年収低い人ほどコロナでメンタル悪化「給付金第2弾は増額して低年収層のみに給付を」 東京医大など調査
2020年10月20日(火)17時20分 キャリコネニュース
新型コロナウイルスの感染拡大"第1波"といわれる2月と4月に、心の健康状態が悪いと判定された人の割合は年収が低いほど多かった。東京医大などのチームが実施している調査で分かった。
調査は流行初期の2月と、感染者が急増した4月にネット上で実施し、現在も進行中。これまでに関東地方に住む20〜70歳の男女2078人から集めた回答をまとめた。
給付金10万円は「1か月分の生活費にもなりません」
調査結果は、病気自体の不安に加え、収入減少などの生活への打撃が影響した可能性を示している。年収が低い人は感染が5月中旬以降も、不調の人が減らなかったという。
メンタルヘルスの悪化のしやすさ年収別に比較すると、「年収400万円以上600万円未満」を1とした場合、「200万円以上400万円未満」「200万円未満」の層ではともに1.5を超えていた。
調査チームの東京医科大講師、菊池宏幸氏は「新型コロナの流行により、健康格差が大きくなったことが明らかになりました」と調査結果を読み解く。要因についてはまだ調査中としながらも、
「年収が低い方は、非正規雇用など不安定な雇用形態に就いている方がより多く含まれています。このコロナで、そのような方の雇用が奪われたり、そうでなくても大きく減収したり、ということがあるかもしれません」
と考察した。
では、こうした格差を縮小するにはどうしたらいいのか。菊池氏は、国民に一律10万円が支給される前の定額給付金に関する議論を振り返る。当時から「国民全体に配ってほしい」という世論の声が大きかった一方で、政府は収入が大きく減少した世帯に対して30万円を支給する方針で準備を進めていた。
菊池氏は「本調査ではコロナによって、低収入者だけでなく、高収入者を含む国民全体のメンタルヘルスが悪化していますので、この施策自体は良かったと思います」と政府が最終的に一律給付を決めた施策を評価する。
だが、一部の自民党議員が今月14日、菅総理に要望書を提出した"2回目の給付金"に関しては考えが違うようだ。
「この10万円、おそらく1か月分の生活費にもなりません。年収が低い者では、あっという間にまた窮地に立たされます」
と話し、さらに「私はこの給付は、 額を増額し低年収層の方のみに限定した形が良いと思います」と意見を述べた。
菊池氏は、取材に対して「コロナの流行は今も予断は許しませんが、コロナによる景気の悪化は、確実に低年収の方の心をむしばみ続けています。私たちは今後も調査を継続し、この健康格差が拡大していないか、を明らかにしていきたいと思っています」とコメントした。