ラーメン官僚が今年のMVPに認定! 西新宿『らぁ麺や 嶋』の「しおらぁ麺」がスゴい理由

2020年10月27日(火)10時50分 食楽web


『らぁ麺や 嶋』 | 食楽web

 2020年6月14日、西新宿五丁目駅(都営地下鉄大江戸線)から方南町方面へと5分程度歩みを進めた方南通り沿いに、1軒の新店が誕生しました。そのお店の名は『らぁ麺や 嶋』。

 同店を切り盛りする盛島店主は、『支那そばや』と『かしわぎ』で研鑽を重ね、今般、満を持して独立。『支那そばや(1986年創業)』といえば、出汁を採る素材を厳選したスープづくり、使用する粉にまでこだわった自家製麺の使用などで、ラーメン好きでなくともその名を知らない者は存在しない歴史的名店です。

 店主のもう一方の修業先である『かしわぎ(2017年創業)』も、歴史こそまだ浅いものの、提供される1杯は、研ぎ澄まされたうま味や、ひと口で「かしわぎのラーメンだ」と分かる独創性が光る逸品。誰もが認める正真正銘の実力店です。

 そんな「名にし負う」名店・実力店のDNAを受け継いだ盛島氏が陣頭指揮を執る『らぁ麺や 嶋』。高水準であることは所与の前提として、果たして、どれくらい美味しいのか。こちら側の期待を上回ってくるのか。そんな好奇心に抗うことができず、早速、お店へと足を運んできました。


ロケーションは方南通り沿い。西新宿五丁目駅のA2出口から、同通りをひたすら西へと直進すれば、やがて左手に見えてくる

 漆黒に彩られた屋根。店の袂に屋号が刻まれた行燈が置かれ、店舗の存在をさりげなく主張します。営業時間中はほぼ常に長蛇の列が連なる人気店ですので、行列が、店の在処を示す「ランドマーク」としての役割を果たしますが、暖簾や看板がないラーメン店は、なかなか珍しいかもしれません。

 営業時間は、11時から15時と18時から21時まで。水曜と木曜が定休日ですが、土日営業があり、夜営業もされている。人気の高さから公式の営業終了時間を待たずにスープ切れになってしまうことも多々ありますので、訪問される際には、ある程度の時間的余裕を見ておくのが賢明でしょう。

手間暇をかけてたどり着いた究極の「しおらぁ麺」


「しおらぁ麺」880円

 現在、『嶋』が提供する麺メニューは「醤油らぁ麺」、「しおらぁ麺」及び「鰹昆布水つけ麺」。「つけ麺」にも「醤油」と「しお」の2種類があるので、計4種類となっています。

「おしながき」の筆頭を飾る「醤油らぁ麺」の出来映えも「素晴らしい!」のひと言なんですが、同店で私が特に強く推したいのが「しおらぁ麺」、「鰹昆布水つけ麺(しお)」等の塩系メニュー。

「ともすれば見過ごしがちな工程についても一切手を抜くことなく、1杯1杯を丁寧に創り上げる。ラーメン職人として私が最も大切にしているのは『手間を掛ける』ことなんです」と語る盛島店主。

 確かに、厨房での店主のラーメンづくりの所作を見ていると、例えば、チャーシューをとり上げてみても、提供する直前に、豚肩ロースと豚バラ肉を七輪の上で丹念にひっくり返しながら備長炭で丁寧に炙るなど、あらゆる工程が驚くほど緻密です。


岡山県産の山水地鶏、山梨県産の信玄鶏など数種類の鶏に、本枯れ節・ゴマ鯖・白エビ・貝柱といった「海の幸」を加え、それらのうま味を丁寧に折り重ねた出汁は、すべての素材の持ち味が余すところなく引き出された、まさに手間ひまの結晶

「値段は多少張りますが、備長炭は、海外産でなく国産のものを惜しげなく用いています」。それも、全てはチャーシューがまとう炭の薫香を最大限演出するための工夫だそう。

 バラ肉を採用したのは、加熱によって液状化する脂の量を増やし、滴り落ちる脂が炭に接触することによる火力の強化を図るため。上質な国産備長炭を使うのも、安価な海外産よりも格段に強力な火力を得るためです。火力を上げることによって、炭から放散される薫香が飛躍的に増し、チャーシューの香ばしさもアップする。まさに、考えに考え抜かれた工夫と言えるでしょう。

 そんな厨房の光景を眺めながら、待つこと数分。提供された「しおらぁ麺」は、夕陽に照らされた水面のように透明なスープに、しなやかな細ストレート麺を泳がせた、見目麗しきビジュアル。

「各々の素材のうま味が、お客さんの口の中で最高のパフォーマンスを発揮できる状態。そのような状態を思い浮かべ、そこから逆算すれば、自ずと各種素材の分量は決まります」。開業してまだ日が浅い新店の店主とは思えない、理に叶った考え方に、脱帽するほかありません。

 規格外なのは出汁だけではありません。「醤油には醤油、塩には塩の持ち味がある。それらが持つありのままの魅力を食べ手に伝えたい」といった思いから、このタイプの淡麗系の中では桁外れにタレが存在を主張する構成となっていることも、特筆に値します。


スープの味を逃すことなく口に運ぶために研究し尽くした細麺

 麺は、店主の修業先で、かつ、店主が敬愛してやまない『支那そばや』の謹製。柳枝のようにしなやかで、スープをしっとりと絡める麺の啜り心地は抜群。加えて、提供するラーメンの種類によって太さや形状を変えるなど、合わせるスープとの相性を熟慮したものとなっています。


啜り心地抜群。口内で鶏の旨味が広がる

「一生涯、満足することなく、手掛けるラーメンに磨きを掛け続けていきたいですね。満足してしまえば、それで職人としての成長は終わりですから」。だからこそ、ラーメンづくりは楽しいと言って笑う、盛島店主。

 現時点で、すでに2020年における都内の最優秀新店の座を手中に収めつつある『らぁ麺や 嶋』。絶え間なく進化する1杯に、食べ手はただお店へと足を運び続けるしか術がありません。

店主(盛島氏)プロフィール


同店店主

・ラーメンの鬼、佐野実氏(故人)がオープンさせた歴史的名店『支那そばや』にて、ラーメンづくりのイロハを教わり、今般、満を持して独立。
・屋号である『らぁ麺や 嶋』を、佐野実氏の妻しおりさんと相談して決めるなど、未だなお、愛弟子として修業先から厚い信頼が注がれる、注目の新進気鋭だ。
・コラム本文では「しおらぁ麺」をメインに紹介したが、「醤油らぁ麺」も、和歌山県産の生揚げ醤油、長野県産の再仕込み醤油、岐阜県産の溜まり醤油等の複数の醤油を絶妙なバランスでブレンドしたタレを用いるなど、一分の隙もない仕上がり。
・可能であれば複数回足を運び、全メニューをコンプリートしたいところだ!

●SHOP INFO

店名:らぁ麺や 嶋

住:東京都渋谷区本町3-41-12
TEL:非公開
営:11:00〜15:00、18:00〜21:00
休:水曜、木曜

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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