カレー沢薫の時流漂流 第70回 情弱とズボラがハマる口座維持手数料という毒の沼地

11月25日(月)10時34分 マイナビニュース

「口座維持手数料」の導入が検討されているというニュースが話題になっている。

「口座維持手数料」とは、文字通り、口座を持っているだけで取られる手数料のことだ。
ご存じの通り、今日本の預金利息は「0.001%」など、視力でもそんな数字はなかなか見ないという超低金利だ。

つまり口座維持手数料が導入されると、銀行に預けても利息で増えるどころか、預け続ければ続けるほど、手数料で減っていく、ということになってしまう。

ドラクエのステータスで言えば歩くだけでHPが減っていく「どく」みたいなものだ。
○口座維持手数料、日本以外の国では普通なの?

当然、これでは銀行に預ける意味がない、そんな毒沼に俺様の大事な金を預けられるかという意見が相次いでいる。

しかし、銀行に置くと目減りするからと言って、自宅に全財産を置いておく、というのは全財産が3000円以下でない限りさすがに怖い。お金に精通している人なら、銀行には預けず、投資に回したりするのだろうが、素人には難しいし、むしろ「手数料払ってでも銀行に置いておけば良かった」という損失を出す恐れがある。

よって、今後、銀行は「ショバ代を払って家に置けない金を置いておく場所」になる可能性が高い、ということだ。

ちなみにこの「口座維持手数料」は「他の国ではすでに普通にやっていること」だそうだ。

確かに「欧米では」と言われただけで、7割方納得してしまいがちな我々だが、さすがに「口座維持手数料を払うのが世界のトレンド」とは思えない。

実際、他の国でも口座維持手数料が導入されたのは「逆に払うのがイケてる」からではなく「そうでもしないとやっていけない」という理由からである。アメリカで導入されたのも、リーマンショックが引き金となっている。つまり、日本で「口座維持手数料」の導入が検討されているのも、それだけ銀行がピンチということだ。

2016年にマイナス金利政策が導入されたことにより、民間銀行の収益はさらに悪化した。

わかっている風で言ったが、もちろん何もわかってないので調べたところ「マイナス金利政策」により、民間銀行が日本銀行に金を預けても金利がマイナスなため、逆に減るようになるという毒沼状態になった。

さらに、預金利息が下がったが、貸付金利も下がったため、その差額である「利ざや」で銀行が稼ぐことが難しくなったそうだ。

さらに「ネット銀行」の台頭である。ネット銀行というのは店舗を持つ必要がない。「楽天銀行マンボ支店」など大事な金を預けるには陽気すぎるような支店も、物理的に存在しているわけではない。よって、土地や建物、窓口での顧客対応などのコストが削減できる。都市銀行や地方銀行など店舗をもつ銀行はそのコストが重荷になりつつある。

またネット銀行は、浮いたコストの分を、ATM手数料無料などサービスで還元できるため、ますます、顧客はネット銀行に流れてしまう。

そのような背景から「もう口座維持手数料を取るしかない」という方向になったようだ。
○増々、情弱は損を押し付けられる世の中に

しかし、大手銀行が口座維持手数料を取るとなったら、ますます、ネット銀行や新興銀行が「維持手数料無料」を売りに顧客獲得に乗り出すことは明かであり、ますます首を絞める結果になるのではないか、と言われている。

しかし、実際、口座維持手数料が導入され「手数料かからないところに口座を変えよう」とするのは、それなりにお金に対する意識がある人間だろう。世の中には、行かないジムの会費を「解約を伝えるのが面倒」という理由で、毎月5000円ぐらい寄付している人間が存在するのだ。

そういうタイプは「口座を移し替えるのが面倒」という理由で、口座維持手数料を漫然と払い続けるなど朝飯前である。

「口座維持手数料」の件が話題になった、と言っても、その反応は「なんだって!今すぐ金の預け先を検討せねば」と「ニノが結婚!?」の二極化していると思う。

このように、キャッシュレス化しかり、口座維持手数料しかり、意識と情報の差で、損得が大きく変わってくる世の中になりつつある。

ちなみに、口座維持手数料がいくらとられるか、についてはまだ言及されていない。また「口座持っている人間全員徴収」という形ではなく預入額や、取引額などの条件により無料になる可能性もあるそうだ。

そうなれば銀行を変えなくても、条件をクリアするようにすれば、以前同様無料で使うことができる。逆に言えば、条件すら知らないボンクラは諾々と取られるということだ。

ちなみに、すでに口座維持手数料のようなものを取っている銀行もある。りそな銀行は二年以上取引のない残高が1万円以下の口座に対し「未利用口座管理手数料」として年1320円の手数料を取るようにしているそうだ。

いきなり取られるわけではなく、文書でも知らせが来るので、その間に取引するか解約するなどすれば手数料取られない。

よって、未利用口座管理費を取られるのは、それすら面倒か、解約や取引しようにも、すでに通帳がどこにあるかすらわからないタイプである。

この未利用口座は、手数料により残高がゼロになった時点で「自動解約」されるそうだ。

これを聞いて「損した」と思うのではなく「解約する手間が省けてラッキー」と思うタイプは、口座維持手数料もダラダラ払ってしまうだろう。

情弱とズボラは本当に損をする、生きづらい世の中だ。

マイナビニュース

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