鈴木智博さんが選ぶ「備品・設備×プレイスメイキングを楽しむ本5冊」

2022年11月13日(日)11時0分 ソトコト







「TINY STAND」は、木製のモバイル屋台のレンタルと販売を行っているブランドです。地域を盛り上げるマーケットやイベントで一番の負担となるのが設営です。前日の夜から準備しているところも多くあり、それが毎回続いてメンバーが疲弊してしまい、その結果マーケット自体がなくなってしまうことも。また、毎回オリジナルで屋台をつくるとなるとお金もかかり、イベントが終わったあとには廃材も大量に出てしまいます。そうした現実を知り、設営者や企画者の負担を減らしたいと考え、生まれたのが「TINY STAND」です。工具が不要でひとりでも組み立てられることや、コンパクトに収納できて持ち運びしやすく、保管場所も選ばないことといったデザイン面はもちろん、レンタルしやすい価格設定にするなど使い手の気持ちに寄り添って展開しています。
 
僕は「TINY STAND」を社会課題を解決するソーシャルビジネスだと思っているのですが、その軸となる部分のエッセンスが書かれているのが、『これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。』です。2003年にアメリカのスタンフォード大学内で創刊された雑誌・WEBメディアの『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー』に掲載された論文を厳選してまとめたもので、紹介されている論文のすべてが興味深く、ソーシャルビジネスの具体的な仕組みやあり方がわかります。これからの時代は、ビジネス自体が社会課題と直結していないと継続が難しいと僕は考えていて、新しいプロダクトを考えるときにも「何のためにつくるのか」を常に意識しています。
プレイスメイキングの実践としてマーケットを始めたいと思っている人におすすめなのが、『マーケットでまちを変える』です。マーケットが地域の地価にも影響を与えているロンドンの事例や、東京で始まった新しいスタイルのマーケットなどを紹介しています。著者の鈴木美央さんは、実際に埼玉県で「Yanasegawa market(柳瀬川マーケット)」を主催されているのですが、本の後半にはマーケットを実際に始める際のポイントがかなり具体的に紹介されています。必要となる設備・備品についても詳しく書かれているので参考になると思います。
 
こうした本に刺激を受けたり、初心を思い出したりしながら、「TINY STAND」だけでなく、空間の活用をサポートする新しいプロダクトを生み出していけたらと思っています。


「TINY STAND」代表/『REIVER』代表•鈴木智博さんの選書



photographs by Hiroshi Takaoka & Yuichi Maruya text by Ikumi Tsubone
記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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