かみのけ座銀河団で溶けあうように近づいていく2つの銀河を発見

2024年11月23日(土)20時0分 カラパイア


Image credit: ESA/Hubble & NASA, R. J. Foley (UC Santa Cruz)


 春の夜空でよく見られる星座で、現代の88星座の1つ「かみのけ座」には、銀河が密集した領域がある。そこには数千もの銀河が含まれ、宇宙の大規模構造の一部を成している。


 ハッブル宇宙望遠鏡が最近とらえた「かみのけ座銀河団」にある、約3億9000万光年先の相互作用銀河「MCG+05-31-045」は、今まさに接近している2つの銀河だ。


 リング状の構造をもつ右側の銀河と、湾曲した2本の渦のような腕(渦巻腕)をもつ左側の銀河が、まるで溶け合うかのように融合しようとしている。


古代エジプトの女王の髪の毛を飾る2つの銀河


 ESAの『Picture of the Week[https://esahubble.org/images/potw/]』で取り上げられたMCG+05-31-045の姿は、ハッブル宇宙望遠鏡によってとらえられた。


 地球から3億9000万光年離れたこの2つの銀河ペアは、相互作用しており、大きく接近し、お互いに影響を与え合っている。


 かみのけ座[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%81%91%E5%BA%A7]は実は無数の銀河が集まった銀河団で、「かみのけ座銀河団」とも呼ばれる。


 これまでに確認された銀河は1000個を超え、この宇宙でも最大級の銀河団である。また、それ自体が「しし座銀河団」と共に「かみのけ座超銀河団」を構成している。


 ちなみに”かみのけ”と名がついた理由は、古代エジプトの女王ベレニケ2世が、戦争に赴いた夫の無事を祈るために髪を切り、神殿に捧げたという伝説にちなんだものだ。



相互作用する銀河


 かみのけ座銀河団にある銀河の大部分は、円を潰したような形状をした「楕円銀河」だ。このタイプの銀河は、銀河同士が接近・衝突し、破壊と再生が起きることで作られる。


 お互いに相互作用し合う銀河内では、ガスが重力によってかき混ぜられ、圧縮される。


 こうして新しい星々が誕生するが、それらが燃え尽きると、ガスはほとんどなくなっており、新たな星が誕生することもない。


 また渦巻銀河が作用しあえば、重力の乱れによって腕(渦巻腕)の軌道も乱される。


 楕円銀河は、こうしたことを繰り返すうちに出来上がる。それゆえにその構造は混沌としており、ガスが乏しく、老化した星々が無軌道に移動している。



ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「MCG+05-31-045」の姿。3億9000万光年の彼方にある2つの銀河は互いに影響し合っている/Credit: ESA/Hubble & NASA, R. J. Foley (UC Santa Cruz)


2つの銀河は融合し、数百万年後に新しい楕円銀河が誕生


 MCG+05-31-045もいずれは同じような運命をたどる可能性が高い。


 大きい方の銀河が小さい方の渦巻銀河を取り込み、たくさんの新しい星々が形成される。だが、そうした熱く青い星々は急速に燃え尽き、冷たく赤みがかった星々だけが残される。


 やがて姿を現す楕円銀河には、星が産声を上げられるようなガスはほとんどない。


 とは言え、このプロセスが完了するには、これから数百万年も後のことだ。それまでの間、ベレニケ2世は、収まりの悪い髪の毛に難儀することだろう。


References: When Galaxies Collide: Unraveling the Forces of Cosmic Evolution[https://scitechdaily.com/when-galaxies-collide-unraveling-the-forces-of-cosmic-evolution/]

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