ロンドンで知った「Parent Tech」への関心の高まり—現地イベントに参加してみた

10月8日(日)22時5分 lifehacker

"Parent Tech"って知っていましたか?

こんにちは、妻のMBA留学に伴い、育休を取得しロンドンで主夫をしている豊田直紀です。渡英してから約2カ月が経過し、だいぶこちらの生活にも慣れてきました。日照時間も少しずつ短くなってきており、すでに冬を感じる気候です。娘は生まれて4カ月となり、おかげさまですくすくと育っています。私自身は、家事や育児の大変さを実感しながらも主夫生活を楽しんでいます(娘を寝かしつけながら、自分が先に寝落ちしそうになるということがしょっちゅうです。むしろ、ほぼ毎日です…)。

さて今回の投稿では、ロンドンのParent Tech事情についてお伝えできればと思います。

Parent Techってなんだ?"Parent Tech"という言葉、あまりなじみがないかもしれません。私自身もこれまで一度も耳にしたことがありませんでしたが、ロンドンに住み始めて数週間後、たまたまみた新聞記事でその言葉を知りました。日本ではFintechやHRtechという言葉はかなり聞くようになってきましたが、それらと同様に出産や育児に関連した既存領域に対して、テクノロジーを活用して新しい価値を創っていこうとする動きを総称してParent Techという言葉が使われているようなのです。

デジタルネイティブと呼ばれるミレニアル世代(1980年代から2000年初頭に生まれた世代)の人たちが、自身も子供を生み親となるというケースが増えてきている背景もあり、子供に関する教育・健康・育児に対する考えも変化してきているのもこのParent Techの流れを一押ししていると言えます。

Parent Techサービスを盛り上げるためのコミュニティもParent Techという言葉を知ってから、興味を持ち始め新聞やネットで色々と調べてみると"UK Parent Tech Community"というコミュニティがあることを知りました。UK Parent Tech Communityは、Hina Zamanさんという方(自身もParent Techサービスを立ち上げており、1児の母でもあります)がParent Tech関連サービスを展開するスタートアップ同士がアイデアを共有したり、ときには事業上の連携をしていくことで、それぞれの顧客に対する提供価値を向上させ、業界全体を一緒に盛り上げていくことを目的に2016年につくったコミュニティだそうです。

基本的な活動としては大きく2つで、ゲストスピーカーを招待して事例やノウハウを共有する定期イベントとFacebookグループ上での情報共有(いずれも参加費無料)。このコミュニティを見つけた1週間後にちょうど定例イベントが開催されるということで、娘と一緒に参加してきました。偶然にも妻の学校がその日は授業がなかったため家族3人で参加しました。


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Photo: Naoki Toyota
今回私が参加した定例イベントは、"Accelerating Customer Growth"がテーマで、どうやって自分たちの顧客を増やしていくかということをHoopという会社の創業者が自身の経験を踏まえながらHinaさんと対談形式で話をしてくれました。


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Image: Hoop
Hoopは子供のお出かけ情報アプリを提供していて、子供と一緒に遊びにいける施設やイベントを探すことができます。またアプリ上でイベントの予約や決済を行なうこともできます。

私自身も、日本ではコモリブというお出かけ情報アプリのヘビーユーザーだったのですが、ロンドンに来たときに同じようなサービスがないかを探して見つけたのがHoopでした。最近ではこのサービスをチェックして毎週末の予定を決めるということが習慣になってきています。こちらでできた主夫(婦)の友達も聞いてみたらよく利用しているとのことでした。


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UK Parent Tech Communityを立ち上げたHina Zamanさんと
Photo: Naoki Toyota
今回のイベントは1時間程の対談形式でのセッションがあり、その後懇親会という流れでした。懇親会でもお互いに情報をオープンにして活発にディスカッションがなされていることが印象的でした。私自身も娘を抱っこしながら挨拶して周り、これからサービスを立ち上げようとしている人がユーザーのモニターになってくれる親子を探していたので立候補することにしました。今後も定期的にイベントが開催されるようなので、娘と一緒にできる限り参加していきたいと思います。

男性の育児休暇に対する考えは、イギリスもまだまだこれから?ロンドンでは父親がバキーや抱っこ紐で子供と一緒に歩いている姿をよく見かけます。イギリスの出生率は1.81(2016年)と日本の1.44(2016年)と比較して高かったり、医療費が無料だったりと育児に対する文化や制度が一見整っているようにみえるのですが、一概にもそうとは言えないようです。2015年4月に"Shared Parental Leave"という制度ができ、産後50週(2週間の産後休暇除く)をパートナーにも共有することができるようになったのですが、2016年4月から2017年3月までこの制度を利用したのはわずか1%だったようです。制度自体の内容にも見直しの必要があるかと思いますが、男性が中長期的な育児休暇を取得することは社会的にみてあまりよく思われないと思い込んでしまっている(特にキャリアに対する影響が大きいと考えてしまう)という"Cultural stigma"(意訳すると文化的な固定概念というところでしょうか)の蔓延が要因のひとつに挙げられています。

個人的には、親である我々自身が生きがいや働きがいを持ちながら、どうやって子供を育てていくかを考え、その手段のひとつとして父親が育児休暇を取得するという選択肢があるということだと思っていますので、男性の育児休暇取得率をあげることだけがすべてではないと思います。パートナーと話し合って、母親が育児に専念し、父親が会社で働くというスタイルがその家族にとって最適なことであれば、それは誰からも否定されるものではありません。もちろんお互いを理解するという意味で、育児休暇を通じて育児の大変さを経験するということは良いことだと思います。

とは言いながら、子供を育てながら自身やパートナーの生きがいや働きがいを持つということは、なかなか大変なことです。だからこそ、これまで文明が文化を進化させてきたように、今回参加したようなParent Techが盛り上がり、便利なサービスが生み出されていくことで、気軽に育児休暇が取得できたり、育児の負担が減ったりしていくんだと思います。


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Photo: Naoki Toyota
そういう意味でも、今回縁があって参加したParent Tech comunityという存在は、今後世の中の生き方や働き方が変わっていく上でとても大きな価値があるもののだなと感じました。私自身も娘を持つひとりの親として、また主夫として育児に関わる身として何かしらの形でParent Techに関わっていけたらと考えています。

「育休とってロンドンで主夫」の過去記事はこちら

きっかけは妻のMBA留学。社内初の男性育休を取得してロンドンで主夫をはじめました

【著者プロフィール】豊田直紀(とよた・なおき)


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1984年4月生まれ、慶應義塾総合政策学部卒業。学生時代は2016年東京オリンピックの招致活動に従事。2008年、株式会社ビズリーチの創業期に学生インターンとして参画。2009年4月、楽天株式会社に新卒として入社し、2013年3月に株式会社ビズリーチに転職、現在に至る。趣味はサーフィンとトレイルランニング。

Photo: Naoki Toyota

Image: Hoop

Reference: Shared Parental Leave and Pay - GOV.UK , EMW

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