国立大法人、複数大学設置を検討…大学間連携・統合を論点整理

2017年10月30日(月)18時15分 リセマム

国立大学法人の現行制度と提案された「国立大学の一法人複数大学方式」のイメージ

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文部科学省は10月27日、中央教育審議部会合同会議での配付資料を公開。日本の高等教育に関する将来構想などを議題としており、大学の連携・統合の一例として国立大学法人は1大学のみ設置とする現行制度から、複数大学を設置する方式とする案などが示された。

 中央教育審議会 大学分科会・将来構想部会の合同会議は、10月25日で7回目の開催。公表された資料「地域における質の高い高等教育機会の確保のための方策について—連携と統合の可能性—(論点整理)」では、連携・統合に係る現状の課題例について、現行制度と論点をまとめている。

 高等教育に関する課題には、国公私立を通じた学校法人の統合の仕組みがないこと、国立大学法人で複数大学の設置が認められていないこと、各法人の独立性や独自性の強さから自律的な連携・統合が進みにくいことなどがあげられた。

 現行制度では、1つの国立大学法人が1つの国立大学を設置し、法人の代表と大学の学長が一致する。法人化時の考え方として、法人化前から学長が大学運営全般にわたって意思決定を行う権限と責任を有していたことや、大学の運営の自主性・自律性を高め、自己責任を強めるねらいなどがあったためである。

 提案された「国立大学の一法人複数大学方式」は、新国立大学法人のもと、複数大学が設置されるイメージ。スケールメリットを生かして、さらなる学生サービスの改善、教育環境の充実などが可能になるという。論点には、1つの法人が複数の大学を設置することで考えられる具体的なメリット・デメリットのほか、法人の長や学長などをどのように任命するか、現行の役員会や経営協議会、教育研究評議会の在り方をどのように考えるかなどの制度の具体的な内容があがっている。

 私立大学に関しても、連携・統合に向けた方策が検討されている。統合については、建学の精神の継承の観点から、法人の自主性を尊重しつつどのように統合を促していくかが課題。私立大学の特色化・強みのある分野への資源集中を進め、円滑な事業譲渡に資するよう、現在は学校単位でしか認められていない設置者変更を、学部・学科単位でも認めるなど制度面の改善について検討を求める意見もあった。

 また、経営悪化傾向にある学校法人に対して、他法人との合併や撤退を含む早期の適切な経営判断が行われるよう、文部科学省や私学事業団が支援することを提案。学生を抱えたまま学校法人が突然に経営破綻に陥ることを防ぐためで、状況に応じてさらに踏み込んだ指導・助言を行う必要性についても言及している。

 資料は、文部科学省Webサイトから誰でも閲覧できる。中央教育審議会大学分科会・将来構想部会は次回以降、大学が育成する人材像や各地域における規模の在り方、学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方などについて審議するという。12月には論点を整理し、平成30年秋をめどに答申を行う予定。

リセマム

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