雄から雌へと性転換するニューハーフ樹木 — 五千年の遥かなる時を経て

11月8日(日)8時0分 tocana

フォーティンゴールのイチイ 画像は「Wikipedia」より

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 クマノミやキンギョハナダイをはじめ、海中の生き物はサンゴ礁に住む魚類を中心に、約300種類が性転換をするという。これは過酷な生存競争を生き抜くためであり、同時に効率よく子孫を残す術としての進化だ。ただし、あくまで海での話で、陸上ではごく一部の限られた生物にしか性転換は見られない。しかし今、植物学者が「古木が雄株から雌株へ性転換しつつある」と発表し、世界中を驚かせている。

 スコットランド、パースシャーのフォーティンゴール村の教会敷地内に生えるヨーロッパイチイの古木。"フォーティンゴールのイチイ"の名で知られるこの古木は、新約聖書にイエス・キリストの処刑に関与した総督として登場するピラトが、生まれ遊んだ木という説が囁かれ、地元では伝説にもなっているとか。それだけ歴史のある木ということで"イギリス最古の木"という可能性もあるようだが、樹齢の憶測は専門家により1,500年〜5,000年とさまざまだ。

 ところが、雄株と確認されていたそのイチイの古木が、最近になり実をつけ始めたのだ。発見したイギリス・エディンバラ王立植物園のマックス・コールマン氏は、極めて稀なケースとし「異常現象であり、十分に解明されていない」と語った。また、「環境ストレスによる、ホルモンのような化合物のバランスの変化で、性別の転換を引き起こしている」とも考えているようだ。しかし「見たところ健康で、今後の変化について詳しく観察中」ということなので、解明が待たれる。

 この発表は日本でも報じられ、世間からは「性転換にも驚きだが、それだけ長く生きていることにも驚き」「木にも性別があったのか」「子孫を残そうとしているのか!?」など、驚きの声が上がっている。

 ただ、「たまに植物であるよね」という声も......。

 ミミガタテンナンショウを筆頭に、一部栄養状態によって性転換を見せる、被子植物単子葉類サトイモ科に属するテンナンショウ属。栄養状態が良好で地下茎が大きくなると雄株から雌株へ、一方小さくなると雌株から雄株へと可逆的に性転換する。

 それだけではなく、同一株の成長に伴い、無性株から雄株、さらに雌株へと変化することも。他にも、ヤツデの花は雄しべが働く時間(雄期)から雌しべが働く時間(雌期)へと変化するものが存在する。また、変化の途中でどちらにも属さない無性期や、どちらも持つ両性期すらあるようだ。

 なお、花が性転換するのは近親交配や自家受粉を防ぐためとされている。もしかしたら、「子孫を残そうとしているのか」という声のとおり、"フォーティンゴールのイチイ"も何百年ぶりかの交配の準備に取り掛かっているのかもしれない。

※画像は、フォーティンゴールのイチイ 「Wikipedia」より

tocana

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