「ミスター・トルネード」藤田博士の伝記作成へ 米気象学会

11月11日(月)13時47分 毎日新聞

藤田哲也博士=藤田家提供

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 竜巻研究の世界的な権威で「ミスター・トルネード」と呼ばれた北九州市出身の気象学者、藤田哲也博士(1920〜98年)の生誕100年を記念し、研究生活の大半を過ごした米国の気象学会が伝記を作る。博士の足跡をたどるため、今秋には米国の研究者が北九州市などゆかりの地を訪問。母校や親戚などを回って取材した。


 伝記を執筆する米国気象学会評議員でコロラド州立大のジェニファー・ヘンダーソンさん(45)が10月下旬、北九州市にある博士の母校、小倉高校や九州工業大を訪ねた。生まれ育った小倉南区の図書館では、博士に関する展示コーナーで竜巻のスケッチなどゆかりの品や、住民の寄付で制作した胸像などを見て回り、地元の顕彰活動への理解を深めた。


 同市滞在中は、博士の弟碩也(せきや)さん(故人)の妻八重子さん(85)や博士の知人ら8人と面会。博士が少年時代に同区のカルスト台地・平尾台で鍾乳洞を発見したり、山の倒木を見て倒れ方から風の力や向きを調べたりしたエピソードが飛び出し、八重子さんから「家でじっとせず、遊びと研究が結びついた人だった」と説明を受けた。


 ヘンダーソンさんは「あまり知られていない日本での姿から、好奇心が旺盛で、世の中のことを一生懸命に理解しようとした人だと分かった」と感心した様子だった。日米両国での足跡をまとめた伝記は来年末〜2021年初めに完成させ、米国で出版される予定。21年の米国気象学会総会でも発表されるという。


 32歳で渡米後、米国籍を取得した藤田博士の功績は、半世紀近くを過ごした米国など海外に比べ、国内ではまだ知られていない。このため北九州市は、17年末に閉園したテーマパーク、スペースワールド(八幡東区)の跡地に移転する児童文化科学館に博士の顕彰スペースを設ける予定だ。研究遺品の展示や竜巻のような空気の渦を作り出す実験装置の導入も検討している。


 地元で17年に発足した「藤田哲也博士を顕彰する会」は、今回来日したヘンダーソンさんの案内役を務めた。同会の発起人代表で、小倉南区自治総連合会長の三郎丸正熙(まさひろ)さん(75)は「世界で高く評価される藤田先生のことを知ってもらうチャンスが来た」と期待を寄せている。【松田栄二郎】


 ◇藤田哲也博士


 1920年、福岡県曽根村(現北九州市小倉南区)生まれ。母校の明治専門学校(現九州工業大)で教べんを執り、東京大の博士号を取得後、53年に渡米。シカゴ大で竜巻研究を始め、71年、被害状況をもとに風速を推測し「F0」から最強の「F5」まで6段階で竜巻の規模を表す国際基準「藤田スケール(Fスケール)」を考案した。75年にはニューヨークの空港で起きた旅客機墜落事故の調査で、強い下降気流(ダウンバースト)が原因だったことを突き止め、空の安全にも寄与した。

毎日新聞

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