【医師監修】10人に1人は産後うつ病に! 症状・兆候のチェックリストで早めに対策を

10月31日(木)17時0分 マイナビウーマン子育て

産後に落ち込みがひどかったり、原因不明の体調不良で悩まされてはいませんか? 出産をきっかけに、産後うつ病になることは珍しくありません。産後うつ病の原因や症状、予防法などを知っておきましょう。

この記事の監修ドクター 窪 麻由美先生 Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー

産後うつ病とは? 原因と対処法

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産後うつってなに? 放置するとどうなる?

産後うつ病はうつ病の一種です。産後4週以内に起こることが多いですが、中には産後数ケ月経ってから見られることもあります。

出産後の女性の10〜15%くらいに起こるメンタルの病気で、珍しいものではありません[*1]。

産後うつ病を放置すると、子供との関係や子供の情緒、発達にも影響を及ぼすことがわかっています。また、お母さんの産後うつ病がお父さんにも影響して、お父さんまでもうつ病になりやすくなります。

なお、出産直後の数日間に起こって自然と治るマタニティブルーズとは違うメンタルの病気です[*2]。

そのため、産後うつ病を放置しても、マタニティブルーズのように自然に治まるのは難しいのです。よくある病気なので、誰かに相談することを恐れず、悪化する前に適切な治療を開始しましょう。

産後うつ病になる原因は?

産後うつ病は、体と心の両方の変化から起こります。

産前産後は急激なホルモンの変化など、さまざまな変化が体に起こります。妊娠・出産で女性ホルモンが大きく変化すると、脳のストレスに耐える力が低下します。そのため、妊娠・出産前よりも、ものごとを悪くとらえやすくなってしまい、メンタルのトラブルへとつながります。

また、育児疲れも心と体に大きな負担をかけます。中でもお母さんがひとりきりで赤ちゃんのお世話をしている場合は、24時間続く慣れない育児に心身ともに疲れてしまうことがよく見られます。

こうした理由から産前産後にはメンタルのトラブルが増えて、産後うつ病が起こりやすくなるのです。

産後うつ病はどう対処(予防・治療)する?

産後うつ病を予防するには、心も体も無理をしないことが何よりも大切です。

妊娠中や産後に里帰りをする場合は、実家の家族に協力してもらって十分に心と体を休めましょう。里帰りをしない場合も、できれば自宅に来てもらってしばらく家事や育児をフォローしてもらえると安心です。もちろん、お父さんも家事や育児を一緒に行っていきましょう。

産後1ケ月検診を受ける頃になっても体が十分に回復していない時には、引き続きお父さんやまわりの人の手を借りて、しっかりと静養するように心がけてください。家族が忙しい場合にはヘルパーや地域のファミリーサポートなどを利用するのもいいですね。

産後うつ病を防いで心身ともに元気な自分を取り戻すために、特に気をつけたいのは次の5つです。

1.物事の優先順位をつけましょう出産したらなんでも完璧に行うことは無理な話です。赤ちゃんのお世話とお母さんの心身の回復を最優先に、他のことは周囲の助けを得ながら進めていきましょう。

2.休養を十分にとりましょう産後は夜間も続く授乳などで睡眠不足になりがちです。赤ちゃんが寝ている時はママも横になって休みましょう。

3.お母さんのために楽しい時間をつくりましょう育児が大変な時期ではありますが、短時間でも気分転換となるようなことをしてみましょう。音楽を聴いたり、好きな本を読んだり、好きなことに没頭できるひとときは大切です。

4.友達との付き合いを大切にしましょう産後すぐは好きなように外出ができず、他の人との交流が少なくなりがちです。気が置けない友人と電話で話をするだけでも、気持ちが落ち着くものです。

5.自分の気持ちを周囲に伝えましょう思っていること、つらいこと、悩んでいること、感じていることを素直な言葉で周囲の人に話してみましょう。漠然とした不安などでも、まずは他の人に伝えることが大切です。

どうしても落ち込みがひどかったり育児がつらい、なぜか体調が悪いといった症状が見られたら、医療機関や保健センターに相談するのもおすすめです。産後うつ病はよくあることですし、メンタルのトラブルは早めに対処することで治療が進めやすくなります。ぜひ気楽に受診・相談をしてくださいね。

まわりはどう対処すべき?

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赤ちゃんが健やかに育っていくためにも、お母さんが元気でいることが大切です。

妊娠・出産や子育ては大変なものですが、「母親がしんどいのは当たり前だ」と放置しないで、家族やまわりの人はできるだけ家事や育児をサポートしましょう。

それでも産後うつ病になってしまったら、薬や心理療法だけでなく、環境を整えることも治療に必要となります。パートナーや家族は、専門医と一緒に、お母さんに合った治療やサポートをじっくりと相談しましょう。

日々の生活の中で「今やらなくても済むことは何か」「どんなことをサポートできるか」を確認して調整することで、お母さんも安心して産後うつ病に向き合い、育児に取り組めるようになります。

産後うつ病が疑われる症状

産後うつ病になると、どのような症状が見られるのでしょうか? 症状の現れ方には個人差があり、以下はあくまで目安ですが、具体的な症状を知っておきましょう。

自分で感じるうつ病の症状

産後うつ病はうつ病の1つです。

そのため、次のようなうつ病と共通する症状が見られます。次のような症状のうちのいくつかが、産後に2週間以上続いたら、産後うつ病のサインである可能性があります。

・抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)・何をしても楽しくない、何にも興味がわかない・疲れているのに眠れない、一日中ねむい、いつもよりかなり早く目覚める・イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる・思考力が落ちる・死にたくなる

