「タピオカ+中国銘茶」東京下町で開店 元中国人留学生「自前ブランド」に込めた思い

11月18日(月)12時30分 J-CASTニュース

「茶引」の前で笑顔の周奕引さん

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2019年夏、日本で大ブームを起こしたのがタピオカだ。人気店には、若い女性を中心に行列ができ、タピオカ入りのドリンクを買い求める姿があちこちでみられた。

ブームのさなかの今年8月25日、東京スカイツリーが間近に見える東京都墨田区押上に、タピオカ飲料をメインに販売する「茶引」(チャイン)がオープンした。店長の周奕引さんは中国・温州出身。初来日時に日本の文化に魅了され、その後留学。今は自身の店を切り盛りする日々だ。



大学院で経営学専攻、就職、歌手デビューも



「おすすめは、プーアルタピオカミルクティーですよ」

周さんが笑顔で接客に当たる。注文を受けると、この日勤務していた李恩辰さんと一緒に、てきぱきとドリンクをつくった。平日の午後だが、男子中学生や女子高生のグループやカップルと客足が絶えない。



上海の大学在学中、2年生で「ミス・キャンパス」に選ばれ、日中友好のための中国人学生代表として初来日した周さん。1週間ほどの滞在で東日本大震災の被災地でボランティア活動に携わる一方、日本の文化やファッションへの興味を深めた。当時、海外留学を考えていたが、この経験で日本行きを決心する。


卒業後の2014年に再来日し、日本語学校で1年間学んだ後、翌15年4月に学習院大学大学院経営学研究科に入学。「ファミリービジネス」を研究テーマに据え、学んだ。



「在学中から、将来は自分のブランドをつくりたい、事業経営したい考えはありました」

と、振り返る。来日のきっかけは魅力的な文化だったが、事業経営という将来の目標がクリアになっていく。勉強と同時に、起業に向けたリサーチは始めていた。2017年3月に修士号を取得すると、日本の企業に営業職として就職した。



「自分は行動的だと思います」と自己分析する。例えば、JTBの在日中国人ユニット「CJ-Angel」の一員として2018年、歌手デビューを果たしている。「WeChat」のユーザー約37万人によるネット投票のあと、実行委員会の一次、二次審査を経て選ばれたのだ。


日中交流の懸け橋の役割を担い、羽田空港や在北京日本大使館での観光イベントに参加した。一方で、起業への準備も怠らなかった。無論、開店資金は必要だが、「自分が本当に何をしたいか」考えを煮詰め、リサーチを進めていった。



「近年の海洋汚染は深刻」クジラをシンボルに



タピオカは、日本で流行する数年前から注目しマーケティング調査を続けていたと、周さん。そこに、自ら厳選した中国茶を合わせることで付加価値を高めよう。もともと興味のあった環境保護にも貢献したい——。ブランドの骨格を固めていった。当初は起業を予定しており、勤務先の上司に相談したところ、会社が事業として認めてくれたと明かす。周さんが新会社の社長という形で店を経営し、勤務先が親会社としてサポートすることとなった。開店に向けて実質的に動き出したのが6月で、そこから8月25日の開店までわずか2か月、猛スピードで準備を整えた。



「茶引」の店名に表れているように、ドリンクに使用する茶にはこだわる。周さん自身、1日に100杯もの茶を試飲し、味や色、香りが満足できると判断した中国茶だけをそろえた。


もうひとつのこだわりは、飲料を入れるプラスチック製のコップだ。再利用が前提で、来店時に以前使ったコップを見せると料金を割引く。「近年の海洋汚染は深刻」と考え、店として貢献する方法を考えた結果だ。「茶引」のロゴには、海を中心とした環境保護のシンボルにしようとクジラを選んだ。


オープン初日には、多くの人が駆け付けた。中には大相撲の元大関・琴欧洲(現・鳴戸親方)の姿も。「私は最初(有名な力士だったと)知らなかったのですが...とても大きな人で、びっくりしました」と笑う。


東京スカイツリーに近い立地で、観光客だけでなく、地元の若者や親子連れ、高齢者が買いに来るとの話だ。「子どもが再利用のコップを持って、何度も来てくれるのはうれしかった」。


第一歩はドリンクショップだが、将来はブランドを大きくして、新しいライフスタイルを提供できるビジネスを目標にしている周さん。自然環境への配慮と日中友好への貢献を軸に、ビジネスチャンスをとらえていきたいと目を輝かせた。


(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)





日本に住む中国出身者の数は、2018年末時点で76万4720人。台湾出身者を合わせると83万人に迫る(法務省調べ)。日本社会に根付き、活躍する中国人は少なくない。J-CASTトレンドではこうした人の取材を軸に、「私たちのすぐ近くの中国」を見ていく。



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