アメリカ大陸を最初に発見したのはコロンブスではない!? ヴィンランドに到達したレイフ・エリクソンとは?

2023年10月25日(水)20時0分 tocana


 クリストファー・コロンブスといえば、大航海時代に活躍した探検家であり、「アメリカ大陸を初めて発見した」と言われる人物としても知られている。近年のアメリカでは、コロンブスが黄金を持ち帰るために原住民から略奪、時には虐殺も行ない、果ては原住民をスペインへ奴隷として送ると言った面がフォーカスされ、コロンブス像が破壊されるという事件が各地で相次いでいる。そんなコロンブスであるが、実は「アメリカ大陸を初めて発見した」というのは誤りであるといわれている。


 北欧の航海者(ヴァイキング)レイフ・エリクソンは、コロンブスのアメリカ大陸到達より遡ることおよそ500年前に、ヨーロッパ大陸から海を渡りアメリカ大陸に初めて到達したと伝えられている人物である。グリーンランドの発見者として知られる航海者エイリーク・ソルヴァルズソン(通称「赤毛のエイリーク」)の息子として生まれた彼は、ある時、漂流の末に帰国した人々から「グリーンランドより緑豊かな土地が西にある」という話を耳にした。997年に西方航海へ繰り出し到達したその地こそ、アメリカ大陸であったというのだ。


 彼が漂流者のルートを辿って西に行くと、岩にお押された陸地があり「岩の国(ヘルランド)」と名付け、次に南下して木に覆われた陸地を見つけて「森の国(マルクランド)」と名付けた。さらに南下すると、小麦の自生する豊かな国へたどり着き、その地を「ブドウの国(ヴィンランド)」と名付けて前線基地を置き帰国した。ヴィンランドへの入植者はいたようだが、結果的に先住民との関係がうまくいかなかったことで長続きせず、放棄されるに至ったという。


 これらレイフ・エリクソンが発見した土地については、ノルウェーやアイルランドの出来事を題材として語られた説話文書「サガ」に伝えられているだけであったが、のちの調査により、彼らが入植したと考えられる地域からヴァイキング定住の痕跡が発見されたことによって、創作ではなかったと結論付けられた。だが、エリクソンが発見者として扱われないのはどうしてだろうか。一説には、地理上の発見に主権を宣言する慣行もなく入植期間が長くないことが、彼をアメリカ大陸発見者として扱われない理由であるとされている。その一方で、20世紀初頭ではあるがこの時、反移民・反イタリアそして反カソリックの運動が起こったことによって、コロンブスの記念日を祝うよりエリクソンを記念日にすべきという主張が高まっていたという事情もある。こうした入植者の出自や国民のアイデンティティに関わる部分に触れていたために、エリクソンの活躍が歴史の中で抹消されたのではないかとも考えられないだろうか。


【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】


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