裁量労働制で働く人のリアル「始業時刻を過ぎると減給」「割増賃金が一切支払われない」
2018年10月16日(火)7時0分 キャリコネニュース
労働時間を一定の時間とみなし、出退勤や労働時間帯を個人で管理する「裁量労働制」。労働者が効率的に働き、正当に評価されるという点では魅力的な働き方だ。しかし実際は、みなし労働時間と実労働時間があまりにかけ離れ、長時間労働が蔓延している職場も多い。
企業口コミサイト「キャリコネ」には、裁量労働制の現場で働く人々のリアルな声が寄せられている。(※参照元 キャリコネ「裁量労働」)
「労基法はまったく遵守されていない」 横行する名ばかり裁量労働
そもそも「裁量労働制」とは、あらかじめ労使で決めたみなし労働時間を設定し、出退勤時間や労働時間の配分が個人に委ねられる制度だ。みなし労働時間が1日8時間の場合、1日に6時間働いても10時間働いても、「1日8時間働いた」とみなされる。研究職やソフトウェア開発、マスコミ、弁護士などを対象とした「専門業務型」と、一般企業の本社などで企画立案・調査業務に携わる人が対象になる「企画業務型」がある。
いつでも好きな時間に働くことができると思われがちだが、「裁量労働制」にも休日はある。休日出勤した分は、休日手当が支払われなければならない。また、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合にも、企業は割増賃金を支払う必要がある。
しかし「キャリコネ」に寄せられた口コミを見てみると、本来のルールとは違う名ばかりの「裁量労働制」があるようだ。
「裁量労働制と言っているにもかかわらず、9時始業時間を超えると、給料から遅刻分を引かれる」(ディレクター 30代後半女性 正社員 年収350万円)
「裁量労働制を取っているが、22時を過ぎての割増賃金や休日出勤の割増賃金は一切支払われないなど、労働基準法はまったく遵守されていない」(会計コンサルタント 30代前半男性 正社員 年収550万円)
「決められた始業時刻を過ぎると給料を差し引かれる」、「割増賃金や休日手当がつかない」などの現状では、単純に「長時間労働、サービス残業」になってしまっている。
「残業80時間の人と0時間の人の給料が同じ」不公平感が募る職場
「裁量労働=残業し放題の風潮がある」(システムエンジニア 40代前半男性 正社員 年収600万円)
「ほぼ強制的に裁量労働制の勤務体系をとらされるため、残業時間の概念がない。部署により、残業80時間の人と0時間の人の給料が同じ。仕事量が多く定時までに捌けない人、会社のためにと遅くまでコツコツと働く人から見れば、不公平感は否めない」(研究開発 20代後半男性 正社員 年収430万円)
「一般職としての採用でしたが、裁量労働制でした。労働者からすると、裁量労働制のデメリットが最大限に出ていました。管理職が業務量をコントロールすることなく、来た仕事は振りやすい人間にやっとけ、と振るだけ。1日の残業はどれだけやっても残業時間には直結せず、産業医面談もほとんどありませんでした」(プロジェクトリーダー 30代前半男性 正社員 年収650万円)
「裁量労働制」の一番の問題点は、実労働時間とみなし時間がかけ離れ、長時間労働が蔓延することだ。
「個人の管理で効率良く仕事ができる」というのは名ばかりで、実際は「固定給で長時間労働させられている」という現場も多い。まじめに大量の業務をこなす人もいれば、給料が変わらないからと仕事をしない人も出てくるだろう。その仕事がまた別の人に降りかかれば、不公平感の連鎖で職場の雰囲気は悪くなってしまう。
長時間労働になりがちな「裁量労働制」だからこそ、取り入れる企業側はルールを明確にする必要がある。残業代を大幅に抑え労働者をタダ働きさせるために使われてはいけない。(※参照元 キャリコネ「裁量労働」)