【専門医監修】冬こそ特にニオう!? 「冬汗」メカニズムを知ってケアしよう

2022年10月27日(木)17時0分 ココカラネクスト

 気温が低い冬は汗をかく機会も夏に比べるとぐっと下がります。夏には念入りに制汗剤を使い汗やニオイ対策をしていても、冬になった途端気が抜けてしまうことはあるあるですよね。

 しかし、冬だからといってまったく汗をかかないわけではありません。それどころか、汗をかきにくい冬だからこそニオイがより濃くなってしまう可能性があるんだとか。そこで、寒い季節こそ気をつけたい「冬汗」について解説していきます。

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冬の汗はひときわ濃い!その理由とは

 渋谷スクランブル皮膚科の院長で、汗問題にくわしい下方征先生によると、汗が原因のニオイは、血液に含まれるミネラルやアンモニアが身体の外に排出されることで生まれるんだとか。

「秋冬は汗をかく機会が少ないため、 皮膚に存在する『常在菌』を 作り出すニオイ元が汗で洗い流されず、皮膚や毛穴のなかにとどまってしまいます。汗腺は血管から血液をくみ取って汗を作るため、 機能の高い汗腺なら血液中のミネラルやアンモニアを血管に再吸収させ、サラサラのニオイが少ない汗となります。ところが、冬場で汗をかく機会が減り、機能が衰えた汗腺は再吸収をうまくできず、血液中の成分が多い濃度の高い汗を出してしまいます。」(下方先生)

 どれだけ涼しい季節であっても、急いでいる時や焦った時、暖房がよく効いていると汗はかくはず。汗をかくことに慣れていない状態から汗腺が動くことで、濃くニオイの強い汗が出てしまう・・・・・・というメカニズムなのです。

「精神性発汗」はニオイが強い?

 さらに、下方先生は汗には「温熱性発汗」と「精神性発汗」の2種類があることを指摘します。前者は暑さや運動で出てくる汗のことで、水分が多めでサラサラしており、夏にかくことが多いそう。

「精神性発汗は、ストレスにさらされたり緊張状態に置かれた際に出てくる汗のこと。汗の量をコントロールする自律神経がストレスによって乱れ、交感神経が高まることで、気温の高低に関わらず汗をかいてしまいます」(下方先生)

 この精神性発汗は温熱性発汗よりも水分以外の成分が多く、ニオイの元につながってしまうんだとか。つまり、冬の汗はストレスが原因であることが多く、なおかつ特にニオイが濃い可能性が高いということなんです。

身体の内側・外側からしっかり汗・ニオイ対策

 冬でも気を付けたい汗・ニオイ対策。身体の外側のみならず内側からもケアしていき、心身ともに気持ちよく過ごしましょう!

・運動を取り入れ汗に慣れる

 汗腺がおとろえ、汗をかき慣れていないことがニオイの原因となります。適度に運動をすることで、日頃から汗をかいていきましょう。早歩きでのウォーキングやラジオ体操、筋トレなど、ハードである必要はないので、毎日続けられる運動であることが大事です。

・食生活を見直す

 汗に含まれる成分もニオイの原因のひとつ。体内の環境に大きくかかわる食事を見直すこともニオイ対策へとつながります。食材でいうと、ニンニクには「含有成分アリシン」やお肉には「動物性タンパク質」や「動物性脂肪」といったニオイの元となる成分が多く含まれているので、そういった食材を食べ過ぎると体臭がきつくなってしまう可能性も・・・・・・。

 野菜や海藻類、豆類(豆乳や豆腐などの加工製品も)といった食材は、上記のような成分は含まれておらず、腸内環境も整えてくれますよ。

・汗をかいた後のケアも大事

 せっかく体内からニオイ元を抑えるように心がけても、汗を放置してしまっては結局悪臭につながってしまいます。汗は皮脂や垢と交じりあい、皮膚の常在菌が分解・酸化することでニオイが発生してしまいます。

  小まめにハンカチやタオルで汗をふき取るのはもちろんのこと、入浴時に身体を洗う際も念入りに。首元やうなじ、太ももの裏など忘れがちな部分もしっかりと洗い、ゆったりと湯船に浸かりましょう。

・制汗剤でニオイをしっかりガード

 普段から汗ケアに力を入れても、体質によってはそれでもニオイが強くなったり、精神性発汗で突然の汗に悩まされる人も多いはず。取引や仕事で外出する際は、事前に制汗剤でニオイを予防したり、外出先でも使える制汗剤を利用すれば「お守り」としても安心です。

 制汗剤といえば数多く流通していますが、中でも香料でごまかすことなく、ニオイ成分にしっかりと効く「ミョウバン」入り制汗剤はおすすめです。

[文・構成:つちだ四郎]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

<監修者>下方征(しもかたただし)先生

渋谷スクランブル皮膚科院長。2004年名古屋市立大学医学部卒業。東京医科大学病院皮膚科勤務を経て2021年に渋谷スクランブル皮膚科を開業。複数の皮膚科専門医による総合的な皮膚の診療を行う。汗の悩みに関する治療経験多数。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。労働衛生コンサルタント

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