新たに承認された皮膚炎治療薬に思わぬ発毛効果。全頭性脱毛症の少女の髪の毛が劇的に生える(米研究)

10月18日(木)9時0分 カラパイア

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 新開発の皮膚炎の治療薬に意外な効果が隠されていた。長い間。全頭性脱毛症を患っていたある少女の髪の毛が劇的に生えてきたのだ。

 治療にあたった医師らは、なぜ生えてきたのか原因を突き止めることができていないが、この副作用がほかの人でも同様に現れるのなら、自己免疫疾患による脱毛症の待望の治療薬が開発されるかもしれない。

・新たに承認された皮膚炎治療薬

 この少女は2歳のときから髪がなかった。これまでどんな薬を試しても髪の毛に対する効果が得られなかった。

 ところが、2017年米国食品医薬品局で新たに認可された、アトピー性皮膚炎のようなひどい皮膚炎を緩和する治療薬デュピルマブ(Dupilumab)を使用したところ、思わぬ発毛効果が得られたという。


・予期せぬ発毛効果

 アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患になりやすく、自分自身の正常な細胞や組織にまで過剰に反応し攻撃を加えてしまう。

 それは健康な毛包に及ぶこともあり、これまでの研究では、アトピー性皮膚炎と全頭性脱毛症に関係があることや、皮膚炎のある人は、禿げやすいことが明らかになっていた。

 しかし、それらが関係している疾患なのだとしても、一方に対する治療薬が他方に効くとは限らない。

 今回の患者は現在13歳で、生後7ヶ月のときから過剰な反応を示す免疫系を抑えるために、いくつもの薬を服用してきた経歴がある。しかし、そのような努力にもかかわらず、思うような効果は得られなかった。
 
 1つや2つは皮膚炎を多少緩和する効果のあるものもあったが、それらが数年後に発症する抜け毛を治すことはなかった。
 
 ところがデュピルマブは効いたのだ。注射を始めてから6週もすると皮膚炎の症状が和らぎ始め、しかも頭にはうっすらとまばらに産毛まで生えてきた。

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デュピルマブでの治療を開始してから6週間後、患者の頭皮に産毛のような細かい毛が現れる。
image credit:American Medical Association/JAMA


 7ヶ月後、産毛は色素がつくまで成長した。
 そして11か月後、ほぼ頭全体から毛髪が生えてきた。

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11か月後、色素沈着していた頭皮全体から毛髪が生えてくる
image credit:American Medical Association/JAMA

 毛が生えた原因はデュピルマブだと考えられた。なぜなら、保険の都合でしばらく投薬が中断されると、新しく生えてきた毛が抜け始めたからだ。

 「現時点では、ドゥピルマブがほかの患者でも発毛効果を発揮するか分かりません。でも、ひどい皮膚炎のある患者や円形脱毛症の患者などにも有効ではないかと睨んでいます」とマサチューセッツ総合病院のマリアンナ・マクレデス・セナ氏は話す。

 その発毛効果を確かめるため、臨床試験の許可もすでに申請されているそうだ。

 この研究は『JAMA Dermatology』に掲載された。

 今日流通している薬の中には、偶然により発見されたものがある。例えばバリウムやバイアグラは、別の症状を治療するために開発していたのに、本来の狙いとは違う薬効が明らかになったものだ。

 もし臨床試験で、その発毛効果が万人に有効だという成果が得られたら、もう後がないというギリギリで踏みとどまっている人たちの救世主となるかもしれない。

References:medicalxpress/ written by hiroching / edited by parumo

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