに関する説明はあからさまに欠けている。

 やはり私たちは、満月の晩に変身するオオカミ男のような伝承を心のどこかで信じているのかもしれない。

References:theconversation/ written by hiroching / edited by parumo

カラパイア

「犯罪」をもっと詳しく

「犯罪」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