田澤純一「ドラフト指名なし」、その後も評価底割れ

10月29日(木)11時45分 JBpress

2019年3月、オープン戦でリリーフ登板したシカゴ・カブス時代の田澤純一投手(写真:アフロ)

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 これは「波乱」と言うべきなのか。プロ野球のドラフト会議でBC(ベースボール・チャレンジ)リーグ・埼玉ヒートベアーズの田澤純一投手がどの球団からも指名されなかった。

 支配下、育成ともに最後まで名前は呼ばれず、あらかじめドラフトで指名されることを想定して会見場を設けた上に有料でファンの集いまで実施した球団側は結果として“赤っ恥”をかく格好となってしまった。別室で待機していた田澤本人は何の対応もしないまま終わってしまったのだから、シラケた雰囲気が漂ったのも当たり前である。


BCリーグで結果出せなかった右腕

 かつて田澤は日本の社会人野球からMLB(メジャーリーグ)入りを宣言し、NPB(日本野球機構)のセ・パ両リーグ球団に自身をドラフトで指名しないように文書を送り付け、レッドソックスと2008年に3年契約を締結。2013年には勝利の方程式の一角を担い、セットアッパーとしてチームをワールドチャンピオンへと導いた。しかしマイアミ・マーリンズへ移籍した2017年シーズン以降は安定した成績を残せなくなってチームを転々。今年3月にマイナー契約を結んでいたシンシナティ・レッズを解雇され、同年7月から日本のヒートベアーズへ入団していた。

 2008年の一件によって日本プロ野球関係者を激怒させ、その当時から設けられ、自らのNPB球団入りの障壁となっていた通称「田澤ルール」も今年9月に全面撤廃。今年のドラフトで指名されれば、空白期間を経ずに来季から12球団でのプレーが可能になるはずだった。経験豊富な元世界一右腕には即戦力として複数の球団が下位ながらも指名を検討しているとみられていたが、いざフタを開けてみると全球団のリストから除外されていた。

 BCリーグでの成績は16試合に出場し、通算16イニングを投げ、2勝0敗、自責点7、防御率3.94、被安打率7.88。特に防御率と被安打率に関してはMLBから日本のボールやマウンドに順応するまで多少時間を要していたとしても、大目に見られるような数値ではない。日本プロ野球を目指すセミプロ選手たちが集まる独立リーグで、この程度の数字しか残せないようでは各球団がドラフトの貴重な枠を使ってまで獲得するレベルにないことは明らかだろう。

 本人にそのつもりはなかったと信じたいが、日本プロ野球を見下しているかのような態度もマイナスになったようだ。肝心のドラフトに関しては「待つだけ。なるようにしかならない。指名されたら考えたい」と入団の意思があるのかどうかも明確にせず曖昧な答えに終始するなど、NPBの球団でのプレーそのものにあまり関心を示さず何かと鼻につく対応が目立ったところは否めない。

 これではMLBで引き取ってもらうアテがないから、仕方なく日本でプレーしようかと思っているのではないかと邪推されてもやむを得まい。


有料のファンイベントにも姿現さず

 ドラフト後にセ・リーグの球団関係者に田澤の“真の評価”を聞いてみると「もともと獲得するつもりは毛頭なかった」とバッサリ切り捨て、このように包み隠さず本音を吐露した。

「他球団を含めて多くのスカウトは田澤評として『獲得するならば、リリーフの即戦力として考える。経験も豊富だし、まだまだ十分通用するボールを投げている』などと公の場でそれなりに称賛していたが、あれはあくまでも視察の場を設けてもらった相手先にも気を使ったリップサービス。ウチの編成会議で田澤は即座に除外された。

 あの年齢では伸び代もなく、BCリーグレベルで悪戦苦闘を強いられているようでは先が見えている。それにこれまでの言動からプライドの高さが見え隠れしていた点も正直気に障った。『日本で裸一貫やり直す』という気構えを見せてくれるのであれば、下位指名で検討しても良かったが、もう後の祭りだろう。

 ベテランとしてチームのまとめ役になれるわけでもなく、逆に浮いた存在になってしまう危険性も少なからずあった。彼にとっては大変気の毒な言い方になるが、指名回避は他の球団も正解だったと思っているのではないか」

 ちなみに田澤のマネジメントを行う大手芸能事務所の関係者が「数球団が事前に『ドラフトで指名する』と言ってくれていたが、反故にされてしまった」と憤慨しているとの情報も耳にした。だが、だからと言って会見場で報道陣に対応せず、自分の言葉を発しなかった田澤本人の行動にはやはり疑問符をつけざるを得ない。プロOBの中からは「田澤が会見に出席しなかったことは指名されなかったのだから仕方がないし、理解できる」と主張する声も出ているようだが、それについても個人的には相容れない。

 先にも冒頭で記したが、このドラフト当日のBCリーグ・埼玉ヒートベアーズは会見場とは別のスペースで中学生以上の大人・4000円、小学生の子ども・2000円の参加費(食事とワンドリンク付き)を設定し「NPBドラフト会議を見守るファンの集い」を実施していた。安くないお金を払ってまで、自分たちの応援する選手たちがBCリーグからNPBへ巣立つかもしれないと、その瞬間を目に焼き付けるべく、わざわざ会場に集まっていたのだ。ドラフトで指名されなくても田澤はせめてこのファンの有料イベントには姿を見せ、何かしら自分の言葉を発するべきだったのではないだろうか。


「12球団が結託して指名回避なんて絵空事」

 そしてNPBに近い関係者はこのようにも言う。

「『田澤ルール』が撤廃されても日本のプロ野球界は裏で結託し、その張本人の田澤君を一斉に指名回避したと報じたメディアもありましたが、とんでもない話です。アメリカンプロレスのギミックじゃあるまいし、いまどきそのようなシナリオを作り上げて水面下で12球団が示し合わせるなんてやれるわけがない。そもそも、わざわざ『田澤ルール』を臨時代表者会議で撤廃した意味がなくなってしまうじゃないですか。仮にそんな非現実的なことをやる必要性があったとしても、それなら最初から撤廃しなければいいだけでしょう。

 なぜ、ドラフト会議後もそういう“田澤擁護”の論調がメディアの間で目立つのか。田澤のバックについている大手芸能事務所の存在に気を遣わざるを得ないからです。そこに忖度しない覚悟であえて本当の評価を言わせてもらいますが、田澤君は残念ながらさまざまな見地から12球団のドラフトにかかる評価に値しなかったということです」

 NPB入りが果たせなかった田澤は当面の間、所属の埼玉ヒートベアーズの練習には参加せず、MLB復帰を目指して自主トレを行っていくという。ネット上ではこうした「唯我独尊」を地で行くような田澤の行動に厳しい言葉が次々と向けられている。「今後もサポートし続ける」と言ってくれている埼玉ヒートベアーズ側の立場を考えれば、それを無下にするかのような姿勢は多くの人たちの怒りを買ってしまうのも無理はない。これから田澤はイバラ続きの道を這い上がって行けるのだろうか。

筆者:臼北 信行

JBpress

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