「パラレルワールドは存在する」注目を浴びる最新理論!

11月12日(水)9時0分 tocana

 もしあの時、別の選択をしていたら今の自分はどうなっていたのだろう......。不意にそんな考えに襲われたとき、我々は今の状況とは少し(だいぶ!?)違った世界、"パラレルワールド"を思い浮かべる。はたしてこの「パラレルワールド」は、我々の夢想の産物なのか、現実に存在するのか......? 先頃、「パラレルワールドは存在し、相互に影響し合っている」と主張する論文が発表されて大きな注目を浴びている。

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■パラレルワールドは相互に影響している

 今この瞬間にも世界は刻々と枝分かれして無数の「パラレルワールド」を生み出しているという考えは、1957年に当時プリンストン大学の大学院生であったヒュー・エヴェレットが提唱した「多世界解釈(Many Worlds Interpretation)」が起源だとされている。この解釈によればまさに、ある時点で違う選択をした、今とは"違う自分"がどこか別の世界にいるということになる。

 この考えは小説やドラマなどのフィクションの構想において実に魅力的な考えで、様々なSF小説や「架空戦記」物語、「歴史改変」ドラマなど多くの作品ジャンルを作り上げて今日に至っている。映画やアニメにもなった小説『時をかける少女』や、原作の漫画と共にアニメでも人気の『鋼の錬金術師』などもパラレルワールドを扱っていて、ご存知の方もきっと多いだろう。

 このようにパラレルワールドを思い浮かべれば何かと想像力が膨らむばかりなのだが、どんなに多くの世界があっても、1人の人間が選べるのは1つの現実だけである。したがって、他の世界を想像することはできても、今ある現実からパラレルワールドの存在を証明することはできない。つまり普通に考えれば、パラレルワールドはあってもなくても現実の我々には一切関係のない事柄なのだ。

 パラレルワールドを面白いドラマの着想の源として楽しむだけで、たいていの人々は満足しているといえそうだが、今回、豪グリフィス大学と米カリフォルニア大学の合同研究チームは「パラレルワールドが存在するばかりでなく、相互に影響し合っている」という新機軸を打ち立てる理論を発表した。パラレルワールドは実在し、しかもこの世界と無関係ではないというのだ。


■"反発"によって違うものになろうとする力が発生

 この驚くべき仮説が本当なのだとしたら、例えばどこか別のパラレルワールドで生活している"違う自分"の存在を確かめられる日が来るのだろうか? もしそんなことが可能だとしたら絶句するばかりだが、では、この仮説はいったいどんな根拠の上に立っているのか? どうやら、最先端の物理学で難解を極める「量子力学」の存在が、この仮説の形成に大きな影響を及ぼしているようである。

 今回の新理論のキーワードは、「相互干渉多世界(Many Interacting Worlds)」である。刻々と生み出されるパラレルワールドは微妙に"反発(repulsion)"し合うことで、元は同じだった一方の世界とは異なる方向へと変化を進めているというのだ。つまり、枝分かれしたパラレルワールド同士には"反発"によって違うものになろうとする力が発生しているということだ。そして"反発"しあうことでお互いに影響を与え合っているという。研究チームのリーダー、ハワード・ワイズマン教授とマイケル・ホール博士は「この『相互干渉多世界』の理論は難解な量子力学の説明に繋がり、複雑な研究領域の理解を飛躍的に高めるものです」と、「Physical Review X」に掲載された研究論文で主張している。またホール博士はこの仮説は近い将来、実験やシミュレーションで検証が可能だと述べている。そしてニュートン力学でも量子力学でもない新しい理論の構築への道を拓くものになるということだ。

 パラレルワールド同士の"反発"によって具体的に何が起り得るのか、またそれが我々にどんな影響を及ぼすのか、なかなか一筋縄では理解できそうにない。それで個人的にあれこれと思いを巡らせてみたのだが、例えば初訪問の飲食店で普段なら注文しないようなメニューを選びがちになったり、何かの機会に初めて訪れた土地では、普段はあまりしないようなことをしたり意外なことを考えたりすることが多そうなことに気がついた。こういった、初めての場所で「この機会に」とか「せっかくだから」と"違う自分"になろうとすることと「相互干渉多世界」はひょっとすると関連しているのかも? と考えた次第。もちろん個人の性格も大きく影響し一概には言えない例であるが......。しかし実在するというパラレルワールドに"どんだけ違う"自分がいるのか、見てみたいのは筆者だけではないだろう。
(文=仲田しんじ)

tocana

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