龍真咲さま、そして鳳蘭さまの歌う「スキャット」に人間を超越した“エネルギーそのもの”の偉大さを学ぶ

11月3日(木)13時0分 おたぽる

2015年9月『Dragon night!!』シアター・ドラマシティ公演のポスター。

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——宝塚ヲタの女医、wojo(ヲジョ)が宝塚の名曲を皆様にご紹介! ヅカヲタ女医の「アモーレ!宝塚ソング」!!

【第9回】
ショー『マイ・ハイ・スイング』プロローグより「スキャット」

1975年、第三回ヨーロッパ公演の試作として制作された鳳蘭主演のショーの、プロローグで歌われた迫力ある一曲。同ショーは約10年間トップスターを務めた鳳蘭の、トップとしてちょうど5年目での公演。伝説の奇才・鴨川清作氏による作・演出で、サブテーマは「鳳蘭のワンマンスタイル」。順みつき、浦路夏子、衣通月子らが脇を支えた。

 宝塚ファンの女医、wojoです。先日、宝塚歌劇を観劇中についつい集中しすぎてしまい、鼻水が喉から気管のほうに垂れ込んだことに気が付くのが遅れ、うっかり誤嚥してしまいました。静かな場面でむせこみを我慢する辛さ、思い出しても息が苦しくなります。一般的に誤嚥は飲み込む力が弱ったお年を召した方にこそ起こりやすいもの、と思っておりましたが、意外と簡単に起きてしまうものなんだ、アラフォーにもなれば……とわが身をもって知った次第です。

 さて、バイト先の病院でのとある当直中にたまたま見ていた深夜テレビ番組で知ったことなのですが、「ビートボックス」なるものがここ数年来流行っているようですね。歌声のみでさまざまな楽器や機械音を奏でてしまうという、一種の神業です。一時代前の「ボイス・パーカッション」と同義、とも。普段、宝塚の情報しか積極的には得ていないwojoにとっては、大変新鮮でありました。口でパーカッションの音を出せるなんて、人間ってすごい! 無限の可能性がある! と静かに興奮したわけです。

 しかし、ん? 声で、人間の力の無限の可能性を実感させられたことって、そういえば宝塚でもあった気が……と、ふと思い出しました。2016年9月4日付で退団された元月組トップスター、龍真咲さま。その龍さまが2011年に行ったディナーショー「Hot fairy」でwojo、初めて耳にいたしました「スキャット」という曲です。

 曲は文字通りスキャットです。シャバダバダ……デュワ! という、文字にするのが難しい歌詞なのですが、何度も繰り返されるクレッシェンドの波が心を揺さぶり、とにかくド迫力な一曲なのです。龍さまは宝塚の中でもピカイチにお歌が上手なスターさんでしたし、さらに熱いお歌がとてもお上手な方。こんな曲、迫力と歌唱力、スター性がないと絶対に歌いこなせない! なんて龍さまにぴったりなお歌! と感動しながら観ていた記憶があります。なんと申しますか、男役の神髄ここにあり、といったところです。気づいたら心をわしづかみにされ、もてあそばれてしまう、そのもてあそばれ方が心地いい……という、私の中に潜むMっ気にも気づかされてしまう、そんな一曲でした。

 そもそもこの「スキャット」は、70年代の伝説のトップスター鳳蘭さまの持ち歌。1975年の『マイ・ハイ・スイング』というショーのプロローグで歌われたそうです(wojoはまだギリギリ生まれておらず、残念ながら未見です)。この「マイ・ハイ・スイング」は当時のソ連、そしてフランスのパリにて行われた第3回ヨーロッパ公演の試作として制作されたもので、「スキャット」も、その際の上演演目「ビート・オン・タカラヅカ」において歌われたとか。

 その鳳蘭さまが宝塚OGとして2011年5月に「小林公平没後1周年・チャリティスペシャル『愛の旋律〜夢の記憶』」にご出演されました。wojoは『TAKARAZUKA SKY STAGE』(スカパー!)にてこれをしっかりと視聴。そこで見た鳳蘭さまによるオリジナル版「スキャット」はもう……。大地の神が地鳴りと共に眠りから覚め、天に向かってその全エネルギーを放出しているような、そんな大きな力が渦巻いておりました。全身全霊、元男役とか宝塚OGとか、もはやそういう枠を超えた存在として、エネルギーの塊として歌われる「スキャット」。とにかく、壮絶なものを観た! という一言に尽きます。男役の方を眺める際に生じるときめきとか憧れとか、そういうかわいらしい気持ちなんかもはや不要! この迫力に圧倒されてみてごらんなさい! そんなふうに言われているかのような。男役が進化を遂げると、その行きつく果てには純粋な「迫力」そのものに到達するのかもしれない……。ファンも、恋心なんて次元を超え、無条件にひたすらスターさんの迫力の前にひれ伏すのみです。

 さて、前月組トップスターの龍さまは、2015年9月のコンサート「DRAGON NIGHT!!」でも「スキャット」を披露。前述した4年前のディナーショー時と比較すると、ド迫力な鳳蘭さまふうに見事に進化を遂げておられたのが印象に残っております。

 そして2016年9月。8000人のファンが詰めかける中、東京宝塚劇場において龍さまは、「NOBUNAGA<信長>-下天の夢-」「Forever love!!」にて、宝塚をご卒業されました。実は、その観覧中に経験したのが、冒頭に書いた誤嚥騒動だったのです。今度は私、医者として、鼻咽頭〜喉頭あたりの様子を気にしながら観劇したいと思う所存でございます。とはいえ、感極まれば結局、おのれの鼻水とか誤嚥とか、そんなものはきっとどうでもよくなってしまうのでしょうけどね……。

●プロフィール
wojo(ヲジョ)
都内某病院勤務のアラフォー女医。宝塚ファン歴20年で、これまでに宝塚に注いだ“愛”の総額は1000万円以上。医者としての担当科は内科、宝塚のほうの担当組は月組。

 非宝塚ファンだけど東宝ミュージカルは好き、という職場の友人と一緒にカラオケに行きました。宝塚で上演された作品で、かつ帝国劇場などで上演もされた作品というのは多数存在しますので(『エリザベート』『ミーアンドマイガール』等々……)、こうした作品の曲を共通言語に、楽しくデュエットできました。最後に、『エリザベート』のプロローグ「我ら生き絶えし者ども」のデュエットをお誘いいただき歌ったんですが、この曲、何重唱かっていうくらい複雑に入り組んだ曲なんです。しかし、音楽的素養のない私のこと、メロディとしてはソプラノの旋律しか耳で追えないため、高音も出ないのにピーヒャラ〜♪としか歌えません……。これはもう、宝塚ファンとしては恥さらしもいいところ。是非次のチャンスには、ソプラノよりはまだしもしっかりと声が出る男役パートをもって、完璧に歌いこなしたいと意気込むwojoなのでした。

おたぽる

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