タイヤ交換が憂鬱? 新たな選択肢「オールシーズンタイヤ」に注目!

11月11日(月)11時30分 マイナビニュース

本格的に寒くなる前のこの時期、自動車ユーザーであれば、考えなくてはならないのが冬タイヤのことだ。いつスタッドレスタイヤに交換するか? あるいは、持っているスタッドレスタイヤはまだ使えるのか? そして春には、また元のタイヤに戻す必要がある。これがなかなか面倒だ。そんな中、近頃注目を集めているのがオールシーズンタイヤ。1年中、装着しっぱなしで通年を乗り切ろうという“むしのよい”タイヤだ。

○あると安心だけど…スタッドレスの悩み

どれも黒くて丸いタイヤ。選び方は難しい。

乗用車用のタイヤは、細かく分けるといろいろあるが、大きく「サマータイヤ」と「スタッドレスタイヤ」に分けることができる。サマータイヤとは、新車を買うと付いてくる「普通のタイヤ」のこと。スタッドレスタイヤは雪上、氷上で真価を発揮する「冬用タイヤ」だ。この2種類のタイヤを季節によって使い分けるのが一般的である。

まず雪が降らないし、冬季でも路面が凍結しないという暖かい地域のユーザーは、サマータイヤだけ持っていれば問題ない。ただ、暖かい地域に住んでいても、ウインタースポーツを楽しむために積雪地域へ足を運ぶため、スタッドレスタイヤに履き替えるという人も多いはずだ。

雪が積もる12月頃にサマータイヤからスタッドレスタイヤに交換し、3〜4月に元に戻すのが一般的だが、はっきりいって、これが面倒くさい。自分で交換するにせよ業者に頼むにせよ、作業自体が面倒だし、業者に頼めばコストもかかる。ガレージが住居に隣接していない集合住宅の場合、使っていないほうのタイヤセットを保管する場所の確保も大変だ。

毎年、必ず雪が積もったり路面が凍結したりして、スタッドレスタイヤが不可欠な地域で生活している場合には、面倒くさいなどといっていられないから、そういうものとして諦めがつくかもしれない。だが、東京をはじめ、スタッドレスタイヤに交換しても、効果を発揮する場面がひと冬に1〜2度あるかどうかという地域で生活している場合、ついついスタッドレスタイヤへの交換が先延ばしになるし、サマータイヤへ戻す際に「そういえば、今シーズンは1度もスタッドレスタイヤのお世話にならなかったな」などと振り返って、徒労感を抱くことも少なくない。もしもの時のための保険だから仕方ないのだが……。

○いいとこどり? オールシーズンタイヤを検証

サマータイヤでもスタッドレスでもない第3の選択肢として、ここ数年で本格的に流通し始め、注目を集めているのがオールシーズンタイヤだ。暖かい時期にはサマータイヤと同じように使えて、寒い時期には、条件こそ限定されるものの、スタッドレスタイヤ並みのグリップ力を維持するという“いいとこどり”のタイヤだ。スタッドレスタイヤとの決定的な違いは、スタッドレスタイヤが雪上でも氷上(凍結路)でも一定のグリップ力を維持するのに対し、オールシーズンは雪上であればグリップ力を発揮するものの、氷上ではサマータイヤ並みのグリップ力しかない、つまり、ほとんど使えないという点である。

スタッドレスタイヤは、低温でも柔軟性を維持するコンパウンド(ゴム素材)が用いられている上、踏面に細かい溝(サイプ)が刻まれているので、雪上でも氷上でも、路面とタイヤの間にできるだけ水膜を作らないような設計となっている。その代わり、ひと昔前とは比べ物にならないほど改善されたとはいえ、ドライ路面でのグリップ力やウェット性能はサマータイヤよりも劣る。ドライ路面で使い続けると寿命も短い。だから、冬だけ使うのだ。

オールシーズンタイヤは大雑把にいうと、コンパウンドも溝の形状も、サマータイヤとスタッドレスタイヤの中間的な設計となっている。ドライ路面ではサマータイヤほどのグリップ力はないものの十分な性能を発揮し、雪上でもスタッドレスタイヤほどではないが結構グリップする。また、オールシーズンタイヤを装着していれば、冬用タイヤ規制区間も走行が可能だ。

