5教科7科目・前後期継続…H32年度以降の国立大学入試、基本方針を公表
2017年11月13日(月)19時31分 リセマム
今回公表された基本方針は、平成29年7月に文部科学省から「大学入学共通テスト実施方針」および「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」が公表されたことを受け、 平成19年11月に策定した「平成22年度以降の国立大学の入学者選抜制度—国立大学協会の基本方針—」を見直したもの。
国立大学入試における共通試験と個別試験の組合せは、大学入学者の学力水準を保証するとともに、多面的・総合的な評価により、高い意欲・関心を有する多様な学生を受け入れる有効かつ適切な方法であるとして、今後とも堅持する考え。平成32年度以降の「大学入学共通テスト」(新テスト)導入後も、すべての国立大学は「一般選抜」の第1次試験として、原則5教科7科目を課す。これにより、高校などにおける基礎的教科・科目についての学習の達成度を測るねらい。
また、英語科目の取扱いについて、センターが認定した民間の資格・検定試験(認定試験)を活用することを有効としつつも、十分な検証を行って実施・定着を図っていくことが必要との考えを示した。そのため、新テストの枠組みにおける5教科7科目の位置付けとして認定試験を「一般選抜」の全受験生に課すとともに、平成35年度までは、センターの新テストにおいて実施される英語試験をあわせて課すという。国語と数学に関しては、記述式問題を含む問題を「一般選抜」の全受験生に課す。
個別試験「一般選抜」では、各大学それぞれのアドミッションポリシーに基づき、論理的思考力・判断力・表現力を評価する高度な記述式試験を課す。教科・科目を含めた具体的な内容や方法については、各大学・学部の主体的な判断に委ねられるが、募集要項などにおいて出題意図や求める能力を明確にしたうえで受験生に課すことが明記されている。
個別試験の日程については、分離分割方式を継続する。少なくとも平成35年度に実施する平成36年度入学者選抜までの間は、従来どおり試験日程を前期日程と後期日程に分離して設定。募集人員の分割については各大学の裁量に委ねるなど、現行の方式を維持する。
そのほか、一定の学力を担保したうえで、学力試験以外の要素を加味した「総合型選抜」「学校推薦型選抜」などの取組みを加速・拡大することや、大学入学者選抜制度の継続的検討を行う考えを示した。
会長談話によると、今回の基本方針は、高大接続システム改革に関する基本理念を国立大学が共有して改革に取り組むことができるよう、また、受験生が見通しを持ち、安心して準備に専念できるようにするために示したもの。各国立大学は、それぞれのアドミッションポリシーに基づき具体的な入学者選抜方法などの検討を行い、平成30年度には予告・公表を行う。
なお、国立大学協会会長の山極壽一氏は、会長談話の発表と同時に、文部科学省に対して国立大学協会が指摘した諸問題について早急に検討を行い、詳細を明らかにすることを求めた。国立大学協会はその内容を精査したうえで、英語の認定試験および記述式試験の具体的な活用方法について、平成29年度中を目途に国立大学共通のガイドラインを作成する予定だという。
基本方針および会長談話は、国立大学協会Webサイトの「提言等」にて公開されている。