ニュース番組司会者が問題視! 西アフリカで囁かれる「エボラの呪い伝説」

11月6日(木)19時30分 tocana

画像は、Tony Cairns from flickr (CC BY 2.0)

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 西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱。スペインやアメリカでもエボラ感染者が確認されており、じわじわと世界各国に広がりつつある。

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 長い間"対岸の火事"状態だったアメリカでは、9月末、リベリアに渡航した男性がテキサス州ダラスに帰国後エボラ出血熱を発症。アメリカ初のエボラ感染患者となったこの男性は10月8日に入院先のダラスの病院で死亡し、その4日後、当局は治療にあたっていた医療従事者が二次感染した可能性があると発表した。二次感染した医療従事者たちは回復したが、24日になるとギニアから帰国したニューヨーク在住の医師が発症。その後も、連日のように「エボラ出血熱の疑いがある患者を検査している」というニュースが流れている。

 そんな中、米五大放送局のFOXのニュース番組司会者が、「西アフリカの人たちは伝統医学を信じない。それが問題なのよ。そんな人たちがアメリカでエボラを発症したら、病院なんて行かないわ。呪術医を探して頼り、サンテリアで治してもらおうとするわ。そうなったら、エボラは一気にアウトブレイクしてしまう」と発言。

 これに対し視聴者から「西アフリカが抱えている問題は、エボラ患者を収容し治療する病院やベッドの数が少な過ぎることであり、誰も彼もが呪術医に頼っているわけではない」「あまりにも無知過ぎる発言。人種差別だ」と強く批難される事態となったが...。


■民間信仰がエボラ拡大の原因か?

 司会者が言ったサンテリアとは、西アフリカの民俗信仰と、カトリック、スピリティズムなどが混ぜ合わさったキューバ人の民間信仰のこと。厄よけ儀式を行い、病気も治してくれると信じられている。アメリカ人の多くは、現代社会において真剣に呪術に頼る者はほんの一握りだと思っているようだが、実はこのような民俗信仰、民間信仰はエボラが蔓延している西アフリカではメジャーであり、エボラの拡散の原因となっているという説は強い。

 今回の"エボラ出血熱流行"は、昨年末にギニアで始まったとされ、近隣国のシエラレオネ、リベリアと広まったと報告されている。シエラレオネでは瞬く間に流行が広まり、7月末には大統領が非常事態宣言をした。その頃、同国でエボラ患者の治療にあたっていたイギリスの医師は、流行を食い止められなかった理由として、「この国に住む多くの人々が、エボラで死んでいく患者を、病ではなく黒魔術をかけられ死んでくのだと信じている。魔術師によるものだから病院に行く意味がないと思い込んでいる」と証言。

 また、英紙『The Telegraph』の取材に対して、「エボラが最も流行っているシエラレオネ、ギニア、リベリアの田舎では、エボラなのに"病気じゃないから"と治療せず、魔術師に見てもらう人が多い。そのため、流行を止めることができないでいる」と明かした。

 国際赤十字赤新月社連盟も公式サイトで、同様の指摘をし、シエラレオネの国民の間で伝えられている"エボラ"は呪いによるものだという話を2つ紹介。


■シエラレオネで囁かれる エボラ伝説1 箱と蛇

 一つは、蛇の呪いで、「ある村の女性が、留守番をする夫には『絶対に開けないで』と言って、ある箱を残して旅に出た。しかし、夫は興味を抑えきれず、開けてしまう。箱に中には蛇が入っており、夫に向かって『私がここにいることは誰にも知らせるな。知らせたら村人を一人残らず殺す』と警告した。しかし、夫はまたもや我慢できずに村のみんなに蛇がいることを話してしまった。蛇は激怒し、村人たちを殺し始めた。この蛇の毒牙により大量の人々が死んでいる」というもの。


■エボラ伝説1 隔離病棟のマッドドクター

 もう一つは、シエラレオネのケネマという地区で広まっている噂で、隔離病棟の医師が患者に致死量の猛毒注射を打ち、大量殺人を行っているという話。多くの地元民が、隔離病棟に入ると生きて戻れないのはそのためだと信じており、そのため病院で治療を受けることをしないでいると伝えた。

 8月になると、ケネマの医療当局者が仏通信社『AFP』の取材に対して、国境沿いにあるソコマ村のヒーラーが、ギニアからシエラレオネにエボラウイルスを持ち込んだと語り、欧米を驚かせた。この女性ヒーラーは、エボラを治癒する能力があると言い、彼女の治療を受けようとギニアからエボラ感染患者たちがゾロゾロとシエラレオネに入ってきた。ヒーラーはエボラに感染してすでに死亡しており、このヒーラーを信頼していた近隣の町の女性たちが押しかけて彼女の葬儀に駆けつけ、感染。こうして瞬く間にシエラレオネにエボラが広まったというのだ。

 それから3カ月経ち、WHOだけでなく国際連合安全保障理事会もエボラ感染拡大を食い止めようと必死になっている今現在も、シエラレオネでは相変らず、エボラを「病気ではなく黒魔術」だと信じる者が多いとのこと。英紙『フィナンシャル・タイムズ』は10月、シエラレオネにはエボラで両親を亡くした孤児が数百人おり、この子どもたちが地域の住民たちから、「呪われた子どもたち」だと恐れられ、差別され疎外されているのだと報道。


■白人の言葉を信じることができない人々

「エボラは黒魔術の呪い、または白人の陰謀により感染するものだと信じられている」「外国人は信じられないという人が多く、配布された石鹸に毒が塗りこまれているという噂が広まり、みなが捨てるという騒動になったこともある」という厳しい現状を伝えた。

 シエラレオネでは、救急医療体制がまだまだ整っておらず、医者にかかろうとする者も、病院が遠すぎるために搬送中に亡くなってしまうケースが多いという。同国の救急医療体制は機能不全に陥っているとも指摘されており、黒魔術の呪いのせいだと信じたり、ヒーラーに助けを求めるのも仕方ないのかもしれない。

 日本でもエボラが持ち込まれないよう、阻止するために検疫強化をすることが決定したと報じられている。しかし、どんなに先進国が頑張っても、西アフリカでエボラが撲滅しない限りパンデミックになる可能性は否めない。FOXのニュース番組司会者の意見は、決して大げさなものではないのである。

※画像は、Tony Cairns from flickr CC BY 2.0

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