片頭痛やだるさ…多くの人が悩む気象病のセルフチェック【薬剤師解説】

2023年10月11日(水)11時30分 ココカラネクスト

 気象病は、天候の変化によって起こるからだの不調のこと。近年は温暖化の影響などもあり、台風や昔とは違った形で気候変動の影響が多くあらわれています。そのため雨の日は眠くてやる気が起きない、台風が近づくと頭が痛くなるなど、天候によって体調や気分が左右される気象病に悩まされる人が増えているとされます。

また、このような事象はときに心の問題とされていましたが、近年の研究で気候変動と体調変化の関係が明らかになってきました。この記事では、気象病が起きるメカニズムと対策を、薬剤師がご紹介します。


1. 気象病の主な原因は「気圧」

気象病の原因は、主に気圧の変化だとされています。梅雨や台風、豪雨などで低気圧になると、体内で気圧を感じるセンサーである内耳(ないじ)が脳に信号を送り、自律神経を刺激します。刺激をうけた自律神経は、血管を過剰に拡張・収縮させるため、血管周辺の神経に影響を与えます。この血管の拡張が、頭痛やめまい、だるさなど、原因不明の不調の原因だといわれているのです。(※1)

気圧のほかにも、寒暖差、湿度、温度などからの影響を受ける可能性もあります。これらの要素が複雑に重なり合うことで、さまざまな症状を引き起こすとされています。

2.気象病の主な症状

気象病の症状として、次のようなものが挙げられます。

・だるさ
・頭痛
・眠気
・めまい
・関節痛
・耳鳴り
・むくみ
・気分の低下

持病の症状が重くなったり、過去のけがの古傷が痛んだりする場合もあります。狭心症や喘息、うつ病などの疾患を持っている方は天候による症状の悪化に注意が必要です。

3.あなたは気象病?セルフチェック

①天気が変わるときに体調が悪くなる
②雨が降る前や天候が変わることを予測できる
③耳鳴りやめまいがよく起こる
④首や肩が凝る・首の外傷歴がある
⑤姿勢が悪く、猫背や反り腰である
⑥乗り物酔いしやすい
⑦1日平均4時間以上のデスクワークをしている(PCやスマホも含む)
⑧運動不足でストレッチや柔軟をあまりしない
⑨歯ぎしり・食いしばり・顎関節症などがある
⑩冷暖房が効いている環境にいる時間が長い
⑪日常的に精神的なストレスを感じている
⑫更年期障害を疑ったことがある(※男女共通)

上記チェックリストのうち5つ以上当てはまる場合は、気象病の可能性が高いとされています。天気予報をチェックしながら対策をとりましょう。(※2)

4.薬剤師が教える気象病のセルフケア3つ

気象病は、自分のからだの傾向を把握したり、心身のバランスを整えることが重要です。ここからは、具体的な対策を3つ紹介します。

4-1.痛み日記
痛み日記は、気候と体調を記録する日記です。気象の変化が自分のからだとどのような関係にあるかの傾向をつかむために記録します。

その日の天気・気温・気圧と、痛みの強さや症状があらわれたタイミングなどを書きためましょう。1か月ほど継続すれば、自分のからだのリズムを把握でき、不調が起こりそうなタイミングを見計らって対策がとれるようになります。

4-2 ツボ
自律神経を整えるツボを刺激してみましょう。次の3つのツボが効果的です。

内関(ないかん):手首の内側にある3本のしわから、ひじの方向に指3本分の位置。

翳風(えいふう):耳の裏側。口を開けたときにくぼみができる位置。

百会(ひゃくえ):頭のてっぺん。耳の上に手のひらの付け根を当てて、両手で頭全体を包み込んだときに中指同士が当たる位置。

4-3. 漢方薬
気圧の変化による頭痛やめまいの解消には、漢方薬もおすすめです。病院でも、低気圧による頭痛やめまいなどの症状に漢方薬が処方されています。

気象病の原因は、気圧や気温の変化による自律神経や水分代謝の乱れと考えられています。対策には、「体内の水分バランスを調整する」「血流をよくして自律神経の乱れを整える」といった漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。

五苓散(ごれいさん):余分な水分を体外に排出することで、頭痛やめまい、むくみの解消に用いられる漢方薬です。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):からだにたまった余分な水分を尿や発汗などで体外に排出することで、耳鳴りやめまい、立ちくらみに用いられる漢方薬です。

ただし、漢方薬は同じ症状であっても個々の体質に合っていないと効果を発揮しません。漢方薬を選ぶときは、専門知識のある医師や薬剤師に相談して選んでもらうのが大切です。最近ではオンラインで漢方薬の相談ができる「あんしん漢方」のようなサービスも注目されています。スマホひとつで相談でき、漢方薬を自宅へ郵送してくれるのでとても便利です。

●あんしん漢方


5.天候と上手に付き合って気象病対策を

天候に合わせて対策がとれるようになれば、今よりも快適に過ごせる日が増えます。まずは自分のからだをよく知り、自分に合った対策方法を試してみてください。

参考サイト
(※1)「からだは天気の影響を受けています!」独立行政法人 労働者健康安全機構 茨城産業保健総合支援センター
https://ibarakis.johas.go.jp/archives/12659
(※2)「気象病のチェックリスト」せたがや内科・神経科クリニック
https://setagayanaika.com/blog/53

[文:あんしん漢方]

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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