私個人としては、2年前からオールシーズンタイヤを自分のボルボ「V40」に装着している。当時、主要メーカーとしてはほぼ唯一、日本市場でオールシーズンタイヤを商品展開していたグッドイヤーの「ベクター4シーズンズハイブリッド」というタイヤだ。

実際に乗ってみると、ドライ路面では、サマータイヤよりは当たりがソフトというのが第一印象だったが、大昔のスタッドレスタイヤのように、ステアリングを切るとグニャリとした感触が手に伝わるようなことはない。そのソフトさも、何日か使ううちに完全に慣れ、それが普通の感覚となった。このあたり、最新のスタッドレスタイヤを春以降も装着しっぱなしにしている時の感覚に近い。構造上、限界域でのグリップ力はサマータイヤに劣るはずだが、常用域では何の不自由もなく使うことができた。若干、パターンノイズ(テレビの砂嵐状態のような「シャー」系の音)が大きめなのが、サマータイヤに対するネガティブなポイントといえる。

雪上性能はすばらしい。何度も雪上を走らせたが、グリップ力は予想をはるかに超えていた。圧雪でも溶けかけたシャーベット状の雪でも、スタッドレスタイヤと比べても遜色のないグリップ力を発揮し、安心して走らせることができた。

テストのため、あえて恐る恐る凍結路面へ進入すると、やはりサマータイヤでそうした際と同じで、優しくブレーキングをしても簡単にツーッとスリップする。だから、冬季にずっと積雪があり、朝晩の低温時に凍結路面を走らせる必要がある地域のユーザーは、必ずスタッドレスタイヤを選ぶ必要がある。オールシーズンタイヤはあくまで、冬季に降雪はあっても、ほとんど積雪しない地域のユーザーが、外出中に急な積雪に見舞われた際に帰宅するとか、本格的な冬ではなく、春が近くなってからスキー場へ行く際に適している。

それでも、年2回の交換作業から解放されるメリットはかなり大きい。年中装着しっぱなしなので寿命を心配したが、2シーズンで約2万キロを走行し、溝は6分山程度残った。

そして今夏、新たにミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート+」を装着したので、こちらの印象もお伝えすると、「まるっきりサマータイヤじゃないか!」というのが最初の感想だ。剛性感が高く、ハイペースでコーナーへ進入してもたわむような感覚は一切ない。

静粛性もサマータイヤと完全に同じレベルで、ドライ路面で使うことに何の我慢もいらない。トレッドパターン(溝のデザイン)が特有のV字シェイプなので、見ればオールシーズンタイヤだと分かるが、知らされずに乗れば、タイヤ開発者やレーシングドライバーでもない限り、サマータイヤだとしか思えないのではないだろうか。

これで本当に雪上でグリップを得られるのか、本当に気になる。今季、どこかで積雪があれば、すぐにでも確かめに行き、後編として報告させていただくつもりでいる。もしも十分なグリップを得られるなら、関東以西、以南の暖かい地域の全ての人に薦めたい。念のため、ゴムチェーンや最近話題の布製のすべり止めを車載しておけば完璧。タイヤの選択や交換時期に頭を悩ませることはなくなるはずだ。

グッドイヤー、ミシュランともに、オールシーズンタイヤの売れ行きは好調だという。そうした傾向を受けてか、先ごろの東京モーターショー2019では、ダンロップや横浜ゴムもオールシーズンタイヤを発表していた。日本でも、オールシーズンタイヤがサマータイヤ、スタッドレスタイヤに続く第3の選択肢として、幅広く受け入れられる日が近いのではないだろうか。

○著者情報:塩見智(シオミ・サトシ)
1972年岡山県生まれ。1995年に山陽新聞社入社後、2000年には『ベストカー』編集部へ。2004年に二玄社『NAVI』編集部員となり、2009年には同誌編集長に就任。2011年からはフリーの編集者/ライターとしてWebや自動車専門誌などに執筆している。

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