周囲から見てわかるうつ病の症状法

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産後うつ病を含むうつ病になると、まわりの人からも「いつもと違う」と感じるようになることがあります。産後にまわりの人が次のような様子を見て取れたら、産後うつ病の可能性が考えられます。

・表情が暗い・涙もろくなった・反応が遅い・落ち着かない・飲酒量が増える

体に出るうつ病の症状

うつ病の症状は、落ち込んだり涙もろくなるなどの気持ちの変化だけでなく、体に次のような変化がみられることもあります。

・食欲がない・体がだるい・疲れやすい・性欲がない・頭痛や肩こり・動悸・胃の不快感・便秘がち・めまい・口が渇く

産後うつ病ならではの症状

ほかのうつ病と違う、産後うつ病ならではの症状もあります。

・将来の子育てに自信が持てない・待ち望んでいた赤ちゃんの世話なのに、つい面倒に思えてしまう・赤ちゃんが可愛く思えない・「自分は母親失格だ」といった自分を責める気持ちが起こる・自分を責める気持ちから睡眠が十分にとれない

なお、産後うつ病になっているかどうかは、専門医以外には判断ができません。もしもいくつかの症状が見られたら、自分で判断しないで必ず医療機関や保健センターで相談するようにしましょう。

産後うつ病のチェックに使われるEPDSとは

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EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票 )

産後うつ病をスクリーニング(疾患の疑いがある人を見つける)するためによく使われているのは、エジンバラ産後うつ病質問票(Edinburgh Postnatal Depression Scale =EPDS)です。

EPDSとは、産後うつ病を見つけ出す手がかりとして1987年にイギリスのCoxらが開発した質問票です。2016年の時点で58カ国もの国で翻訳版が作成されている、国際的にも広く使われている質問票です。

日本でも1996年以降、妊娠中から産後1年未満のお母さんを対象に医療機関などで使用されています[*3]。

9点以上で産後うつ病の「疑いあり」

日本では、EPDSの総合点9点以上が「うつの可能性が高い」とされています。

ただし、9点以上になったらうつ病、8点以下ならうつ病ではないと判断できるわけではありません。また、点数そのものはうつ病の重症度とは関係がありません[*4]。

さらに、産後うつ病だけでなく不安障害などのメンタルトラブルがあると、EPDS総合点は高くでることがあります。

そのため、産後うつ病かどうかを診断できるのは専門医だけです。EPDSはあくまで産後うつ病のスクリーニングのためのもの。EPDSをやってみて自分で「まだ大丈夫」「産後うつ病になった」などの判断をするのはやめましょう。

EPDSの質問票(チェック項目)

EPDSでは、今日から過去7日間に感じたことについて、それぞれ最も近いものを選ぶようになっています。

回答は「(0) いつもと同様にできた。(1) あまりできなかった。(2) 明らかにできなかった。 (3) 全くできなかった。」など、質問ごとに4択となっています。

EPDSは医療機関や健康保険センターなどの保健福祉施設で行うものなので、次の質問項目は自分で産後うつ病かどうかを判断するためでなく、あくまで参考として紹介します。

1)笑うことができたし、物事のおもしろい面もわかった。2)物事を楽しみにして待った。3)物事が悪くいった時、自分を不必要に責めた。4)はっきりした理由もないのに不安になったり、心配したりした。5)はっきりした理由もないのに恐怖に襲われた。6)することがたくさんあって大変だった。7)不幸せなので、眠りにくかった。8)悲しくなったり、惨めになったりした。9)不幸せなので、泣けてきた。10)自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた。

産後うつ病の早期発見にも。産婦健診を受けよう

産後うつ病などのメンタルトラブルは、早めに対処することで症状が重くなるのを防ぐことができます。でも、育児で忙しい毎日を送っているお母さんにとっては、医療機関に足を運んで相談することさえも大変な場合があります。

そこで利用したいのが、産後のお母さんのために行われている産婦健診です。

医療の専門家に産後の心と体の健康状態をチェックしてもらえる上に、トラブルには早めに対処してもらうことができます。

2017年度からは、厚生労働省と各市区町村によって産婦健診の費用助成がスタートしました。半額を厚生労働省、さらに残りを各市区町村が負担することで、産婦健診1回につき5000円程度の助成金が2回出ます[*5]。金銭的な負担が気になるお母さんにはうれしい制度ですね。

なお、産前・産後のサポートのために市区町村が主体となって、支援施設への宿泊や自宅へのサポーター訪問などの支援サービスなども行われています。産後うつ病を予防するためにも、こうした支援サービスはぜひ利用しておきたいですね。

各自治体によって産婦健診の費用助成方法や産前・産後サポートの内容は異なります。詳しくはお住まいの市区町村に問い合わせてみてください。

まとめ

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産後うつ病は、出産後の女性の10〜15%に見られます。もし産後うつ病になったとしても、珍しいことではないので、安心して治療を受けましょう。国や地方自治体でも、産後のお母さんの心身を支えるための体制を整えています。育児や毎日の生活がつらいと感じたり、自分を強く責めてしまう時には、産婦健診や地元の保健所・保健センターなどの福祉施設、精神科や心療内科に相談をしてみましょう。そうすればきっと、今よりも少しずつ楽になっていくはずです。赤ちゃんが元気で健康的に育ち、家族みんなで楽しく暮らしていくためにも、お母さん1人で抱え込まないことが大切です。家族や周囲の人と一緒に育児や家事に取り組むとともに、専門家の手もどんどん借りていきましょう。

(文:大崎典子/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです

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