死ぬまでに一度は食べたい“元祖かつカレー”「河金丼」とは? 浅草の老舗『河金 千束店』に行ってきた

2023年11月5日(日)10時48分 食楽web


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●カレーなの? 丼なの? 浅草の名店で、カツカレーの元祖といわれる「河金丼」を実食。その魅力をご紹介します。

 東京・浅草といえば、老舗の名店の宝庫。浅草寺からぶらっと歩いて10分ほど、下町情緒が色濃く残る「千束通り商店街」の先にある『河金』もそんな老舗の一つです。

 創業は1918(大正7)年、河野金太郎が営む洋食の屋台から始まり、暖簾分けして現在に至ります。このお店の名物メニューが、“元祖かつカレー”と言われる「河金丼」。


『河金』の外観。「大正7年創業」の文字に重みを感じる年季の入った店構え

 創業当時の客からの「かつレツにカレーをかけてほしい」という要望に応えて誕生した一品です。カツカレーなのに“丼”というのが不思議です。一体どんな味わいなのか、謎多き元祖かつカレーを味わいに行ってきました。

3種類ある「河金丼」、「並」は脂身少なめのヘルシーなモモ肉

 メニューには、河金丼として「並」(900円)、「ヒレかつ重」(1200円)、「ロースかつ重」(1200円)の3種類があります。「並」はかつがモモ肉です。

 とんかつといえば、普通はロースかヒレの二択だと思いますが、モモ肉とは珍しいですね。聞けば、脂身が少なめでさっぱりしているとのこと。今回はその「並」を注文しました。


4代目の店主・河野貴和さん

 待つこと5分ほどで、お待ちかねの「河金丼」(900円)が登場しました。その名の通り、やはり丼に盛られています。今回は、写真撮影用にカツをチラリとのぞかせて盛り付けていただきましたが、本当はカツが見えないくらいカレーがたっぷりかけられているそうです。それでは実食です!


丼なので添えられているのはお箸

 カツカレーではありますが、丼らしくスプーンではなくお箸でいただきます(頼めばスプーンももらえます)。カツを持ち上げてみると、ご飯とかつの間に千切りキャベツが敷かれていました。意外な脇役登場に少し驚きましたが、考えてみればカツとキャベツの千切りはテッパンの組み合わせ。イイですね〜。

 カリッとした黄金色の薄衣に包まれたカツは、しっかり叩かれた薄めのタイプ。そしてカレーはねっとり粘度の高い昔ながらの”ザ・カレー”。これがまるでソースのごとくカツにとろ〜りからんで……そのビジュアルからして、もう食欲が刺激されます。


カツはサックサク。ほどよくシャキッ&しっとりしたキャベツが口の中をさっぱりさせてくれる

 いざ、カツカレー&ごはんを口に入れます。まるで包み込むような安心感と安定感。いやー、ウマい! しかも、尖った感じが一切なく、ひたすらやさしい。「うん、そうそう、コレだよね」と思わず何度もうなずきたくなるお味。期待を裏切らない、ノスタルジックな美味しさです。

 カツに使う豚肉は約70g。注文が入るたびに叩いて筋を切り、目の細かなパン粉を付けて、100%ラードの揚げ油で揚げているそうです。最近は粗いパン粉をカツに使う店も増えていますが、こちらは細かいパン粉のせいか、サクサクッとしていながらも、不要な油を吸い込んでおらず、あっさりしています。

 丼いっぱいのボリューム感なので「食べ切れるかな…」と少々心配していましたが、まったく問題なし。どんどんいけちゃいます。


シンプルながらもコクのあるカレー。懐かしい味がします

 カレーは、カツを作るときに出たスジや端切れなどとタマネギ、スパイス、そして小麦粉をラードで炒めたルーを4〜5時間煮込み、隠し味としてしょうゆ、ソース、砂糖を使った昔ながらの和風カレー。

 ほどよいスパイス感がまろやかにカツになじみ、懐かしい味です。「そうそう、コレなんだよね〜」(二度目)。

創業時からレシピは不変


100年以上の歴史を持つ老舗。暖簾分け当時のお祝いとして贈られた看板も味わい深い

 4代目の店主・河野貴和さんによれば、初代が考案した「河金丼」のレシピを受け継ぎ、何も変えることなく作っているそうです。「河金丼」は大正時代の香りをそのまままとったハイカラな味なんですね。

「子どもの頃から店でお皿を洗ってお小遣いをもらったりして、ずっとやってきました。河金丼の作り方は親父に教わった通り、親父もじいちゃんに教わった通り。この味を楽しみに来ていただいているお客様が多いので、味は変えられないんです」と河野さん。

 店の一番人気はやはり「河金丼」だそうで、遠方からこれを目当てに来るお客さんも多いそう。

「中には『お皿で出して』という方もいらっしゃいます。例えば大きいカツが食べたければ、〈ロースかつ〉や〈ヒレかつ〉と〈カレーライス〉を注文いただければ、盛り合わせにもできますよ。メニューに載せているものにこだわらずに、柔軟にお客様のご要望に応じてお作りしています」(河野さん)

 お客さんの「かつレツにカレーをかけてほしい」という要望から誕生した「河金丼」。レシピも初代のまま、顧客のリクエストに応じる精神も初代のまま! そのやさしさが丼ぶりにしっかり表れていました。

(取材・文◎松みのり)

●SHOP INFO

店名:河金 千束店

住:東京都台東区浅草5-16-11
TEL:03-3872-0794
営:12:00〜20:00
休:土曜

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