賢いママの資産運用「つみたてNISA」と「iDeCo」の違いと選び方
2018年11月19日(月)10時15分 リセマム
子どもの教育資金や老後の生活費など、「未来のお金の不安」を抱える家庭は多いもの。超低金利時代の今、銀行にお金を預けていてもほとんど増えることはない。これからは貯金だけでなく、節税になる制度をうまく活用しながら、自分で資産を築いていくことが必要になる。
「つみたてNISA」(ニーサ)と「iDeCo」(イデコ)という名前を聞いたことがある方も多いだろう。この2つは、投資をして得た利益が非課税になるなどのメリットがあり、うまく活用できれば効率的に資産形成ができる制度だ。
投資初心者でも使いやすい、2つの制度の違いと選び方を見てみよう。
目次
◆つみたてNISAとiDeCoはどんな制度?
◆つみたてNISAとiDeCo、どちらがお得?
◆資金の引き出しはいつでもできる?
◆いくらからできる?
◆どのくらいの期間運用を続けるべき?
◆投資初心者にはどちらの制度がおすすめ?
◆わが家も制度を活用中
◆「時間」は投資の大きな味方、早めに始めて気長に続けよう
つみたてNISAとiDeCoはどんな制度?
「つみたてNISA」とは?
「つみたてNISA」は、毎年40万円まで(最長20年間)、積立投資によって得られた利益が非課税になる制度だ。通常、投資信託で得られた利益には20%ほどの税金がかかるが、「つみたてNISA」にはこれがかからないため、その分お得に運用できる。
「iDeCo」とは?
一方「iDeCo」は、60歳まで決まった額を積み立てて運用し、老後の資金を自分で作る年金制度だ。公的年金に上乗せできる「自分年金」のようなもので、「つみたてNISA」と同様、「iDeCo」にも税制優遇がある。
つみたてNISAとiDeCo、どちらがお得?
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、どちらも自分で決めた額を積み立てながら運用し、税制上の優遇が受けられるという点では同じだ。ただし税制優遇の内容が、「つみたてNISA」と「iDeCo」では異なる。
「つみたてNISA」の場合、非課税になるのは運用益のみだ。だが「iDeCo」の場合は、運用益だけでなく、今現在支払っている所得税や住民税の節税にも効果がある。
「iDeCo」の掛金は全額、課税所得から差し引かれる。所得税を決める元となる課税所得が減るため、所得税や、所得に応じて課される住民税の負担が軽くなるのだ。また60歳を過ぎてお金を受け取るときも、「公的年金等控除」あるいは「退職所得控除」の対象となり、税制優遇を受けながら年金をもらうことができる。
つまり、節税効果の点においては、「つみたてNISA」より「iDeCo」のほうがお得だといえるだろう。
資金の引き出しはいつでもできる?
節税効果の大きい「iDeCo」だが、注意しておきたい点がある。
「つみたてNISA」は、購入した商品を売却して、いつでも好きなときにお金を引き出すことができるが、「iDeCo」の場合は、原則として60歳になるまで資金の引き出しができない。
そのため、マイホーム購入や子どもの入学資金などでお金が必要になっても、「iDeCo」を利用して貯めたお金では対応できない可能性が高いのだ。
老後の資金を貯める制度としては便利な「iDeCo」だが、それ以外のライフイベントでは使いにくいという点を理解しておこう。
いくらからできる?
投資というと、ある程度のまとまった金額が必要で、お金持ちがするものだというイメージを持っている人もいるかもしれない。
だが、「つみたてNISA」や「iDeCo」は、ごく少額から始められる。「iDeCo」の最低投資金額は月5,000円、「つみたてNISA」の場合は証券会社によって最低金額は異なるが、SBI証券や楽天証券などでは、なんと100円から積み立てができる。
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、あとから積立金額を変更できるので、初めて投資をする場合は最低投資金額から始めてみるのも良いだろう。
どのくらいの期間運用を続けるべき?
