酒税法改正でビールがより身近になった今こそ知りたい「ラガービール」ってどんなビール?

2020年10月19日(月)10時50分 食楽web


10年ぶりのリニューアルとなったキリンラガービール。パッケージもより本格感、品質感のあるデザインに | 食楽web

 酒税法が改正されてはや半月が経ちました。価格が下がり買い求めやすくなったことで、久々に「ビール回帰」を果たした人も多いのではないでしょうか。そして、そんな絶妙なタイミングでリニューアルされたのが、「キリンラガービール」です。

 ところでラガービールといえば、昔からの根強いファンがいる「クラシカルなビール」という印象がありませんか? でもちょっとお待ちあれ。そもそもラガービールって一体どんなビールを指すのでしょうか? そこで今回は、知っているようで意外と知らない「ラガービール」についてご紹介したいと思います。

ラガービールとは「下面発酵」で造られたビール全般のこと


ビールは発酵のタイプにより、上面発酵タイプの「エール」と下面発酵タイプの「ラガー」に大別される

 ラガービールを語るには、まずはビールの種類に触れなければなりません。ビールは、原料の一つである酵母の種類により、「上面発酵」、「下面発酵」、あと現在は少数ですが「自然発酵」に分類されます。

 まず「上面発酵」は、発酵が進むと酵母が麦汁の表面に浮いてくるタイプのもので、いわゆる「エールビール」と呼ばれています。英国などで主流のビールで、その歴史は古く、紀元前に遡ります。

 ここ数年流行っているクラフトビールは、エールタイプが多いですよね。それに対して、発酵により酵母がタンクの底に沈むものが「下面発酵」。このタイプの酵母が発見されたのは意外に新しく、中世以降といわれています。実はこの酵母こそ「ラガー酵母」であり、下面発酵で造られたビールを“ラガービール”と呼ぶのです。クラシカルなビールと思いきや、むしろエールタイプより新しいものなんですね。

 ちなみに、明治から現在に至るまで、日本で主流となってきたのはこのラガータイプですが、これには理由があります。ビールが本格的に日本に上陸したのは明治時代。当時、西洋化のお手本としたのがドイツでしたが、そのドイツで主流だったのがラガービールだったからと言われています。


ジャパン・ブルワリー・カンパニー設立時の工場(左)と1888年発売当時のラベル

 実際、キリンビールの前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーが本格的な国産ビールを造ろうと、醸造技師などを招いたのもドイツからでした。そして1888年に後のキリンラガービールとなる「キリンビール」が誕生します。

 それだけに、130年もの歴史がある「キリンラガービール」は、同社にとって特別な存在。10年ぶりとなるリニューアルへの力の入れようも半端ではありません。

時代とともに進化するポイント、あえて不変のポイント


サラダチキンやかぼちゃサラダ、サバ缶などとも好相性

 今回のリニューアルテーマは「本格ビールの飲みごたえはそのままに、苦味の質を高め、よりバランスのとれた飲み飽きないうまさ」というもの。

 そこでポイントとなったのがホップです。爽やかな香りと苦味が特徴のドイツ産ヘルスブルッカーホップを使用することによる、飲みごたえと締まりのある後味には従来から定評がありましたが、今回はホップをさらに増量し、心地よい飲みごたえとバランスのとれた味わいを実現すべく、穏やかな苦味をもたらすホップの比率を増やしたといいます。

 実際にリニューアル前のラガービールと飲み比べてみると、明らかにバランスが良く、飲みやすくなっていると感じました。それでいてラガーならではの苦味は健在で、それがまた心地いいんです。また、仕込工程で酸味を抑えることで、飲み飽きない味わいも実現しているといいます。これなら食中酒として、さまざまな料理と合わせることができそうですね。

 ちなみにキリンビールのマスターブリューワーの田山智広氏おすすめの料理は、「サバ缶」や「ハーブ仕立てのサラダチキン」、「かぼちゃサラダ」、「ビーフストロガノフ」などだそう。この機会に新たな「キリンラガービール」をお供に、料理とのマリアージュをあれこれ試してみるのもいいかもしれませんね。

(取材・文◎室井康裕)

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