高齢者や障碍者のために無料で配管修理をする男性。世界中から善意の寄付が集まる(イギリス)

11月1日(金)14時30分 カラパイア

jamex cover_e
image credit: youtube

 イギリスでは、高齢者や弱い立場の顧客を狙って破格の修理代を請求し、肝心の修理はというといい加減にするという悪質な配管工のニュースがたびたび取り上げられ、問題となっている。

 しかし、ランカシャー州に住むひとりの配管工は違った。

 彼は、そうした悪質な配管工に騙された高齢者を間近で見て心を痛め、自ら非営利の修理会社を設立。高齢者や障碍を抱える人のために配管やボイラー修理を無料で請け負っている。

 彼の存在は、冬を迎えるにあたり、修理費の捻出に苦しむ人々にとっては非常にありがたく、無料修理を提供してもらったある女性の家族がそのことをソーシャルメディアでシェアすると、多くの人から彼に寄付金が送られた。

Hero Brit plumber refuses to take payment from sick and elderly customers

・無料修理に感動した依頼人家族がSNSでシェア 

 ランカシャー州バーンリーに住む配管工ジェイムズ・アンダーソンさん(52歳)は、91歳女性宅のボイラー修理を女性の娘から依頼され、請け負った。

 その時、高齢女性が白血病を患っていることを聞いたジェイムズさんは、ボイラーの減圧と2か所の漏れを止めるため、1日2度その女性宅を訪問し、9月12日に取り寄せてしていた部品を取り付けた。

 普通であれば、出張費を含むこの修理代は480ポンド(約67000円)かかる。しかしジェイムズさんは、依頼人家族に渡す請求書に「0」と打ち込み、次のように記した。

依頼者は、白血病で終末期医療ケア中の91歳女性。

どのような状況でも修理代は一切請求しません。女性が(修理されたボイラーで)快適に過ごせるよう、24時間できる限りの対応をします。

 9月16日、ツイッターアカウント名Amy-Leigh Cookさんは、この請求書をツイッターでシェアし、ジェイムズさんの信じられないほど寛大な対応を称賛した。


・非営利企業「Depher」を立ち上げ、無料修理に奔走

 過去にジェイムズさんは、高齢の男性が悪質な配管工に高額な修理費を請求されたことを知ったのをきっかけに、2017年に非営利の修理会社「Depher」を立ち上げた。

 クラウドファンディングと寄付を使って企業資金を集め、ランカシャー州全域でボイラーや配管修理の高額な支払いに苦しむ高齢者や障碍者たちを対象に、大抵は無料もしくは低価格でサービスを提供し、懸命に働いてきた。

james1_e
image credit: youtube

 ジェイムズさんは、一酸化炭素漏れや故障したボイラー修理、配管修理などあらゆる状況に対応する。しかし、コストがかかる仕事ゆえ自ら抱える負債額は8000ポンド(約110万円)にものぼっている。

 そのため余裕がなく、雇っていた2人の若者を解雇せざるを得なくなり、その後はジェイムズさん1人で仕事に出て、事務処理、広告対応をこなしてきた。

 ジェイムズさんは、幼い子供を含む5人の子供の父親だ。儲けにならない仕事に奔走する夫が原因でしばしば家計が圧迫することもあるため、妻は時に不満を感じることもあるようだが、同時に自分の仕事を十分理解してくれているとジェイムズさんは話す。

なぜ、そんな借金を抱えてまで非営利企業を運営するのかと、周りの人はよく言います。

でも自分には、他人が幸せで安全に暮らせるのなら、自分が借金を背負った方がマシという思いがあるのです。それは常に私の心にある生き方なのです。

ネット上で拡散した請求書については、病気の高齢者を抱えた依頼人一家に今以上のストレスと負担を与えたくないと思い、無料で請け負った仕事でした。


・配管工の親切行為が拡散し、多くの寄付金が集まる

 ジェイムズさんは、この2年間2000件以上の依頼を同様にこなしており、91歳女性のケースは1例に過ぎない。

james2_e
image credit: youtube

 しかしツイッターで請求書をシェアされたことがきっかけとなり、ジェイムズさんの寛大な行為は拡散。世界中の多くの人から、「Depher」を通してジェイムズさんへ寄付金が送られた。その額は、なんと8万ポンド(約1120万円)にものぼったという。

 この事態に感激の涙を流すジェイムズさんは、メディア取材で次のように語った。

james_e
image credit: youtube

ロンドンに住むある女性は、電話で私の借金を支払うために個人口座に2000ポンド(約28万円)を振り込むとオファーしてくれました。また別の男性からも、1000ポンド(約14万円)の寄付がありました。

私は今、どれほど周りの人々が親切で素晴らしいかを実感しています。

寄付金は、これまでの借金の返済にあてることができますし、Depherが提供する支援の幅を広げる資金としても役立ちます。

今では、アメリカやフランス、オーストラリアなど世界中の人々から「どのように非営利の配管修理業を運営しているのか」という質問が多々寄せられるようになりました。

もし世界各地で、配管ビジネスが非営利で運営されるようになれば、様々な国で高齢者や障碍者たちがより一層社会の恩恵を受けることができるようになります。

私は、この国の高齢者や障碍者がこれから迎える厳しい冬に、ボイラーや配管修理の費用がないばかりに体調を崩したり、命を縮めたりしてほしくありません。そういうことは起こってはならないし、誰も苦しむべきではないのです。


 今後、更なる支援のために、ランカシャー州だけでなく全域でこの事業を広げたいと望んでいるジェイムズさん。



 多額の寄付金のおかげで、事業拡大という望みを持つことができた今、既に各地域の配管工と連絡を取っており、解雇した2人も再雇用できそうだと喜びを露わにしている。

 「特に親切なことをしているという思いはなく、自分が正しいと思うことをしているだけ」と語るジェイムズさんだが、他人のために尽くす寛大な人となりだからこそ、多くの人から称賛の声が寄せられているのだろう。

References:The Sunなど / written by Scarlet / edited by parumo

カラパイア

「配管」をもっと詳しく

「配管」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