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、長期投資向けの制度であり、ここ数年で必要になりそうなお金を振り分けるのにはあまり向いていない。
「iDeCo」はそもそも60歳になるまで資金を引き出すことはできない。途中で積み立てを中止することはできるが、原則として「60歳になるまで積み立て運用を続ける」ことを前提に始めるのが吉だ。
「つみたてNISA」はいつでもお金を引き出せるが、使いたい時期に必ず運用益が出ているとも限らない。一般的に、短期投資よりも長期投資のほうが収益は安定するため、できれば10年以上は継続して続けられるように資金を確保しておきたい。
投資初心者にはどちらの制度がおすすめ?
「つみたてNISA」と「iDeCo」は併用が可能だ。そのため、資金に余裕があれば、
60歳より前に使う予定があるお金は「つみたてNISA」
60歳以降に使うお金は「iDeCo」
というように、それぞれ振り分けて運用するのが理想的だが、そこまでは手が回らないという方も多いだろう。投資初心者がどちらか1つだけ始めるなら、筆者は「つみたてNISA」をすすめる。
投資を始める上で大切なのは、自分のリスク許容度を知ることだ。資産を運用すれば、利益が出る場合もあれば損をすることもある。自分がどの程度の損まで受け入れられるかは、実際に運用をしてみないとわからない場合も多い。
前述したとおり、「つみたてNISA」は100円からでも始められる。まずは少額から始めて、少しずつ額を増やしていけば、無理なく自分のリスク許容度に合わせた資産運用ができるだろう。
また、「つみたてNISA」は「iDeCo」と違い、いつでも資金を引き出せる。特に子どもが小さい場合は、マイホーム購入や受験など、いつお金が必要になるかわからないライフイベントも多い。60歳になるまで使えない「iDeCo」よりも、好きなときに払い戻せる「つみたてNISA」のほうが、安心して積み立てを続けられるだろう。
さらに、「つみたてNISA」で投資できるのは、金融庁が定めた一定の条件を満たす「投資信託」と「ETF(上場株式投資信託)」だけだ。投資対象が絞られているので、投資初心者でも商品の比較検討がしやすく、投資をスタートしやすい。
税制上のお得さで選ぶなら「iDeCo」だが、初めて投資をするなら、まずは「つみたてNISA」から始めてみるのが良いだろう。
わが家も制度を活用中
未就学児と小学生の子どもがいるわが家も、現在「つみたてNISA」と「iDeCo」を使って毎月積み立てを続けている。
夫名義で行っているのは「つみたてNISA」だ。夫は今まで投資経験はなかったが、筆者にすすめられて始めた。「つみたてNISA」は、金融庁のガイドブッグや、各証券会社の特設ページなど、投資初心者にもわかりやすい資料が多い。10年から20年程度の運用を見込み、子どもたちが受験生になったときの塾代にできればと、少しずつ積み立てている。
筆者名義で「iDeCo」も活用している。筆者はフリーランスで働いているため、退職金がない。老後の足しになればと、こちらも積み立てを続けている。なお、筆者は株主優待に興味があったので、「iDeCo」とともに通常の「NISA」も併用している。
通常の「NISA」も、「つみたてNISA」や「iDeCo」と同様に、投資によって得られた利益が非課税になる制度だ。「つみたてNISA」の場合、運用できる商品は投資信託とETFのみに限られるが、通常の「NISA」の場合は、個別銘柄、つまりさまざまな会社の株も購入できる。
個別の株式を買ってみたい、積み立てではなく自分で好きな時期に商品を売買したいという方は、通常の「NISA」を利用するのも良いだろう。
「時間」は投資の大きな味方、早めに始めて気長に続けよう
繰り返しになるが「つみたてNISA」も「iDeCo」も長期投資向けの制度だ。長期投資は、前述した「投資の平均収益率が安定しやすい」ということに加え、「複利効果をねらえる」というメリットがある。
複利効果とは、運用で得た利益を再度投資に回すことで元本の額を増やし、より大きな収益をねらう効果のことだ。投資期間が長ければ長いほど、この複利効果が効いてくる。
たとえば、毎月3万円を5年間、年率(運用益)5%の商品に投資したとしよう。累計積立額は180万円、運用によって得られる利益は約24万円、「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用していれば、約5万円の非課税メリットが得られる。
投資期間を10年間にした場合はどうだろうか。累計積立額は360万円、運用によって得られる利益は約105万円、「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用していれば、約21万円の非課税メリットが得られる。
「時間」は投資の大きな味方だ。「つみたてNISA」の投資可能期間は2037年まで、「iDeCo」に加入できるのは59歳までと期限の区切りもある。節税制度を十分に活用するためにも、早いうちから始めて、できるだけ長い期間、運用を続けることをすすめたい。
「つみたてNISA」(ニーサ)と「iDeCo」(イデコ)という名前を聞いたことがある方も多いだろう。この2つは、投資をして得た利益が非課税になるなどのメリットがあり、うまく活用できれば効率的に資産形成ができる制度だ。
投資初心者でも使いやすい、2つの制度の違いと選び方を見てみよう。
目次
◆つみたてNISAとiDeCoはどんな制度?
