ファミマ「家電6割引き」でバイト確保に「賃金上げろ」の声続出…本部に伝えてみた

10月14日(日)9時50分 弁護士ドットコム

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人手不足が叫ばれるコンビニ業界。スタッフを集めるため、さまざまな策が講じられている。10月10日の日経新聞は、ファミリーマートの取り組みを紹介。10月下旬から全国20万人強のスタッフを対象に、アイリスオーヤマの家電商品を最大6割引で買える制度を導入するという。


セブンイレブンやローソンでも、スタッフ確保のための制度が導入されているようだが、共通するのは「賃金以外の待遇改善」ということ。ネットからは「どうしてそこまで賃金をあげたくないのか」「賃金を増やせよ」とツッコミを食らっている。


弁護士ドットコムニュースが「賃金は上げないんですか」と質問したところ、ファミマは「賃金はオーナーが決めること」と回答。「その代わりに本部はサポート的な取り組みをしている」という。(編集部・園田昌也)


●「スタッフの賃金を上げろ」ではなく「チャージ率を下げろ」?

「スタッフの賃金を上げろ」というネットの言葉は、どこに向けられているのかーー。もしも本部だとしたら、それは誤解だ。


コンビニはほとんどがフランチャイズ(FC)店舗。ファミマが言うように、時給をいくらにするかは「独立した事業者」であるオーナーの裁量だ。


もしも本部に言うとしたら「加盟店のチャージ率(ロイヤリティー)を下げろ」や「チャージの計算に人件費も含めろ」だろう。


コンビニ業界のチャージ率は平均60%ほど。各店舗は、売上から売れた商品の仕入れ値を引いた額(純粋粗利)のうち、60%を本部に差し出し、残る40%から人件費などの経費を払う。最後に残るのがオーナーの収入だが、最低賃金の引き上げなどで人件費が高騰している。


●時給を上げるに上げられない現場

24時間営業だと、平均的な店舗でも時給が5円あがると人件費は年間10万円ほど増える。一方、最低賃金の全国平均は、この5年で、764円(2013年度)から874円(2018年度)へと、110円もアップしている。



多くの店舗は夫婦で営業しており、単純計算すると、年間の世帯収入600万円だったのが、400万円にダウンするくらいのインパクトだ。それではやっていけないので、多くの店舗でオーナー夫妻が休みなく働き、人件費を節約している。


【参考記事】「最低賃金」アップで24時間「コンビニオーナー」から悲鳴、本部の支援乏しく(https://www.bengo4.com/c_5/n_8617/)


時給を上げたくても上げられない。そして時給が見劣りするため人が寄りつかず、さらに自身の労働時間が増えるという悪循環に陥っているオーナーが少なくない。


●本部もサポートはしているが…チャージ率は手付かず

本部も、現場の労働を軽減するための施策はとっている。ファミマでも利益率が高い商品の開発や、廃棄商品の本部負担を増やすなどしているという。


しかし、本部収入の大部分を占めるチャージ料に手がつけられる気配はない。むしろ、ファミマとローソンは新規の契約からチャージ率を上げている。


2017年にセブンは1%下げたが、これについても、同業他社と比べて元々セブンの店舗は売上が高く、チャージ率も高いという事情があった。ちなみに、あるセブンのオーナーによると、チャージ率が1%下がったことで、店舗の取り分が月6〜7万円(年70〜80万円)ほど増えたという。


●オーナー「過労死ラインの2倍働いている」

兵庫県内のファミマ店舗オーナー・酒井孝典さんは、家電を割引するというファミマの施策について、「福利厚生としてはよいと思います。スタッフの間でも『安い』と話題です」と評価する。一方で、抜本的な待遇改善にはつながらないと見る。



酒井さんは、オーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」の執行委員長でもある。


「地域や店舗によって売上が違うので、一律のチャージ引き下げを疑問視する意見もあります。そうであれば、オーナーが過労死ラインを超える働き方をしなくても、なんとか暮らせる程度の水準まで、『最低保障』を引き上げるという考え方もあります」


最低保障とは、店舗の年間総売上が一定額に達しなかったとき、本部が補填してくれる仕組みのことだ。


ユニオンでは、オーナーの労働環境の改善をめぐり、セブンとファミマに対し、団体交渉を求めている。本部と店舗が共存共栄しなければ、コンビニシステムを維持できないと考えるからだ。


一方、本部側は、ユニオンを労働組合と認めず、交渉を拒否している。早ければ、年内にも中央労働委員会で、その是非に判断が下される見通しだ。


なお、酒井さんの店舗では、最低賃金が上がっているのに、5年前に比べて人件費が下がったという。一体なぜか。酒井さんの労働時間は現在、月300〜350時間ほど。5年前より50時間以上増やしている。残業換算すると約120〜170時間。それでも収入は増えず、年収は300万円に届かない。


「過労死ラインの2倍」ーー。酒井さんが自己紹介するときの決まり文句になっている。


(弁護士ドットコムニュース)

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