働き方改革で管理職が疲弊しない方法は? やらないことを決め、メンバー全員で1か月の仕事を洗い出しする
2019年11月11日(月)7時0分 キャリコネニュース
働き方改革が進められる中、部下に残業をさせられないと、上司自らが仕事を抱えてしまうケースが増えているようです。以下のようなことがありませんか?
「残業を部下にさせるなと言うけど、仕事量が依然と同じか、逆に増えています」
「部下に残業をさせられないので、土日出勤が増えている」
「テレワークやら何やらで、部下がどこで何をやっているのかさっぱりわからん」
働き方改革が進められる中、働きやすさの整備はもちろん大切ですが、そのおかげで管理職自身が疲弊してしまうのでは困ったものです。今回はそのような状況に陥らないために管理職は何をしていけばいいのかについて考察してまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
働き方改革の"しわ寄せ"がミドルマネジメント層と言われる現場管理職に……労働力人口が減少する中、政府としては一億総活躍社会を早期に実現せねばなりません。様々な背景を持った人たちが生産性高く働くためには、「長時間労働の解消」「非正規と正社員の格差是正」「高齢者の就労促進」を中心とした働き方改革が必要なのでしょう。
しかし、現状としては生産性が向上しないまま、長時間労働の是正がすすめられているのが実際です。そのしわ寄せがミドルマネジメント層と言われる現場管理職に押し寄せているのです。
そのため、「働き方改革が進められるようになって逆に忙しくなった」「現場の部下とのコミュニケーションする時間が減ってしまい、マネジメントがうまく機能しなくなってきてしまった」との声が聞かれるのです。
大切なのは"メンバーとの目線合わせ" こまめに行っていきましょう!やみくもに残業時間の削減を目指しても、管理職だけが忙しくなるだけです。働き方改革に対するメンバー全員の目線をあわせていく必要があります。以下のような順番で目線をあわせていきましょう。
1.働き方改革とは何なのかについて共有し、会社と自組織の方針を共有します。
2.メンバー全員で1か月間の仕事の洗い出しを行い、誰がどのような重みの仕事をどれくらい担っているのかを共有していきましょう。
暗黙知の中で仕事が行われている日本の会社においては、仕事の偏りは必ずあります。メンバー自身の基準の元、「俺は働きすぎだ!」などといった思いが蔓延すると職場がギスギスしてしまいますので。
3.やらないことを決める会議を2か月に1回は開催しましょう。
新しいことを始めるには、古いものを手放していくことが必要です。従来の働き方の無駄を皆で見つけていきましょう。
4.お互いの予定を共有できる工夫をしましょう。
デジタルツールを使うもよし、アナログでいくもよしです。お互いが何をやっているのかがわからなくなることだけは避けましょう。
5.タイムマネジメントスキルを学ぶ機会を設け、PDCAを回し続ける。
仕事にかかる時間を管理するスケジュール管理といった技法他、タイムマネジメントスキルは沢山あります。どんどん使っていきましょう。タイムマネジメントスキルの詳細に関しては改めてお伝えさせていただきます。
価値観を仕事の中で感じられることは生産性を30%向上させる働き方改革の中で、メンバー個々の生産性を上げるポイントは"内発的動機付"です。今まで以上に深いコミュニケーションで、メンバーの強みと動機づけのポイント(=メンバーの価値観)を探っていきましょう。
強みを活かしたマネジメントは弱みを克服させるマネジメント以上に高い成果を出すと言われています。価値観を仕事の中で感じられることは生産性を30%向上させるとも言われていますので。
そして、ここが大切なのですが、成長していくメンバーに仕事を任せる勇気を発揮していきましょう。
以上、働き方改革の中で管理職自身が疲弊しないためのポイントを具体的な推進施策の部分と内発的動機づけといった部分からお話してまいりました。働き方改革推進はこれからますます本格化してまいります。先手先手で組織マネジメントを進めていきましょう。
【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント
1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。