◆つみたてNISAとiDeCo、どちらがお得?
◆資金の引き出しはいつでもできる?
◆いくらからできる?
◆どのくらいの期間運用を続けるべき?
◆投資初心者にはどちらの制度がおすすめ?
◆わが家も制度を活用中
◆「時間」は投資の大きな味方、早めに始めて気長に続けよう
つみたてNISAとiDeCoはどんな制度?
「つみたてNISA」とは?
「つみたてNISA」は、毎年40万円まで(最長20年間)、積立投資によって得られた利益が非課税になる制度だ。通常、投資信託で得られた利益には20%ほどの税金がかかるが、「つみたてNISA」にはこれがかからないため、その分お得に運用できる。
「iDeCo」とは?
一方「iDeCo」は、60歳まで決まった額を積み立てて運用し、老後の資金を自分で作る年金制度だ。公的年金に上乗せできる「自分年金」のようなもので、「つみたてNISA」と同様、「iDeCo」にも税制優遇がある。
つみたてNISAとiDeCo、どちらがお得?
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、どちらも自分で決めた額を積み立てながら運用し、税制上の優遇が受けられるという点では同じだ。ただし税制優遇の内容が、「つみたてNISA」と「iDeCo」では異なる。
「つみたてNISA」の場合、非課税になるのは運用益のみだ。だが「iDeCo」の場合は、運用益だけでなく、今現在支払っている所得税や住民税の節税にも効果がある。
「iDeCo」の掛金は全額、課税所得から差し引かれる。所得税を決める元となる課税所得が減るため、所得税や、所得に応じて課される住民税の負担が軽くなるのだ。また60歳を過ぎてお金を受け取るときも、「公的年金等控除」あるいは「退職所得控除」の対象となり、税制優遇を受けながら年金をもらうことができる。
つまり、節税効果の点においては、「つみたてNISA」より「iDeCo」のほうがお得だといえるだろう。
資金の引き出しはいつでもできる?
節税効果の大きい「iDeCo」だが、注意しておきたい点がある。
「つみたてNISA」は、購入した商品を売却して、いつでも好きなときにお金を引き出すことができるが、「iDeCo」の場合は、原則として60歳になるまで資金の引き出しができない。
そのため、マイホーム購入や子どもの入学資金などでお金が必要になっても、「iDeCo」を利用して貯めたお金では対応できない可能性が高いのだ。
老後の資金を貯める制度としては便利な「iDeCo」だが、それ以外のライフイベントでは使いにくいという点を理解しておこう。
いくらからできる?
投資というと、ある程度のまとまった金額が必要で、お金持ちがするものだというイメージを持っている人もいるかもしれない。
だが、「つみたてNISA」や「iDeCo」は、ごく少額から始められる。「iDeCo」の最低投資金額は月5,000円、「つみたてNISA」の場合は証券会社によって最低金額は異なるが、SBI証券や楽天証券などでは、なんと100円から積み立てができる。
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、あとから積立金額を変更できるので、初めて投資をする場合は最低投資金額から始めてみるのも良いだろう。
どのくらいの期間運用を続けるべき?
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、長期投資向けの制度であり、ここ数年で必要になりそうなお金を振り分けるのにはあまり向いていない。
「iDeCo」はそもそも60歳になるまで資金を引き出すことはできない。途中で積み立てを中止することはできるが、原則として「60歳になるまで積み立て運用を続ける」ことを前提に始めるのが吉だ。
「つみたてNISA」はいつでもお金を引き出せるが、使いたい時期に必ず運用益が出ているとも限らない。一般的に、短期投資よりも長期投資のほうが収益は安定するため、できれば10年以上は継続して続けられるように資金を確保しておきたい。
投資初心者にはどちらの制度がおすすめ?
