恒星間天体「オウムアウア」が太陽帆(ソーラーセイル)を利用した異星人の宇宙船である可能性が示唆される

11月6日(火)20時30分 カラパイア

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 2017年10月19日、地球近傍天体探索計画パンスターズによって1I/2017 U1が発見された(該当記事

 オウムアムアとも呼ばれるこの天体は、天体観測史上初となる恒星間天体で、その後の追跡観測からは、大きさや形状についての情報や、彗星と小惑星の両方の特徴を持っていることなどが明らかにされた。

 興味深いことに、その形状から星々を旅する宇宙船ではないかという憶測も流れている。

 ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのシュムエル・ビアリ(Shmuel Bialy)氏とアブラハム・ローブ(Abraham Loeb)氏による新しい研究ではさらに一歩進め、オウムアムアは地球外に起源がある太陽帆、すなわちソーラーセイルかもしれないとまで示唆している。

・これまでに判明したこと

 最初に発見されたとき、それは太陽から0.25AU(1AUは地球と太陽の距離)の距離にあり、すでに太陽系から脱出しようとしていた。

 当時、非常に密度が高いこと(岩と金属で構成されている可能性)と高速で回転しているらしいことが確認された。

 それが太陽の近くを通過するときにガスを放出している兆候は一切確認されていない。一方、それまで考えられていたよりも氷が多いことを示唆するスペクトルが検出された。

 その後、太陽系を離れ始めたその姿を映した最後の画像がハッブル宇宙望遠鏡によって撮影され、オウムアムアが予期しない動きをしていることが明らかにされた。

 画像の解析から、オウムアムアが減速するだろうとの予測とは反対に、加速していることが判明したのだ。

 最も考えられる理由は、太陽の熱によって表面から物質が放出され、それによって押されているというものだ。これは彗星の挙動でもある。


ESOcast 167: VLT sees `Oumuamua getting a boost

・ソーラーセイル説

 しかしビアリ氏とローブ氏はこの説明に反論する。

 仮に「オウムアムアが彗星であるのなら、それが一番太陽に接近したタイミングでなぜガスを放出させなかったのか?」と。

 さらに、別の研究に言及して、ガス放出が加速の原因であるのなら、回転にも急激な変化(これまで観測されていない)があるはずだというのだ。

 両氏の考えでは、「オウムアムアはじつはソーラーセイルという、放射線の圧力で推進力を発生させる宇宙船」かもしれないという。

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 ソーラーセイル(太陽帆)とは、薄膜鏡を巨大な帆として、太陽などの恒星から発せられる光やイオンなどを反射することで宇宙船の推力に変える推進装置のこと。

 太陽系から4.37光年離れたケンタウルス座アルファ星へ宇宙船を送り込もうとしているブレークスルー・スターショット計画が準備を進めているものがそれだ。

 ローブ氏によると、太陽光によって観測された加速が実現するには、物体の厚みは「数分の1ミリと極薄でありつつ、大きさは10メートル単位」でなければならないという。

 これならば「表面面積に比べて十分軽く、ソーラーセイルのように機能する」ことができる。その正体については、自然物(星間媒質や原始惑星系円盤など)と人工物(太陽系に送り込まれた探査機など)の両方の線が考えられるらしい。

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生命の存在が期待されるプロキシマbに接近するソーラーセイル宇宙船の想像図
image credit:PHL @ UPR Arecibo

 こう仮定して、形状・厚さ・質量/面積比を試算。さらにこの物体が星間宇宙の旅や、回転や潮汐力によって生じる伸張のストレスに耐えられるかといったことが考察された。

 その結果、ソーラーセイルはしっかりした物質で0.3〜0.9ミリもあれば、銀河を横断するような旅にも耐えられることが判明した。オウムアムアの質量密度に大きく依存するところはあるのだが、それだけの厚さがあれば宇宙に充満するチリやガスの衝突、さらには遠心力や潮汐力にも耐えることができる。

・オウムアムアの起源と宇宙考古学の可能性

 その地球外に起源があるソーラーセイルが太陽系で何をしているのかについても、ビアリ氏とローブ氏はいくつか仮説を提唱している。

 まず、それが機能しておらず、ただ重力と放射線の影響で浮遊しているだけという可能性だ。この説だと、ブレークスルー・リッスン計画で電波が検出されなかった理由を説明できる。

 ローブ氏はさらに『Scientific American』の中でもこのアイデアを述べ、「オウムアムアは星間宇宙から太陽系に流れ着いた人工遺物として初めて観測された事例」かもしれないと説明している。

 しかも、日本発のIKAROSや自身がかかわるスターショット・イニシアチブなど、それに似たものならすでに人の手で設計されたらしいのだ。

 これについて、ローブ氏は「宇宙考古学という新しいフロンティア」の基礎になる可能性があると論じている。

 こうした「人工由来の宇宙のジャンク」が存在するという証拠を見つけることができれば、「我々は独りか?」という昔から問い続けられてきた疑問に対してきちんとした答えを出すことができるだろうという。

 それは「私たちの文化に劇的な影響を与え、人類の活動の重要性について新しい宇宙観」を芽生えさせることになる。

 ローブ氏は『Universe Today』に対して、「オウムアムアは異星テクノロジーで、太陽系を探査するために活動中の機器かもしれない。スターショットのテクノロジーのような、それと同じような方法で私たちもアルファ・ケンタウリを探索できればいいと思う」と語っている。


・他にも探査機が?

 ローブ氏によると、オウムアムアが通過した太陽から0.25AUという軌道は、太陽の放射線を過度に浴びることなく地球を横切るには都合のいい経路だったという。

 しかも、それは地球から0.15AUの距離まで近づいている。これはフライバイをやりやすいように意図された軌道の修正によるものだったのかもしれない。

 さらに、そうした探査機が無数に派遣され、それらのうちの1つが地球を調べるために接近したという可能性もある。

 オウムアムアが地球に最も近づいたとき、パンスターズでそれをほとんど検出できなかったという事実は、まだ他にも見つかっていない探査機が無数にある可能性をも示唆する。

 最近、ある天文学者が、太陽系はオウムアムアのような星間天体を無数に捕捉してきた可能性が濃厚と結論付けた。

 このことは、将来的な発見によって星間ソーラーセイルの事例が証明(あるいは反証)される可能性の扉を開く。

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ソーラーセイル探査機IKAROSの想像図
image credit: Wikimedia Commons/Andrzej Mirecki


・オウムアムアの謎を解き明かすことは宇宙技術につながる

 当然、ローブ氏もビアリ氏も、オウムアムアの正体について分かっていないことがたくさんあるのは承知している。

 そして、仮にそれが自然の岩石だったのだとしても、その質量/面積比は既知の彗星や小惑星よりもかなり小さい。

 そのことと、放射線の圧力がオウムアムアを加速させられそうだという事実は、それが「これまで未発見だった薄い星間物質という新しい分類に属する」ということである。

 そうであるならば、「そのようなものがどのように、何(あるいは誰)によって生じたのかという新しい数々の疑問が浮上」する。

 それが望遠鏡で捉えられる範囲を出てしまってからほぼ1年近くになるが、アウムアウアは今後何年も絶好の研究対象であり続けるだろう。

References:arxiv.org / scientificamerican / universetoday/ written by hiroching / edited by parumo

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