パノラミックな展望が魅力、大きな窓が特徴の展望列車「きらら」で京都の紅葉を車窓から楽しむ
2024年11月14日(木)8時0分 JBpress
文・写真=山﨑友也 取材協力=春燈社(小西眞由美)
車体の半分以上が窓
秋も深まり、紅葉も各地で見頃を迎えているなか、京都はやはり外せない観光地のひとつである。市内には多くの鉄道路線が走っているが、車窓から紅葉を楽しみたい人にオススメなのが叡山電車だ。
地元の人たちには「えいでん」と呼ばれ、市街地北部にある出町柳を起点に八瀬比叡山口を結ぶ叡山本線と、途中の宝ケ池から鞍馬までを結ぶ鞍馬線の2路線あり、それぞれ比叡山や、貴船神社、鞍馬寺などの観光の足としても利用されている。
今回取り上げるのは鞍馬線。支線ではあるがほぼすべての列車が出町柳から出発しているため、乗り換えることなく終点の鞍馬まで向かうことができる。この鞍馬線を走っているのが展望列車「きらら」である。
「きらら」は他の車両に比べて大きなガラス窓が特徴で、特に前面は車体の半分以上が窓という大胆なスタイルだ。そのため横からも前からも眺望が効き、移りかわる景色が堪能できる。列車は2両編成で、通常は壁となっている連結部にも窓を採用しているという徹底ぶり。車内は1+2の3列シートだが、2列側の中央付近の8席は窓を向いた配置となっているため、パノラミックな展望がより楽しめる。
このように沿線の風景を眺めることに特化した「きらら」であるが、なんと特別料金は不要で乗車券のみで利用できる大変お得な列車である。「えいでん」のホームページに「きらら」使用の列車の時刻が載っているので、是非チェックしてもらいたい。
乗客だけが味わえる絶景
鞍馬線の魅力は「きらら」だけに留まらない。出町柳から20分ちょっと乗車した市原から次の二ノ瀬までの区間に、ハイライトが待っている。そこは通称「もみじのトンネル」と呼ばれており、約250mに渡っておよそ280本ものイロハモミジやオオモミジに囲まれているのである。
赤やオレンジ、黄色に染まったモミジが車窓を覆い尽くし、鮮やかな色彩に染まるさまは、まさに絶景。紅葉のシーズンはこの区間で列車が徐行運転をしてくれるので、美しい景色をたっぷりと味わえる。しかもここは外から立ち入ることができないので、列車に乗っている人のみが経験できる特権でもある。
そんな「もみじのトンネル」だが、ボク的には夜に訪れることを推奨したい。なぜなら日没から21時頃まではライトアップがおこなわれているからだ。しかも徐行運転だけではなく、車内からよりいっそうこの景色を満喫できるよう、車内の明かりを消して真っ暗な状態で走るのである。
確かに夜間では車内の照明が窓ガラスに反射して、外の風景がよく見えない。こんな粋なサービスをしてくれる鉄道会社が他にあるだろうか。闇に浮かび上がった色とりどりの紅葉がゆっくりと窓の外を流れる光景は奥ゆかしく、幻想的で感動を禁じ得ない。
ちなみにそのようすを写真に収めたい場合には、スマホもカメラもライトやフラッシュが光らない設定にした方が良い。ライトやフラッシュの光が当たった場所が変に明るく写ったり、窓に反射したりしてしまうからだ。
ただし車内は真っ暗なので、座席などにスマホやカメラを押し当ててなるべく固定した状態でシャッターを押そう。それでも写真がぶれてしまう可能性が非常に高いが、列車に揺られながら紅葉を眺めているという臨場感は間違いなく表現できる。
さて、トンネルを抜けて二ノ瀬に到着したら、こちらの駅で下車しよう。ホームには真紅に色づいた立派なモミジがライトアップされており、旅人を快く出迎えてくれている。
筆者:山﨑 友也