眠れない、食べられない…不安が強すぎるときの対処法

11月15日(水)21時15分 All About

不安が日常生活に支障が出るほど強い場合、ストレス以外の問題が関与している可能性があります。

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ニュースを見ただけで不安……強い不安症状にどう対処する?

私たちの日常に、不安は付き物かもしれません。職場や家庭、自分自身の健康など身の回りのことはもちろん、テレビや新聞の報道やインターネットなどでの話題がきっかけで、不安感に囚われてしまうこともあるかもしれません。

大きな災害や事故の報道を見れば、自分の身にそうしたことが起こったらどうしようと不安になる方もいるでしょう。国内の事件・事故だけでなく、ミサイル、テロ、紛争などの国際情勢を伝えるニュースから、将来のことを考えると不安で眠れない、食欲がわかない、といった強い不安に陥ってしまう方もいらっしゃるようです。

不安は私たちの日常生活の行動に様々な、時にかなりネガティブな影響を与えます。ここでは精神医学的な面から、自分一人では予防・対策がしきれないような出来事に対する「不安」に対し、どのように向き合い対処すべきかについて、詳しく解説してみたいと思います。

健康や命を守るためにも必要な「不安」という感情

私たちは「不安」という感情から、行動を変えることが多くあります。「こっちの路地は何だか暗くて不安だから、大通りを迂回して帰ろう」「病気にならないか不安だから、健康に気を使おう」など、日常的な小さなことでも、私たちが日常をより安全に無事に生きていく上でも、不安は必要な感情です。

また、人は時に理由もなく、漠然とした不安を感じて行動を変えたりすることもあります。「第六感」などと呼ばれることもありますが、「何となく嫌な予感がして」「虫の知らせか気持ちがざわついて」といった理由のわからない不安感から行動し、結果的に助かった……というような逸話は、科学的な証明は難しいものの実際にあるようです。

このように小さな不安感から行動したり、理由のない漠然とした不安感から行動を変えたりすることがあるほどですから、実際にこの世界で誰かの身に起きた災難などを具体的に見聞きすれば、他人事とは思えず、もし自分の身に起こったら……と強い不安を感じてしまうことがあることも、無理のないことかもしれません。

いずれにしても、私たちが不安を覚えるのは、多くの場合、自分の身に何らかの「危険」が降りかかる可能性を感じたときです。実際に、何らかの危険が迫っていて、何かしらの行動を取ることで不安が解消でき、結果的に危険を回避することができるのであれば、それがベストでしょう。

しかし、中にはどう考えても100%の解決策がない、いつ来るかわからない地震などの自然災害や、個人の努力や備えだけでは不可抗力な事件・事故もあるものです。可能性としては低くても、それらに巻き込まれる可能性に過剰に不安を感じすぎて、日々続く人生の基本である日常生活がままならなくならないようにしたいものです。

日常生活に支障が出る不安症状とは

一般的に、不安感が高まってくると、不安に対する心身の反応として、以下のような不安症状が現われやすくなります。

・頭痛がする
・呼吸が速く、浅くなる
・緊張感が強まる
・脈拍が速くなる
・心が落ち着かない

これらの自律神経系の症状が出現するときは、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの、いわゆる「ストレスホルモン」も関わっていることが多いです。これらの反応自体は特別なものではなく、問題視する必要のない生理的な反応ですが、場合によってはこれらが深刻化してしまうこともあります。

もし何かしらの不安に囚われ、発作的に強い不安症状が起きる「パニック発作」が現われているような場合、すぐに精神科的な治療を開始することが望ましいです。しかし、パニック発作は実は当人にとっては、あたかも心臓発作が起きたかのような体験として感じられます。

原因が心臓などの器質的なものではなく、脳の神経生理学的な機能によるものだとは、なかなか気付きにくい面があります。 まずは、精神的なパニック発作というものがあること、そして自分自身はもちろん、周りにそういった症状の方がいた場合、精神的なものである可能性もあることは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

不安が強すぎる場合、まずは日常的なストレスの原因を考える

自分でも不安が強いと感じる場合、まずはその原因となりやすい、日常のストレスに注意すべきでしょう。

毎日、多くの方が何かしらのストレスを感じることがあると思いますが、もし気分が常に晴れず、重苦しい気持ちが日々続くようになっていれば、心身に何らかの問題が現われている可能性もあります。「不安が強まる」という自覚症状はその一つです。強いストレスは精神的な不調だけでなく、身体面にも、おなかの調子の悪さや頭痛などを引き起こすことがあります。

これらのストレス症状と不安症状には重なり合う部分があります。もし不安だけでなくストレスが強いならば、何がその要因になっているかをはっきりさせ、解決の糸口を探りたいものです。また、その際、同じ要因でもそれが生み出すストレスのレベルにはかなりの個人差があることにも注意していただきたいです。

不安の原因が「不合理な思考」にあることも……

不安が強くなり過ぎる場合、その原因がストレス以外のこともあります。何らかの精神症状が関わっている可能性です。

たとえば、頭のうちで膨らむ不安の内容が現実にそぐわない、何か不合理な内容になっている場合です。たとえば、通り魔事件のニュースを見た後で外に出ると、同じような危険人物がすぐ近くにもいるような気がして不安でたまらなくなり、外出もままならなくなるような場合です。

可能性はゼロではないものの、現実的に考えれば可能性としては高くない、現実にそぐわない被害的な思考に偏ってしまっている可能性もあります。もし自分に何か危害を加えようとしている人物がいるという観念が強まれば、不安感はさらに強まっていくかもしれません。

こうした問題が生じる場合、精神疾患の可能性の他にも、脳内に何らかの器質的な変化が生じている可能性もあります。

また強い不安には、飲酒時のアルコール、喫煙時のニコチンなど、脳内に作用する物質が関わっていることもあります。不安が強い状況に対しては、適切に対処する必要があります。漠然とした不安感を落ち着かせようと、アルコールの量が増えたり、タバコの本数が増えたりしている場合には、特に注意が必要です。

これらの脳内に作用する物質は、依存症の原因物質になりやすいです。依存症の原因物質は、一般にその効果は一時的です。そして、アルコール、ニコチンなどその多くは不安症状を引き起こす原因になる可能性もあります。不安な気持ちを軽くしようと、飲酒・喫煙の頻度や量が増していけば、かえって不安症状が強まりやすいこともぜひ知っておくべきことでしょう。

以上、ここでは日常の不安に関して、精神科的な対処が望ましい場合を中心に詳しく解説しました。ポイントは日常生活に影響がどの程度現われているかがです。

たとえば、「海外の大地震のニュースを見て、ネットでも関連情報ばかりを検索してしまい、不安になりすぎて、食事が喉を通らない……」といった場合、「その原因となる報道から少し離れて冷静になるよう意識する」「防災グッズの備蓄など、できる範囲の対策をして、毎日の暮らしを大切にする」など、現実的にできることをしながら、健康的な日常生活を保つことは大切です。

もしこうしたときの対応や不安感の強さについて、誰かから指摘されるようなことがあれば、ゆっくりそれを考えてみることも必要かもしれません。
(文:中嶋 泰憲)

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