年金月5万円72歳の紫苑 「節約生活」を支える<あるサイクル>に気づかされて。後ろ向きでも、動きだせたのは幸いなことだったのかも【2023編集部セレクション】

2024年11月1日(金)12時30分 婦人公論.jp


紫苑さん、普段の「節約」がある仕組みを辿っていることに気づいたそうで——(写真提供:筆者)

2023年下半期(7月〜12月)に配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします。(初公開日:2023年9月22日)
*****母子家庭で、二人の子どもを育てながらフリーランスで仕事をしてきた72歳のひとりシニア・紫苑さん。そのため年金の額は月に5万円ですが、お金を遣わなくても安心して暮らすための工夫の数々をブログに記すと話題となり、楽しい毎日の様子は新聞やテレビなどでも紹介されるようになりました。その紫苑さんの節約術を日々の暮らしとともに紹介していくのが当連載。今回のテーマは「PDCAサイクル」です。

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届いたメッセージ


これまでの記事にも書きましたが、私は食費と栄養の関係を真剣に考えることから「節約生活」を始めています。

どんな栄養素がどのくらい必要で、それには幾らかかるのか。より安く実現できる食材はないか。

それを探しては、実際に作って味わい、「うーん、これは安くできても美味しくないな…」などと、「実験」のようなものを繰り返していました。

そんなとき、ブログを通じてこんなメッセージをいただきました。「紫苑さんがやっていることはビジネス用語で言う”PDCAサイクル”ですね」と。

PDCAサイクル


PDCAサイクルとは? 

検索して早速調べてみると、PDCAサイクルとは、P=計画、D=実行、C=チェック(評価)、A=アクション(改善)を辿るサイクルを略した言葉のこと。

つまり、まず計画を立てて実行し、それがうまくいったかどうかをチェック。うまくいっていない場合は改善して、再び別の方法を試してみる、という過程を指すそうです。

なるほど。確かにそうなのかも。

しかし、こんな言葉で表現されると、普段の「節約」もなんだか立派に感じられますよね。節約と聞くと、ケチとかみみっちいとか、貧乏臭い、といったマイナスイメージを抱きがちです。

実際、私も当初はマイナスイメージのほうが強かった覚えがありますが、いただいたコメントを通じて、少し節約のイメージがポジティブに変わった次第です。

考えるべきは「収入と支出のバランス」


「節約」を家庭内のPDCAサイクルのひとつとしてあらためて考えてみると、実はポジティブな行為、という以上に、そもそもより良い家庭運営には必要不可欠な行いではないか、と拡大解釈できるように感じています。

私の節約生活は、「月の年金5万円では生活を保っていけそうにない。ではどうすればいいのか」というギリギリの段階から始まりました。

しかし、経済状況が上向く気配を見せず、物価だけがあがっていく昨今、今はギリギリの生活と感じていない人だろうと、放漫運営で家計をまわしていては、いつ破綻するかわかりません。

一方で、そもそも家庭とは、どのように生活をまわしていけば家族のひとりひとりが幸せになれるか、限られた収入のなかで何をどう使えば効率がいいのか、ということを実践する、とても小さい単位の組織でもあります。

その組織をうまく回していくためには、「収入と支出のバランス」をクリアにして、先に備えることが大切なのは間違いありません。いや、私自身「どの口で言ってるの?」ではありますが…。

いつ動き出すか


ともかく、家庭内で「健康で文化的な生活」を送るためにはサイクルをうまく回していくしかない。

そうは言われても、目の前の生活がひっ迫していない以上、すぐに動けない、いつかやればいい、と先延ばしにしてしまうかもしれません。私自身、長い間現実を見ないままに危機を先延ばしにしつつ、漠然とした不安な毎日を送っていました。

でもコロナ禍をきっかけに、始めて本当の「危機」を感じたことで、やや後ろ向きながら、とりあえず動きだすことはできた。足元の物価高がまだ来ていない、あのタイミングで動き出せたのは、ある意味で幸いなことだったのかもしれません。

無理やりでも動き出した結果、調べては実践、失敗、また調べては実行、というサイクルを重ねることになりました。それは食事だけではありません。たとえばエアコンにかかる電気代と体調を考えた際のベスト温度や、洗濯においての水量と汚れと洗剤のベストバランスなどなど。

小さな積み重ねではありますが、実践と失敗を繰り返す中で私もPDCAをまわしていたわけです。そしてその結果が、今の「節約生活」に結びついているとあらためて実感しています。

なので、私のブログを見て、メッセージを送り、仕組みを可視化してくれた方には感謝しかありません。

こうした生活の中でうまれた考え方や習慣のようなものは、たとえば「自宅でうまく最期を迎えるには?」といった、これから先に待ち受けるさまざまな課題にも応用できるのではないか、と今あらためて感じています。

婦人公論.jp

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