気持ちが抑えられない…「見捨てられ不安」とは?

10月6日(日)22時5分 All About

不安感が強いことで気持ちが不安定になり、大切な人との関係も揺らいでしまうことがあります。

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見捨てられ不安とは、信頼する人が離れていくことへの強い不安

恋人をいつもそばに感じていないと、不安でいっぱいになる。仲のよい友だちに別の友だちができると、たまらなく寂しくなる……。

このように、信頼している人との間に少しでも距離を感じると、見捨てられてしまったような不安が高まり、いてもたってもいられない気持ちになることを、「見捨てられ不安」といいます。

たとえば、恋人や友達に頻繁にメッセージを送っているのに、すぐに返信をくれないので強く心配してしまう。相手を失うのが怖くて、相手の都合や言い分にいつも従ってしまう。少しでも批判されると、信頼が裏切られたような気持ちになり、深く傷ついてしまう。

「見捨てられ不安」が強い場合、このような考え方にとらわれてしまうことがあり、信頼している人との人間関係の難しさを感じることが少なくありません。

見捨てられ不安の原因……幼いころから続いている思いぐせ

では、「見捨てられ不安」はなぜ生じるのでしょう?

見捨てられ不安のルーツは、幼いころに親など信頼している大人との関係の中で生じた不安だといわれています。一人でいられる自信や心の安定感は、情緒が大きく育っていく子どものころに、そばにいてくれる親しい大人との関係の中で培われていきます。

赤ちゃんは、泣いたときにすぐに抱っこされたり、世話をしてもらえることで安心を感じます。歩き始めた子どもは見守られることで、安心して外の世界に足を伸ばしていきます。

かんしゃくを起こした子は苛立ちを受け止められることで、「素直な感情を出しても大丈夫」と感じます。集団の中にいる子は、安心して過ごせる家庭などの場があることによって、外でも勇気を出して活動することができます。

「相手を失いたくない」という不安から、相手を束縛してしまうことも

人が成長していく中で、「私の大切な人は、離れていてもいつも自分を支えて、見守っていてくれる。だから、私は一人でいても大丈夫」という実感を持つことが、自立的に成長するためには必要です。

しかし、思いを持てないまま大きくなると、心のどこかに「大切な人との関係が始まっても、いつか見捨てられるのではないか」という不安がつきまとってしまうことがあります。

すると、たとえば好きな人ができたときに、「この人に見捨てられたくない」という不安が強くなり、その人を失うことを過剰に恐れてしまうことがあります。その気持ちのまま相手を束縛すると、相手は付き合いを負担に感じ、距離ができてしまうことも少なくありません。

それでは、見捨てられ不安はどのように克服できるのでしょうか? 大切なのは、自分自身の思考と考え方や行動をよく見つめ直してみることです。

ここでは、お勧めしたい3つの対処方法をお知らせします。

対処1:不安の背景を知る

一つ目は、不安の背景を知ることです。

前述した通り、見捨てられ不安は、幼いころから続いていることが多いといわれています。幼いころの自分を振り返ってみましょう。つらかったとき、大切な人にどのように接してほしかったですか? どのような言葉をかけてほしかったですか?

まずは、自分の不安な気持ちがどこから来ているのか、不安を解消するためにどんなかかわりを求めていたのか、じっくりと自分の気持ちを見つめてみましょう。

対処2:不安との折り合いをつける

二つ目は不安との折り合いをつけることです。

見捨てられ不安が強いと、「不安な気持ちを今すぐに解消したい」という欲求が高まることがあります。そのため、友だちや恋人に今すぐに不安を受け止めてほしくなります。

しかし、こうした行動を繰り返していると、相手はその気持ちに対応しきれなくなりますし、自分自身も不安とうまく折り合いをつけられなれなくなってしまいます。

では、不安な気持ちが高まったときには、どうしたらよいのでしょう? たとえば、他のことに気持ちを向けて不安をやりすごしてみること。また、しばらくの間、その気持ちを抱えてみること。こうしたことを心がけてみましょう。

友だちや恋人と話をするときにも、「今日は1時間だけ、話をしようね」というように、あらかじめ話す時間の上限を設定しましょう。そして、「まだ話し足りない」と思っても、時間が来たら予定通りに話を終えること。

また、「今すぐ会いたい!」と思っても、次回会う約束をしている日までは、がまんしてみましょう。

対処3:心の中の「子どもの私」を安心させる

三つ目は、「子どもの私」の不安を安心させることです。

見捨てられ不安は、心の中に残る未消化な「子どもの私」が感じている不安だといわれています。「子どもの私」が持っている、「見捨てないで!」「私だけを見て!」「勝手にどこかにいかないで!」といった感情だと考えられています。

いてもたってもいられない不安を感じたら、「この不安は『子どもの私』が感じている不安なんだ」と、自分の心に言い聞かせてみましょう。そして、「心配しなくても大丈夫」「寂しかったね。でも、心配いらないよ」というように、自分自身で「子どもの私」に語りかけて安心させてあげるとよいでしょう。

そして、目の前の不安を抱えられたときには、「よくがまんできたね」と「子どもの私」に語りかけるとよいでしょう。

見捨てられ不安が強い場合、カウンセラーや医師に相談しましょう

このように、見捨てられ不安を抱えている人は不安の背景を知り、不安との折り合いをつけ、「子どもの私」を安心させる、という3つのポイントをできることからやってみるとよいでしょう。

ただし、自分一人だけで行ってもなかなかうまくいかなかったり、周りの人と行っても葛藤や混乱が生じて、うまくいかないこともあります。そうした場合、見捨てられ不安に詳しいカウンセラーに相談するのも一つの方法です。

また、コントロールできそうもない不安に襲われたり、自制できそうもない場合には、メンタルクリニックを受診し、医師に治療やカウンセリングを検討してもらうとよいでしょう。

このように、見捨てられ不安は長年続いてきた思いぐせです。ぜひ、自分の考え方と行動を振り返り、できるところからその不安をやわらげていくとよいと思います。
(文:大美賀 直子(公認心理師・産業カウンセラー))

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