“着てるだけで警察が寄ってくる”職質ホイホイ服ブランド「ガルフィー」がヤバカッコイイ! 新作発表会に村田らむが潜入!

2020年11月23日(月)16時0分 tocana

——B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!


 アパレルメーカーに務めている知り合いが、転職すると聞いた。新しい勤め先もアパレルメーカーだという。まあさほど興味はなかったけれど、「どこに転職したんですか〜?」とベッドで寝っ転がったまま返信すると、


「ガルフィーです」


 と返ってきた。


 ガバっと起きて、


「ガルフィー? あのガルフィー?」


 と慌てて聞く。


『ガルフィー』と言えば、着ているだけで善人は避けていき、警察官が寄ってくるでお馴染みの『着るタトゥー』『職質ホイホイ』の異名を持つ凶悪な服メーカーである。



 僕が東京に来た四半世紀前頃は、歌舞伎町は今よりかなり柄の悪い街だった。


 風俗店の看板の写真を撮ってたら、


「何撮ってんだコラ!!」


 とヤクザ丸出しのヤクザが怒声を吐きながら飛んできたし、10メートル歩くたびに


「本番やって5000円ポッキリの店あるよ」


 と歯が半分くらいしかなくて白目の黄色いオッサンがポン引きしてきた。


 適当にバーに入ったらボッタクられるのは当たり前。ただのボッタクリはまだ良心的なもんで、下手をすると睡眠薬を飲まされて財布を抜かれて路上に転がされ、そのまま凍死してしまうなんて事件もよくあった。


 そんな阿修羅道を体現したような街にあるアパレルショップは、やっぱりメチャクチャ柄が悪かった。絶対にヤクザしか着ないような、悪い服がズラーっと並んでいた。


 その中でも目を引いたのがガルフィーである。「骨をくわえた犬」がキャラクターなのだが、これがなんとも柄が悪い感じになる。キャラクター自体はかわいいのに、すごく柄が悪くなるというのが楽しい。


 似たような例だと、本来はかわいい子供服メーカーのミキハウスをヤンキーが着てえらい柄が悪く見えるというのがあげられる。


 当時は、歌舞伎町の柄の悪い店からは


「興味本位で入ってくるな!!」


 というオーラが出ていたので、入店せず服を買うこともなかった。


 そして時は経ち、石原都知事の時代の歌舞伎町浄化作戦を経て、歌舞伎町はドンドン健常化されていった。


 そして、ヤクザ自体の数も減ったし、ヤクザファッションを着るヤクザも激減した。結局、柄の悪い服ばかり置いている服屋さんも消滅してしまった。


 そうなってくると


「ああんガルフィー買っておけばよかった。着たいよう!!」


 となってしまう。



 どこかで売ってないかな〜と思って探していると、大阪は通天閣の近くにある服屋さんで見つけることができた。これまた、悪い服しか置いていない店だった。




 さっそく購入したのであった。せっかくなので、トークライブや怪談大会など人前に出る時に積極的に着るようにしていた。すると、意外な反応があった。


「村田さん、犬のかわいいトレーナー着てましたね」
「すごい、メルヘンチックなファッション好きなんですね!」


 などと言われたのだ。


 全くヤクザファッション文化を知らない人にとっては、ガルフィー犬はかわいい犬に見えるようなのだ。


 ただ、そう言えば確かに、昔に比べてややマイルドになった気もした。


 また新しいアイテムも手に入れたいし、取材もしたい!! というわけで新作発表会に顔を出させていただいた。


 渋谷区神宮前にある自社ビルの会場へ向かう。入り口の写真を撮っていると、ギンギンに悪そうなファッションに身を包んだお姉さんが中に入っていった。さすがガルフィー!!



 ガルフィーは、株式会社ク・ラッチが展開するブランドの1つであり、兄妹ブランドと同時の展示会になる。


 ドキドキしながらエレベーターを登り、会場に入ると……ヤバいいきなり柄悪い!!


 真正面に展示してある最新のガルフィーは、白地に黒でトライバル柄の刺繍がガッツリしてある『ウシジマくん』の登場人物が着てそうなバキバキのジャージーだった。



 バックプリントには眉間のシワが深いガルフィー犬と『我流不威』と漢字で書かれていた。これは悪いっ!! デザインポイントは


「卍です。DQNです。GALFYです。」


 と解説してあった。


 敬語なのが逆に恐い!!




 その他にも様々なアイテムが展示されている。腕にガッツリと旭日旗が入った『犬神様Tee』。
 表には『MILITARYDOG』裏には『KAMIKAZE特攻』と刺繍された『特攻ジャケット』。などだ。デザインポイントは


「戦争反対!!」


 絶対ウソだ!!


 迫力ある凶悪アイテムを見て、思わずニヤニヤが止まらなくなってしまった。


 どうしても、奇抜さに目がいくが、作りがとても丁寧で、布の質感がすごく良いのも特徴だ。どの服もとてもさわり心地が良く、着心地も良い。


 そして刺繍も素晴らしい出来だ。艶やかで、パチっとエッジが立っている。



 プライベートで購入してヘビーローテーションで着ているが、全然傷まずに長持ちしている。結構、コスパも良い。


 会場にデザイナーの石川りんさんがいらっしゃったので、挨拶させてもらった。まだ30代の若いデザイナーだが、もちろんキンと尖った雰囲気が出ている。



「ガルフィーは5年くらい休止してたんですね。それで急に会社から『ガルフィー』のデザインしてみない? って言われて、デザインすることになりました。ガルフィーっていったら、だいぶ上の世代の人が着てるファッションってイメージで。いろいろ考えながら、いろいろパクリながら(笑)、デザインしてますね」


 僕が持っていた一着は、石川りんさんが手掛けたガルフィーの一発目だった。確かに、少し品が良く、着やすいデザインである。



 そこからどんどんアレンジが進んでいるのだろう。


 最近では、ギャルや若い世代のヤンキーに向けての作品が増えているという。


 確かに、とっぽい若いお姉さんやお兄さんがガルフィーを着ている写真が壁に貼られていた。公式ホームページ(https://www.crutch.jp/our-brand/galfy)を見ると、先日他媒体でインタビューさせていただいたラッパーの輪入道さんもモデルになっていた。



 昔と比べてターゲットは少し変化しつつも、根っこの『柄の悪さ』は変わっていないのが嬉しい。これからもずっとトントンに尖ったアパレルメーカーでいてください!!


 追伸、会場でベージュ色に炎のガルフィー犬が描かれたスウェットがすごく気に入ったので、ゲットさせてもらった。


 せっかくなので、怪談大会OKOWA出場の時に着たら無事予選突破、AbemaTVの『The NIGHT』のヒトコワ話選手権に着て出たら優勝と、ツキがやってきた感じ!!


 これからもガルフィーを着て出演しようと思う今日このごろでありました!!

tocana

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