「つみたてNISA」と「iDeCo」は併用が可能だ。そのため、資金に余裕があれば、
60歳より前に使う予定があるお金は「つみたてNISA」
60歳以降に使うお金は「iDeCo」
というように、それぞれ振り分けて運用するのが理想的だが、そこまでは手が回らないという方も多いだろう。投資初心者がどちらか1つだけ始めるなら、筆者は「つみたてNISA」をすすめる。
投資を始める上で大切なのは、自分のリスク許容度を知ることだ。資産を運用すれば、利益が出る場合もあれば損をすることもある。自分がどの程度の損まで受け入れられるかは、実際に運用をしてみないとわからない場合も多い。
前述したとおり、「つみたてNISA」は100円からでも始められる。まずは少額から始めて、少しずつ額を増やしていけば、無理なく自分のリスク許容度に合わせた資産運用ができるだろう。
また、「つみたてNISA」は「iDeCo」と違い、いつでも資金を引き出せる。特に子どもが小さい場合は、マイホーム購入や受験など、いつお金が必要になるかわからないライフイベントも多い。60歳になるまで使えない「iDeCo」よりも、好きなときに払い戻せる「つみたてNISA」のほうが、安心して積み立てを続けられるだろう。
さらに、「つみたてNISA」で投資できるのは、金融庁が定めた一定の条件を満たす「投資信託」と「ETF(上場株式投資信託)」だけだ。投資対象が絞られているので、投資初心者でも商品の比較検討がしやすく、投資をスタートしやすい。
税制上のお得さで選ぶなら「iDeCo」だが、初めて投資をするなら、まずは「つみたてNISA」から始めてみるのが良いだろう。
わが家も制度を活用中
未就学児と小学生の子どもがいるわが家も、現在「つみたてNISA」と「iDeCo」を使って毎月積み立てを続けている。
夫名義で行っているのは「つみたてNISA」だ。夫は今まで投資経験はなかったが、筆者にすすめられて始めた。「つみたてNISA」は、金融庁のガイドブッグや、各証券会社の特設ページなど、投資初心者にもわかりやすい資料が多い。10年から20年程度の運用を見込み、子どもたちが受験生になったときの塾代にできればと、少しずつ積み立てている。
筆者名義で「iDeCo」も活用している。筆者はフリーランスで働いているため、退職金がない。老後の足しになればと、こちらも積み立てを続けている。なお、筆者は株主優待に興味があったので、「iDeCo」とともに通常の「NISA」も併用している。
通常の「NISA」も、「つみたてNISA」や「iDeCo」と同様に、投資によって得られた利益が非課税になる制度だ。「つみたてNISA」の場合、運用できる商品は投資信託とETFのみに限られるが、通常の「NISA」の場合は、個別銘柄、つまりさまざまな会社の株も購入できる。
個別の株式を買ってみたい、積み立てではなく自分で好きな時期に商品を売買したいという方は、通常の「NISA」を利用するのも良いだろう。
「時間」は投資の大きな味方、早めに始めて気長に続けよう
繰り返しになるが「つみたてNISA」も「iDeCo」も長期投資向けの制度だ。長期投資は、前述した「投資の平均収益率が安定しやすい」ということに加え、「複利効果をねらえる」というメリットがある。
複利効果とは、運用で得た利益を再度投資に回すことで元本の額を増やし、より大きな収益をねらう効果のことだ。投資期間が長ければ長いほど、この複利効果が効いてくる。
たとえば、毎月3万円を5年間、年率(運用益)5%の商品に投資したとしよう。累計積立額は180万円、運用によって得られる利益は約24万円、「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用していれば、約5万円の非課税メリットが得られる。
投資期間を10年間にした場合はどうだろうか。累計積立額は360万円、運用によって得られる利益は約105万円、「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用していれば、約21万円の非課税メリットが得られる。
「時間」は投資の大きな味方だ。「つみたてNISA」の投資可能期間は2037年まで、「iDeCo」に加入できるのは59歳までと期限の区切りもある。節税制度を十分に活用するためにも、早いうちから始めて、できるだけ長い期間、運用を続けることをすすめたい。