どっちも「プライベートブランド」のクオリティじゃねぇ! 西友の「名古屋めし」再現カップ麺2種が両極端で面白い

2022年11月20日(日)11時0分 Jタウンネット

マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界

第九十五回 西友PB「みなさまのお墨付き」の「名古屋白だしきしめん」と「名古屋塩台湾ラーメン」

文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。

「ご当地カップ麺」連載の第九十五回目となる今回は、西友PB「みなさまのお墨付き」の「名古屋白だしきしめん」と「名古屋塩台湾ラーメン」をレビューします。

安価なスーパーPB商品では油揚げ麺を使う場合が多いですが、今回の2品は、生タイプ麺とノンフライ麺を使用した高級志向の珍しい商品で、定価税込178円とスーパー系としては比較的高価なタイプです。

「みなさまのお墨付き」と寿がきや食品による「名古屋」カップ麺

「みなさまのお墨付き」は西友のプライベートブランド。

消費者テストの結果、支持率が80%を超えた商品のみ製品化され、製品化後も定期的に行われる再テストで80%を下回ると容赦なく改良を求められたり、もしくは終売となったりするそうです。

今回の2品の支持率は、「白だしきしめん」が80.6%、「塩台湾ラーメン」が84.3%。どちらも当然ながら80パーセントを超えていますが、「きしめん」は結構ギリギリですね。

製造するのは愛知県に本社を置く「寿がきや食品」。

寿がきや食品は、名古屋メシのひとつとして知られる「スガキヤ」でおなじみスガキコシステムズの子会社で、カップ麺、袋麺、チルド麺、そして親会社のラーメン店やうどん店の商品など、かなり手広く麺類を製造販売しています。

同社は日本全国のご当地麺をカップ麺化していますが、中でもお膝元である名古屋の味を再現することが多く、今回の「名古屋」2品の製造を担当するのは必然と言えます。

ただ、「白だしきしめん」も「塩台湾ラーメン」も寿がきや食品の自社ブランドでは製品化されていないので、今回の2品はオリジナリティが高そうです。

「白だしきしめん」と「塩台湾ラーメン」の内容物を確認

左が「白だしきしめん」、右が「塩台湾ラーメン」。

「白だしきしめん」には袋に入った生タイプ麺のきしめんと小袋2つ、そして「塩台湾ラーメン」はノンフライ麺のラーメンと小袋3つが入っています。

「塩台湾ラーメン」の3袋のうち、「粉末スープ」と「かやく」は先入れ。

寿がきや食品の自社ブランド商品は具が少ないことが多いですが、今回は肉そぼろやニラがたくさん入っています。

「きしめん」は、汁なしカップ麺ではないのに湯切り口がついています。

というのも、生タイプ麺は日持ちさせるためにpH調整剤が使われており、少し酸味や匂いがあります。

この味や匂いを消すために、一度入れたお湯で麺を洗ってから湯切りする必要があるのです。

これをやらないとせっかくのスープや麺の味が阻害されかねません。筆者はこの匂いが結構気になるので、湯切りを2度することもあるくらいです。

超あっさりだしで彩り豊かな「名古屋 白だしきしめん」

まずは「名古屋白だしきしめん」から食べていきます。

「名古屋めし」は、「ひつまぶし」や「モーニング」など、独特でバラエティに富んでいますが、実は「スガキヤ」、「味噌煮込みうどん」、「カレーうどん」、さらには「台湾ラーメン」や「台湾まぜそば」など、麺料理が多いのも特徴。

「きしめん」も愛知県発祥とされる昔からの名古屋のご当地麺のひとつです。

また、「白だし」は白醤油を使った希釈して使うめんつゆのような調味料の一種で、白醤油・白だしともに愛知県で生まれたと言います。

愛知発祥とされるきしめんを、愛知発祥の調味料で仕上げる——オール愛知の名古屋めしカップ麺です。以前のスーパーのPB商品では考えられないようなこだわりが感じられます。

白だしを使ったほぼ透明のつゆに、生タイプのきしめんと、お揚げやかきたまごなどの具、そしてかつお節が合わせられています。

つゆはびっくりするほどあっさりしており、塩気はほんのり感じる程度。昆布や魚介の風味もほのかに感じられました。

「名古屋めし」といえばど派手で濃い味のイメージを勝手に思っていましたが、それとは対極にある超あっさり味です。

生タイプだから引き立つあっさり味

その超あっさりのつゆを引き立てているのが生タイプのきしめん。

油揚げ麺だと麺自体の風味によってつゆの味が損なわれてしまうところですが、生タイプ麺だとつゆの味を引き立てつつ、麺自体の小麦感も味わえます。

具として入っているのはきざみ揚げとかきたまご、そしてネギ。きざみ揚げが甘く味付けられていて、超あっさりだしの中でアクセントになっています。

そしてたまごの黄やネギの緑が透明つゆと白いきしめんの中で映えて彩り豊か。ボリュームも充実しています。

別袋の「本かつお」をあっさりなつゆの中に入ると、まるでおだしのようになり、かつお節の香ばしさが光っていました。

思わぬ暴君ぶりに悶絶!「名古屋 塩台湾ラーメン」

続いては「名古屋塩台湾ラーメン」。

名古屋の「味仙」を発祥とする「台湾ラーメン」、同じく名古屋の「麺屋はなび」から生まれた「台湾まぜそば」は、すでに名古屋の枠を超えて全国的な知名度となっています。

本場の名古屋では、「台湾」の名はラーメンやまぜそばだけではなく、「台湾もつ鍋」、「台湾カレー」など幅広く使われており、もはや「台湾」を「名古屋市中村区台湾町」くらいに思っているのではないかというレベル。

「塩台湾」も台湾ラーメンの派生メニューで、ここのところ有名店でも供されるようになったものです。

ニンニクや青唐辛子を強く効かせた塩味のスープに、中細で縮れのついたノンフライ麺と、挽肉やニラ、唐辛子などの具が合わせられています。

スープが半透明なこと以外はいつもの台湾ラーメンと同じような見た目で、ちょっとおとなしめの台湾ラーメンなのかなと思いきや、むしろ暴君でした。

最も辛く、にんにくもガツン!

筆者がこれまでに食べてきた台湾ラーメンのカップ麺の中では最も辛く、そして最もニンニクが効いていました。

見た目透明でおとなしく見えるので、軽い気持ちで食べると口ごと持って行かれてしまいます。

超あっさり味の「きしめん」の後に食べると、180度まったく異なる味に驚いてしまうかもしれません。メーカー的には「きしめん」のあっさり味も「塩台湾ラーメン」の暴君ぶりもどちらの味も際立たせる狙いなのかもしれませんね。

「きしめん」は生タイプ麺でしたが、こちらは中細で縮れのついたノンフライ麺が使われています。

スーパーのPB商品としては高価格ですが、ノンフライカップ麺と考えると十分に安く、単なる安価品に留まらない、PBの殻を破ろうとする意志が明確に感じられる気がしました。

名古屋カップ麺の両極端ぶりが面白い

西友PB「みなさまのお墨付き」による「名古屋」のカップ麺2品。超あっさり味の「きしめん」と辛味とニンニクの暴君ぶりの「塩台湾ラーメン」という、両極端に振った面白い商品でした。

スーパーのPB商品は安価で油揚げ麺を使うイメージが強い中、生タイプ麺とノンフライ麺でご当地麺を再現した意欲作で、ただのPB商品ではないメーカーの気概を感じさせるものがありました。

「みなさまのお墨付き」カップ麺の今後の展開もとても楽しみです。

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