“未利用魚”って何? 市場に出回らない鮮魚を廉価で盛り盛りゲットできる「サカマアプリ」を使ってみた
2021年11月24日(水)10時51分 食楽web
食楽web
通常、魚は市場などを経由して小売店であるスーパーマーケットや魚屋さんで買うのが一般的です。今日食べたい魚を、欲しい分だけ入手しやすい一方、どうしても仲介料が加算されるのは避けられず、また時差も生じるため鮮度の面でも劣ってしまう難点があります。
こういった難点をクリアすべく、産地から消費者が直接魚を購入できるようなアプリが「サカマアプリ」です。
全国各地の水産業者から直接魚を買うこができる「サカマアプリ」
「サカマアプリ」は日本各地の水産事業者から更新される、その日に水揚げされた魚の情報をもとに、消費者がアプリを介して直接購入できるという寸法。干物や加工魚も扱われていますが、身おろしされていない丸モノの状態の魚も多く、前述のように「今日食べたい魚を、欲しい分だけ入手する」という意味では少々ハードルが高そうです。
しかし「とにかく美味しい魚を腹一杯食べたい」「市場には出回らない魚を食べてみたい」といった人向きには超画期的なプラットフォームで、特に家庭などで人が集う機会が増える年末年始にはかなり重宝するサービスではないかと思っています。
この秋、「サカマアプリ」が始めたサービスの一つに「未利用魚を活用した『漁師のまかない飯セット』というものがあります。
未利用魚とは、漁獲量が半端で市場に出せなかった魚、美味しいのに認知度が薄いため流通させらない魚などのことを指し、これらを一挙にまとめてボックスにし販売するというもの。「まかない飯セット」と聞くと、ご飯セットか何かと思ってしまいそうですが、あくまでも鮮魚のみのセットです。
“これは面白い!” と、今回は神奈川・三浦半島の仲卸業を営む「魚慎」の「未利用魚セット」(3888円・送料別)をオーダー。実際にどんな魚が来るかをチェックし、それらの魚を試食しレビューします。
蓋を開けてビックリ。市場では見かけない魚がパンパンに詰められていた!
オーダー後、数日で届いた発泡スチロールの中には……
「サカマアプリ」から神奈川・三浦半島の「魚慎」にオーダーすると、翌日すぐに届いた発泡スチロール。今回は4キロのセットをオーダーしましたが、開けてビックリ。見慣れた魚・見慣れない魚がパンパンに詰められていました。数えてみると11種。このうち、すぐにわかった魚は3分の1くらいで、筆者は初めて見る魚が半分以上でした。
これだけの魚がパンパンに詰められていました。これで3888円とは驚愕の安さです!
慌てて釣り人の友人に連絡して聞いたり、写真を撮ってGoogleの画像検索をして魚種を特定したりし、結果的にわかった11種は下記です。
赤ヤガラ・ダツ・テンジク太刀・タカノハ鯛・ハモ・ウツボ・ヒメジ(オジサン)・カワハギ・ニザ・ガンゾウヒラメ・アジ
これだけの量の魚を6時間かけてさばきました。まずは刺身でいただきます!
刺身でいただいた。左上から時計回りにヤガラ、ダツ、タカノハ鯛、テンジク太刀
ヒ〜! とんでもない数です。しかも同一魚種で数本入っている魚もあるため、相当な量です。同時に、たった3888円でこれだけの魚種を味わえるのは本当にありがたく、小躍りするほどの感激を覚えました。とにかく鮮度の良いうちに、さばいていくべきで、筆者は6時間ほどをかけてこれらの魚を全部身おろししました。
左上から時計回りにヒメジ(オジサン)、カワハギ、ガンゾウヒラメ、ニザ
刺身で食べられそうな魚は、せっかくなので全て刺身でいただきました。普通のスーパーや魚屋さんではまずお目にかかれない珍しい魚種が大半なので、どんな味がするのかと興味津々でしたが、どれも絶品! 鮮度が良いからなのでしょうが、魚の臭みなどはいっさいなく、まるで産地でそのままいただいているような錯覚を覚えるほどでした。
火入れしてももちろん絶品の未利用魚たち
(左上)バーナーで皮目をあぶっていただきます。(右上)ヒメジ(オジサン)、ハモの唐揚げ。鮮度が良い魚を香ばしくいただきます。うまい! (下)ダツ、ハモの天ぷら。あまり火を入れすぎないようカラッといただきました!
また、火を入れたほうが良い魚は、炙ったり、唐揚げにしたり、天ぷらにしたり、鍋にしたりしました。
珍しいウツボの鍋がこれまた絶品!
特筆すべきはウツボの鍋。ウツボは「海のギャング」と言われる厄介な魚で、今回の未利用魚の中でも最も変わったルックスの魚でした。しかし、実際に鍋にして食べてみると、引き締まった身が実に上品で、かつ食べ応えもあります。「海のギャング」らしく、太めの骨がしっかりあるからか出汁も綺麗に出て、かなり美味しくいただけました。
市場には出回らない珍しい魚を手軽に買えるのが「サカマアプリ」の利点!今回、「サカマアプリ」を使ってこれだけたくさんの未利用魚を販売してくれた神奈川・三浦半島の『魚慎』の店主・高橋慎さんに話を聞いてみました。
「幼少期から地元・神奈川で過ごし、『魚屋で働きたい』と知人に紹介してもらい10代の頃から、ずっと魚屋で三浦半島の美味しい魚を全国に向けて販売しています。22歳の頃に独立し、現在は長井漁協で『魚慎』として仲卸をしています。主に葉山、横須賀にある飲食店メインに出荷していますが、新型コロナウイルスの影響で、飲食店販売が減少し始め、『なんとか販路を拡大しよう』とネット販売の情報を調べていたところ『サカマアプリ』を見つけ、うちでも登録しました。
長井漁協では多種多様な魚がほぼ毎日水揚げされており、珍しい魚も上がります。よく魚好きの方から「○○の魚ない?」なんてリクエストを受けることもあります。長井漁協での個人的なのオススメは甲殻類でタカアシガニ、アカザエビ、イバラガニなど他ではあまり獲れないものも多く上がってきます。特にイバラガニは幻ともいわれるカニで市場に流れることはほぼありませんが、『サカマアプリ』でたまに出品していますので是非チェックしてみてください!」(『魚慎』高橋慎さん)
「サカマアプリ」では「魚慎」さんだけでなく、全国の様々な魚屋さん、卸しの業者さんが登録しており、多種多様な新鮮な魚を購入することができます。魚好きの方は、ぜひチェックされてみてはいかがでしょうか。
●DATA
サカマアプリ
iOS:https://apps.apple.com/us/app/id1422594440
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=tokyo.sakama.sakama_app