【社会実験】街ゆく人に「ご飯を恵んで」と頼んだら...? 1,700万回再生され話題を呼んだ動画

11月6日(木)8時0分 tocana

画像は、YouTubeより

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 想像してみてほしい。

 あなたは新宿の雑踏に立って、ビッグマックをほおばっている。新宿じゃなく渋谷のTSUTAYA前でもいい。ビッグマックではなく、バーガーキングのワッパーでもいいのだが、要は、人が行き交う街中で何かを食べている。そこで突然、知らない人に「お腹が空いてたまらない、その食べ物を分けてくれないか?」と、尋ねられたら、あなたならどうするだろう?

 そんな素朴な疑問を検証したビデオが、Youtubeで評判になり、1週間そこそこで1,700万アクセスを突破した。

【動画は、コチラ→http://tocana.jp/2014/11/post_5130.html】

■食べ物を求めてことごとく断られるスタッフ

 この実験はOckTVというネットTVが実際にニューヨーク行い、映像化した。

「ハーイ、それ、ちょっとくれないかな、ものすごくお腹がすいているんだ」

 ピザショップの店外の椅子に座り食事をしている男にOckTVのクルーがこう尋ねる。

「ごめん。これはあげられないんだ」とクルーの申し出を断る男。

 次に、クルーは別の男に声をかける。

「すいません、そのピザ1枚、くれませんか? お腹が空いてしまって」

「ダメダメ、どっかよそにいってくれ!」

 断られただけでなく、"Fuck Off"を連呼され、強い調子で拒絶。まるで、エサをねだって追っ払われる野良犬扱いである。

 常識的に考えて、彼らの反応は至極もっともだ。断る際の言い回しや雰囲気の違いはあっても、小ぎれいに整った姿の見ず知らずのいい若者が食べ物をせびってきたら、誰だって不審に思う。「メシくらい自分で稼いで買え」と思い不快に感じる人がいても無理はない。


■食べものを求められたホームレスが示した意外な反応

 次に、クルーは少々ひねった実験を行う。ホームレスにあらかじめホールサイズのピザを恵み、別のスタッフが他人を装い、そのホームレスにピザを分けてもらえないか尋ねたさいの反応を試したのだ。

 ピザの箱を手に2人のクルーがホームレスに近づく。

「どう、元気? ピザがあるんだけど食べる?」

「もちろん。ありがとう」

 疲れきった面持ちのホームレスは弱々しい微笑みを見せながら、ピザを手に取る。ここのところ何も口にしていなかったのだろう。嬉しそうだ。ほのかに目が潤んでいる。

「気をつけてね」と言って立ち去るクルー達。すぐさま箱を空けピザを口にしようとするホームレス。

 そして、シーンは切り替わる。20分後、別のクルーがピザを食べるホームレスに近づき、横に座って話しかけた。

「お腹が空いちゃって。辛いんだ。それ、1つくれないかな?」

「もちろん。いいよ」

「大丈夫?」

「いいさいいさ」

「ありがとう、すごく辛いんだよ」

 スタッフは1スライスを手に取りかぶりつく。ビデオからはよくは聞き取れないのだが、ホームレスはスタッフにいたわりの言葉さえかけているようだ。スタッフも「キミの気持ちはわかるよ」と慰める。一瞬とはいえ、2人の心が通ったかのような、暖かな空気の変化が感じられる。

 黙々とピザを口に運ぶ2人。別れ際、スタッフはホームレスに感謝の言葉をかけ、サイフから数枚のドル札を取り出し、ホームレスが持っていたカップに入れた。堪らずに泣き出すホームレス。特に驚きや不信感のない彼の表情から、スタッフが彼に与えた金額は1ドル札3〜4枚だと思われる。

「神のご加護を」と言ってスタッフは立ち去った。

 およそ3分半の映像のおおまかな筋書きはこんなところだ。


■貧しい者こそがよく与えるのか!?

「よくやった」
「感動した。すごくいい」
「ホームレスの人はキレイな心の持ち主。仕事をあげてほしい」
「自分より奇麗な身なりの相手にピザを上げたホームレスはえらい」
「貧しい人の方が寛大」

 等々、視聴者の反応はおおむね好評だ。とりわけ、やっと手にした食料を迷うことなく他人に与えたホームレスを賞賛するコメントが多く見られた。一方で、なかにはスタッフがお金を渡した行為について「いくらあげたの? そのお金でピザを何枚も買えたんじゃない?」というような茶々を入れる者や「ホールサイズのピザを持ってたら分けてあげるけど、2ピースしかなかったら分けないと思う」と、実に現実的で正直な心情を書き込んでいた人もいた。

 このビデオはおよそ3分半、もちろん編集されている。もしかすると、冒頭でクルーの申し出を断った3人のほかには、ホームレス男性と同様に惜しむことなく食べ物を分け与えたものもいたかもしれないし、逆に、別に求められてもピザを分け与えなかったホームレスもいたかもしれない。「金持ちケンカせず」と言うように、お金を持っている人のほうが寛大ということはままある。反対に、貧しさが人を狭量にし、極端な場合には他人を殺すことだってある。

 そう考えると、このビデオの内容だけを見て「持つ者は他人に与えず、持たざるものこそが他人と分かち合う心を持っている」「貧しいものは優しい」というような、道徳の教科書に出てくるウェルメイドなエピソードと判断し誉め称えるのはもしかるすと少々アマいのかもしれない。

 とはいえ、このホームレス男性の行為に嘘はない(だろう)し、このビデオが1,700万以上のアクセスを獲得し世界中の多くの人を感動させたのは事実。「しょせんは編集済みのドキュメンタリーでしょう?」と、計らずも、見なくてもいい裏側を想像してしまう自分の心根に、貧しさと一抹の罪悪感を筆者が感じてしまったのも事実で、そういうことを考えるきっかけとしても良い動画といえるのかもしれない。

 1つ言えることは、「貧しい人が他人に物を分け与える」という物語が人を感動させずにはいられない世の中ってどーよ? ということ。それと、昨今流行の心理学者、アドラーも言っているように人は社会に繋がり、他人に何かを与えることができたときにのみ自尊心や自己肯定感、幸せを感じることができる。きっと、このホームレス男性もそう感じたに違いない。その点で、OckTVのスタッフが行ったことはグッドジョブだと言えるのかもしれない。
(セルジュ・サキヤマ)

※画像は、YouTubeより 

tocana

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