ラーメン官僚が太鼓判を押す、ラーメン王国・福島県の本当にウマい店。『自家製麺 まつお』

2024年11月5日(火)18時30分 食楽web


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●年間700杯以上を食べ歩く“ラーメン官僚”こと田中一明氏が、日本全国のローカル・ラーメンの最新事情&行く価値のある名店をご紹介します。今回は福島県のラーメン事情をお伝えします。

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 福島県といえば、北海道、岩手県に次ぐ全国第3位の面積を有する、非常に広大な県だ。県西部の会津若松市から、東部のいわき市までの直線距離は約120kmもある。県域の広さは、ラーメンシーンの多様さをもたらす。一部のエリアを除き、県の東西南北にバランスよくラーメン店が存在する“ラーメン王国”、それが福島県だ。


ラーメン文化別にみると、ざっくり「会津地方」(会津若松市・喜多方市)、「中通り」(福島市から白河市・西郷村)、「浜通り」(主にいわき市)に大別できる

 福島県のラーメンシーンを語る上で絶対に無視できないのが、ご当地ラーメン「喜多方ラーメン」と「白河ラーメン」の存在だろう。「喜多方ラーメン」は、1926年に潘欽星氏が創業した『源来軒』を祖とし、『坂内食堂』、『食堂はせ川』、『喜一』、『食堂なまえ』、『大安食堂』、『松食堂』、『一平』など、錚々たる名店をきら星のごとく輩出している。また、白河市を本拠地とする「白河ラーメン」は、レジェンド店『とら食堂』を筆頭に、『火風鼎』、『手打中華すずき』、『やたべ』、『いまの家』、『カネダイ』など、こちらも名店がズラリ。


喜多方ラーメンの本拠地・喜多方市の喜多方駅

 また、県全体を俯瞰すれば、「会津山塩ラーメン」「郡山ブラック」「冷やしラーメン」など各地域にさまざまなご当地麺が存在するほか、2000年代以降、“非ご当地ラーメン”店も福島市・郡山市などに急増中。例えば『伊達屋』、『えなみ』、『うろた』、『二階堂』、『HOME』、『うから家から』、『こばや』、『若武者』、『トクちゃんらーめん』、『正月屋』、『信成』などがそれ。またいわき市周辺にも『チーナン食堂』、『味世屋食堂』、『やま鳶』、『麺遊心』、『さ近』など、個性豊かな店舗群が独自のラーメン文化を築き上げている。

 ここまでで約30軒のラーメン店の名を挙げたが、これでもなお福島県のラーメンシーンを網羅できているとは到底言いがたい。福島ラーメンの全容を理解するには、少なくとも100店舗以上のラーメン実食経験がいると筆者は思っている。ここまで多くの“ラーメン実食経験値”が要求される都道府県はそうそうない。まさに福島県は稀有な“ラーメン王国”なのである。

 前置きが長くなってしまったが、ここ数ヶ月の間に私が訪れた福島県のラーメン店の中で、特に印象に残った店舗をご紹介していこう。

“ご飯と一緒に食べる”がコンセプトの至極の一杯とは?

 これまで、「白河ラーメン」の『手打ち中華そば もり』(白河市)、「喜多方ラーメン」の『とりそば にこみ 和(わ)』を紹介してきたが、今回は福島市からオススメの一軒をご紹介しよう。それが2023年8月、北矢野目にオープンした『自家製麺まつお』だ。

 ロケーションは、福島交通飯坂線・桜水駅から約1.7km。歩けない距離ではないが、状況によっては、JR福島駅東口から路線バス(福島交通)に乗って「イオン福島」までアクセスし、そこから徒歩で向かう方法もある。実際、私はバスを活用する方法で訪問した。

 さて、この『自家製麺まつお』の店主・本間翔さんは、福島市を代表する実力店のひとつ『自家製麺えなみ』で13年間修業を重ね、店長も務めた上で、満を持して一国一城の主となったスゴ腕。

 現在、同店が提供する麺メニューは「塩ラーメン」、「中濃ラーメン」、「骨粉つけ麺」、「淡麗つけ麺」など。メニューの画像を見ていただくとわかるとおり、すべての麺メニューについて、「ごはんもの」と合わせていただくことが推奨されているので、胃袋に余裕があればぜひ注文しておきたい。


“ご飯と一緒に食べてもらうラーメン”をコンセプトにしているので、各メニューに合わせたいご飯がしっかり明記してある(赤丸部分を参照)

 いずれのメニューも、市内屈指の完成度の高さを誇るが、私のイチオシは、店主が精魂込めてつくり上げた自家製太麺の魅力がダイレクトに堪能できる「骨粉つけ麺」。


「骨粉つけ麺」

 粘度が高く甘み豊かな動物&魚介濃厚スープを、存在感のある自家製ストレート麺がしっかりと巻き取り、着実に口元へと運び込んでくれる会心作。スープの口馴染みや、スープ嚥下後のうま味がもたらす余韻が極めて甘美である点も、特筆に値する。

 店主の修業元である『自家製麺えなみ』は、福島市における濃厚動物&魚介つけ麺のパイオニアとして、その名を東北全県へと鳴り響かせる名店中の名店だ。「骨粉つけ麺」は、そんな『えなみ』で長年にわたる研鑽の上で店主が習得した“匠の技”を惜しげもなく採り入れた優良杯。美味しくないわけがないのである。

●SHOP INFO

店名:自家製麺 まつお

住:福島県福島市北矢野目原田66-9
TEL:024-572-3037
営:11:00〜14:30、17:30〜20:00(LOは閉店10分前)
休:火曜

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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