甘味処なのにラーメンがウマすぎる! 新井薬師『富士見野』の「餅入りラーメン」が美味しい理由【東京レトロラーメン探訪】

2023年11月25日(土)10時47分 食楽web


東京・新井薬師の老舗甘味処『富士見野』の「餅入りラーメン」 | 食楽web

 甘味処といえば、あんみつやお汁粉、はたまた団子や大福などが定番メニューですが、今回、注目するのはラーメンです。

 その店を紹介してくれたのは、ラーメンの食べ歩きが趣味で、最近、甘味処のラーメンにハマっているという知人のM氏。彼によれば、「新井薬師にある甘味処『富士見野』のラーメンはウマいですよ。この店に来るお客さんの8割が自家製の“餅入りラーメン”を食べている」と言うのです。

 甘味処でラーメン? ラーメンにお餅? いろいろ不思議ですよね。いったいどんなラーメンなのか確かめるべく、その老舗甘味処『富士見野』に行ってきたので、その魅力をご紹介しましょう。

甘味処が作る餅入りラーメンとは?


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 『富士見野』は、今年で創業89年の老舗甘味処。東京・JR中野駅からブロードウェイを抜け、新井薬師に向かう門前町「薬師あいロード商店街」にあります。

 訪れたのはちょうどお昼どき。店先に置かれた大福やいなり寿司、巻寿司、赤飯などを買いに来るお客さんも多く、昭和の懐かしい雰囲気が漂っています。店内に入れば、お客さんが4組。確かにみなさん、ラーメンを食べている様子。


メニューのほとんどは甘味なのですが……

 壁にあるメニューを観ると、その8割が甘味メニューですが、その中に「ラーメン」を発見。お値段はなんと550円。他にも「大盛ラーメン」650円、「玉子ラーメン」750円、「チャーシューめん」850円などがあります。千円超えも珍しくない令和の時代にあっては、かなり良心的な価格設定と言えるでしょう。

 今回、筆者は知人Mさんが絶賛していた「餅入りラーメン」750円を食べようと思っていたのですが、この店に来る前に、M氏より「自家製のチャーシューも美味しいので、チャーシューメンに餅を入れてもらったほうが良い」とのアドバイスをもらっていたので、それをオーダーしました。

「チャーシューメン」850円に餅(200円)を追加したので、合計1050円です。待つこと10分ほどで登場しました。


「チャーシューメン」850円+餅200円

 上品な醤油色のスープに刻みネギがたっぷり浮かび、焦げ目がついたお餅が4つ浮かんでいます。チャーシューは重みがあるせいか、スープの下に沈没しています。数えてみると5枚ほどありました。他に三つ葉、海苔、ナルトという、昔ながらのシンプルながら嬉しいトッピング。

 まずスープを飲んでみると……それはそれは優しい鶏ガラベースのお出汁の香り。トガった醤油感もなければ、脂の強い主張もなく、スーッと体全体に染み渡っていくような感じです。


中細のストレート麺がまた旨し

 麺は、中細のストレート麺。スープが麺にからみ、つるつると喉越しも良く、ウマいことこの上なし。「しみじみ美味しい」という言葉がしっくりくる、春の海のような穏やかな味わいです。

 そして、気になっていたお餅も味わってみます。餅が入ったラーメンというのは初めてです。しかもこのお餅、自家製の杵つき餅で、注文が入るたびに焼くというこだわりよう。さきほどまでは表面がカリッとしていたお餅が、スープに浸って、とろんとしてきました。美味しそう!


スープが染み込んだ杵つき餅

 この甘味処のこだわりが詰まったお餅、予想はしていましたが、とてつもなく秀逸です。優しい味わいのスープと相まって、思わず天を仰ぎたくなる美味しさ。表面の焼き目が香ばしく、びよ〜んとのびる餅の柔らかさとなめらかさが実に素晴らしい。噛むたびに感動してしまいます。


お餅の美味しさが秀逸!

 さらに、Mさんのお薦めのチャーシューも最高でした。脂のとろんとした感じと、中心のしっかり歯ごたえのあるお肉部分のコントラストが絶妙。しっかり肉の旨味を感じることができます。

 スープも麺も、お餅もチャーシューも、すべてがパーフェクト! 


自家製チャーシュー

 よく “昔ながらの中華そば”という表現を見かけますが、『富士見野』の場合、“昔ながらの丁寧な仕事を手抜かりなくほどこした極上の中華そば”と言えるかもしれません。甘味処がさりげなく当たり前のように美味しいラーメンを出すのが粋ですよね。

 ここ数年、話題になるラーメンといえば、全体的に味が強めで、ビジュアル的にもグイグイくるものが多いですが、正直、そういうラーメンに少し疲れていた筆者は、「こういう実直なラーメンがいいんだよなぁ」と改めて実感しました。


左:「お稲荷さん」3個280円、右:「お赤飯」2個230円

 思わず帰りに、「赤飯」や「お稲荷さん」もお土産に買いました。しっかり甘みとコクがあるお稲荷さんも、もち米の食感や旨味のバランスが素晴らしい赤飯も、「さすが」と唸る老舗の味でした。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:御菓子司 富士見野

住:東京都中野区新井1丁目31−5
TEL:03-3386-5640
営:11:00〜20:00(イートインは12:00〜)
休:月曜

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