独房に監禁された受刑者は釈放後1年以内に死亡する確率がアップするという研究結果が報告される(米研究)

10月12日(土)20時30分 カラパイア

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 アメリカでは、数千人もの受刑者が独房に何年も放り込まれている。その経験はトラウマとなり、釈放後の受刑者の心に暗い影を落としているようだ。

 社会復帰するときにもかなりの影響があるらしいのだが・・・一体どれほどのものなのだろうか?

 『JAMA Network Open』(10月4日付)に、それにまつわる研究が掲載されていた。

 正式名称・拘束室(restrictive housing)と呼ばれる部屋で少しでも過ごしたことのある受刑者はそうでない受刑者に比べて、死因を問わず「釈放されてから1年以内に死亡する確率」が有意に高いのだとか。
・拘束室で過ごした受刑者は死亡率も再収監率も高いことが判明

 米ノースカロライナ大学の研究グループは、州の公安局から提供された2000〜2015年の受刑者のデータを分析。

 その結果、拘束室で過ごしたことのある受刑者は、釈放されてから1年以内に死ぬ確率がそうでない受刑者よりも24%高いことが明らかになった。

 死因別に見てみると、自殺で死ぬ確率が78%、他殺で死ぬ確率が54%高かった。

 そして釈放後2週間以内にオピオイド系麻薬の過剰摂取で死ぬ確率にいたっては、127%も高いという結果だった。これは特に白人に当てはまるという。

 さらに拘束室で14日以上過ごしていた場合、再収監される可能性が高まることまで判明している。

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・周囲からの孤立など受刑者にストレスフルな状況がトラウマに

 この研究は、拘束室が社会復帰の段階での死亡を引き起こす「要因」である可能性を示してはいるが、その「理由」についてははっきりと述べていない。

 しかし拘束室に入れば、キングサイズのベッド程度の広さしかない独房で1日22〜24時間過ごすことになる。

 周囲からの孤立、感覚の遮断、体を動かせないなど、受刑者にとってはかなりストレスを受ける状況であろう。

 拘束室の受刑者にインタビューをした結果によれば、その間、妄想・幻覚・パニック発作・自殺衝動に襲われるらしい。

 また他人との付き合い方や自分が誰であるのかといったことまで忘れてしまうそうだ。

 現在、バージニア州の矯正局は、拘束室に600日以上閉じ込められたことがある男性から訴えられている。

 その男性は体重が13kg落ち、話すことができなくなり、自分の名前すらも思い出せなくなってしまったという。

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・拷問とみなして完全に廃止するのかそれともあり方を見直すのか

 今アメリカではこうした拘束室のルールを見直そうという機運が高まっている。

 しかし、具体的な改正案についてはさまざまな意見がある。

 それを拷問とみなし完全に廃止すべきだという意見がある一方、より段階的なやり方や代替的なやり方が望ましいという意見もあり、見直し支持派の見解も一様ではない。

 2015年、国連は通称「マンデラ・ルール(被拘禁者処遇最低基準規則)」を承認。法的な拘束力はないが、何人たりとも独房に15日を超えて監禁されるべきではない旨が表明された。

 2019年7月の時点で、アメリカの8州で拘束室の利用に制限を加える規制が導入されている。

References:JAMA Network Open/ Inverseなど / written by hiroching / edited by usagi

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