一番凶悪なのは誰? 「ガンダム三大悪女」と呼ばれるニナ、クェス、カテジナについて考える
2018年11月24日(土)9時0分 キャリコネニュース
ガンダムは、クセのある登場人物が多い。よく槍玉に挙がるのが、『機動戦士Zガンダム』で厄介過ぎる活躍をしたカツ・コバヤシだ。ファーストでも登場していた坊やが成長し、一端のパイロットになったと思ったら、軍規違反や無断出撃など、やることなすことがうざいキャラクターである。
しかし、今回は同じ厄介でも、別の意味で本格的に厄介なキャラクターについて話をしたい。ネット上でいつからかガンダム三大悪女と称される、ニナ・パープルトン、クェス・パラヤ、そしてカテジナ・ルースのことだ。いずれも登場作品こそ違うが、宇宙世紀のガンダムシリーズに彩りを加えてくれる存在である。(文:松本ミゾレ)
敵方である元カレに寝返り、主人公に銃口を向けるニナ・パープルトン今回はこの三大悪女たちについて、今更ながらにおさらいをしていきたいと思う。まずは作品世界で登場年代が一番古い、ニナ・パープルトンだ。
彼女はOVA作品『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するヒロイン枠のキャラクターである。しかし、ネットで彼女の名前を検索すると、サジェストに"クズ"と表示されるほどにファンからの評判は悪い。
なぜならば、彼女は主人公のコウ・ウラキと恋仲を演じつつ、作品終盤で「実は、ライバルのアナベル・ガトーの元カノだった」という衝撃の事実が明らかになるのだ。それ以前にも、ちょっと言動的におかしな部分というかヒステリックな言動が観る者を若干不快にさせていた。
その上で物語終盤、ガトーを庇ってコウに向けて拳銃を撃つというパンチの効いた行動をとってしまい、挙句にはエンディングでちゃっかりコウと再会して笑顔を浮かべるという始末。フィクションとは分かっていながらも「何だろう、この女の人は」と思わざるを得ない存在感だった。作画によって、たまにめっちゃ美人に描かれていることも、ちょっと腹が立つ。
強化人間より情緒不安定な父殺しの娘、クェス・パラヤニナは、あくまで物語の世界でのみ通用する悪女っぷりというか、おかしな女性である。が、こちらで取り上げるクェス・パラヤは一味違う。
劇場版作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にて登場した彼女は、まさに「こういう、ムカつくけど顔がいいからチヤホヤされる女いるよね」と、実感を伴って迎えられる、生身感の強い悪女に仕上がっている。
クェスは本作において、生粋のニュータイプとしての素養を見せ、それなりに活躍をする。が、その役回りとしては、年齢設定13歳に違わぬ不安定っぷりを発揮していることは忘れてはならない。
彼女は地球連邦高官の娘でありながら、ネオジオン総帥となったシャアに恋慕している。シャアはその想いを上手く利用し、優秀なニュータイプパイロットとしてクェスを手懐ける。その過程においてクェスは、父親の乗る連邦艦を撃沈してしまうが、これは意図的なものではないとは言え、まさしくこれまでの作品で度々描かれた「父殺しの罪」の再来だ。
この父殺しの場面は確かに悲劇ではあるんだけども、彼女は連邦高官の娘でありながらネオジオンに組みしているわけで、同情の余地はかつてのギレン同様に、ない。その上、これまでのシリーズで精神的に不安定な存在として描かれた強化人間を逆に惑わし、手を焼かせるほどにも気分屋だった。
一言で彼女を評するなら、うざいのだ。現実世界であればうざくても若い娘と言うだけで持てはやされるが、本作においてその要素はただ、「現実に居そうなうざい娘がいて、死んだ」との評価にしかならない。悪女度で言えばニナには数段劣るが、ベクトルの異なる嫌なモノを持っていたことは確かだろう。
物語が進むにつれて狂っていった、カテジナ・ルース最後に紹介したい悪女。それは『機動戦士Vガンダム』に登場したカテジナ・ルースだ。この女は、一言で評するならストーリーが進むごとに変になっちゃった女である。最初から狂っていたわけではない。作品冒頭では割と常識のある17歳の娘という雰囲気の言動が目立っていた。
でもやっぱり戦争を題材にしているアニメで、しかもとりわけに残酷な描写の多い本作にレギュラーで出るとなると、だんだん狂って行くのも仕方のないことかもしれない。彼女の狂った人間性が爆発するのは、主に中盤から最終盤にかけてである。じっくりと狂っていく様が続くのだ。恐ろしいことである。
さらには、敵方への寝返りの大きな決め手であったクロノクル・アシャーという男が、そこまで有能でもない男だと思い込むようになった辺りから、彼女はより狂う。
終いには「クロノクル! 来い!」と呼び捨てたり、主人公の少年、ウッソ・エヴィンに「おかしいですよ!」と物凄く真っ当な指摘をされてしまったり。その他にも、おぞましい行為をやらかしているのが彼女の特徴である。
しかし、本当に狂うところまで狂ってしまっても、モビルスーツの操縦技術はピカイチだったことを考えると、カテジナを見出したクロノクルってやっぱり優秀だったんじゃないだろうか。
……と、こうやってガンダム三大悪女をそれぞれ紹介してみたけど、正直胸焼けしていた。こういう濃い面子を一気に紹介するのもいいけど、できれば次は「ハロのかわいさベスト5」みたいな毒気のないコラムを書いてみたい……。