【医師監修】妊娠率は年齢とともに下がる!加齢による卵子の変化とトラブルとは

11月26日(火)10時50分 マイナビウーマン子育て

最近、妊娠率が年齢とともに下がっていくことは広く知られるようになってきました。では、年齢を重ねることで卵子にはどんな変化が起こるのでしょうか? 加齢で起こりやすくなるトラブルとともに説明します。

この記事の監修ドクター 産婦人科専門医 齊藤英和先生 梅ヶ丘産婦人科勤務、国立成育医療研究センター臨床研究員、神戸元町夢クリニック顧問、浅田レディースクリニック顧問、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、1 more baby 応援団理事、ウイメンズヘルスリテラシー協会理事。山形大学医学部卒業後、同大学、国立成育医療研究センターを経て現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖専門医、医学博士

年齢ごとの妊娠率

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女性の加齢と妊娠率を考える時にヒントとなるのが、避妊方法が確立していなかった17〜20世紀に女性の年齢と出産数について調べた研究です。

この研究結果では、出産数は30歳からだんだんと減っていき、35歳以降からはさらに出産数が目立って減って40歳以降は激減することがわかっています。この年齢と出産数の変化は、平均寿命が延びた今もほぼ変わりません。

現在、不妊となる人の確率は25歳〜29歳で8.9%、30〜34歳で14.6%、35〜39歳で21.9%、40〜44歳では28.9%と報告されています[*1]。

このことから、30歳頃から不妊症が増えていき、自然に妊娠する確率は減っていくと考えられます。

妊娠率が低下する原因って?

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主な原因は卵子の質の低下

年齢を重ねるにつれて自然に妊娠しにくくなるのはなぜでしょうか。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表した、生殖補助医療で「自分自身の卵子を使った場合」と「若い女性から提供された卵子を使った場合」の結果を見ると、年齢が高くなるにつれて、不妊治療で自分自身の卵子を使った場合の妊娠率や赤ちゃんが生きて生まれてくる確率は低くなっていきます。その一方で、若い女性から提供された卵子を使った場合には、こうした妊娠率や赤ちゃんが生きて生まれてくる確率はほとんど低下しません[*2]。

このことから、「加齢によって卵子の質が低下して妊娠率が低くなっていく」ことがわかります。 なお、年齢を重ねるにつれて卵子の質が低下していく詳しいメカニズムはまだわかっていません。細胞の中でエネルギー調節を行うミトコンドリアの機能が低下することと、卵子の老化とを関連づけている研究結果は報告されています が、より詳しい仕組みはこれからわかっていくはずです。

卵子の質って?

では、卵子の質とはどんなことを指すのでしょうか。

卵子には、形態学的に受精できる「成熟卵子」と受精ができない「未熟卵子」とがあります。未熟卵子がたくさんあっても受精できなくては妊娠できません。そのため、妊娠するには最低限、形態学的に成熟卵子があることが大切なのです。

しかし「形態学的に成熟卵子」がすべて「質のいい卵子」というわけではありません。

質のいい卵子=「形態的成熟卵子」であり、かつ「卵子内のすべての物質が正常である」ということになります。

卵子の数も年齢とともに低下

卵子の数についても知っておきましょう。

卵子は精子のように体内で次々に作られるものではありません。卵子は胎児の頃に早くもお腹の中で作られて、生まれてから補充されることはないのです。

卵子のもととなる卵母細胞が一番多いのは、胎児である胎生5ヶ月頃です。その数は約700万個もあります。卵母細胞の数はその後、どんどん減っていきます。

生まれた時には約200万個になり、思春期には約30万個まで減ってしまいます。さらに、37歳を過ぎるとますます減少していき、卵母細胞の数が約1000個以下になったところで閉経を迎えることになります。

なお、たくさんある卵母細胞は全部が排卵されるわけではありません。一生のうち、実際に排卵する卵子の数は400〜500個だけです[*2]。

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高度生殖補助医療でのケースを除けば、妊娠するためには排卵された卵子が必要です。将来子どもがほしいと考えている人は、ぜひ卵子の数が残っているうちに妊娠をめざしたいですね。

卵子の染色体異常は増加します

年齢とともに変化していくのは、残っている卵子の数だけではありません。卵子の染色体異常も増えていきます。

人の細胞は、それぞれ46本の染色体を持っています。

卵母細胞は卵子になるまでの間に2回分裂して、23本の染色体を持つようになります。精子も23本の染色体を持っているので、受精すると受精卵の染色体は、卵子と精子の染色体の数を足した46本になります。

ところが、卵子が老化すると、卵母細胞から2回分裂して卵子になる時に染色体が分離しない「染色体不分離」という現象が起きやすくなります。染色体不分離が起こると、卵子の染色体は通常よりも1本多い24本や1本少ない22本になります。

これらの卵子が23本の染色体を持つ精子と受精すると、染色体の数が47本、または45本ある染色体異常の受精卵となってしまうのです。

染色体異常の受精卵は発育しなかったり、着床しないことがあります。時には着床して妊娠する受精卵もありますが、残念ながら多くの場合は、その後流産や死産をしやすくなってしまいます。

年齢とともに婦人科系の病気が増加

加齢とともに、女性の体も変化していきます。

年齢を重ねるにつれて、子宮筋腫、子宮内膜症などにかかる確率は増していきます。こうした病気が長く続き悪化すると、卵管やそのまわりの形にも異常が見られるようになることがあります。

年齢とともにかかりやすくなる代表的な病気としては、子宮筋腫があげられます。子宮筋腫が大きくなると、子宮の中に受精卵の着床や成長を邪魔してしまうことがあります。

また、子宮内膜症も年齢とともにかかりやすくなる病気の1つです。子宮内膜症になると、卵管のまわりがくっついて卵管の動きを制限するようになり、卵子が卵管に入れなくなることがあります。また、子宮内膜症によって骨盤の中の環境が悪くなっていると、受精卵が着床しにくくなったり、着床して胚にまで育った後に成長しにくくなることがあるのです。

このように、年齢を重ねるにつれてさまざまな婦人科系の病気のリスクが高まり、ただでさえ低くなっていく妊娠率や出産率をさらに減らしてしまうのです。

胎児や新生児の死亡率も上昇

年齢が上がることで、赤ちゃんの死亡率も上がってしまうことがわかっています。

妊娠22週以降の胎児と生後1ヶ月以内の新生児の死亡率のことを「周産期死亡率」と言います。2017年の厚生労働省によるお母さんの年齢別の周産期死亡率を見ると、20歳代から30歳代前半までは1000件の出産数当たり3.1〜3.3であまり変化はありませんが、35〜39歳になると4.1に上昇します。さらに40〜44歳では5.1、45歳以上では15.7まで周産期死亡率が上がっていきます[*3]。

こうした数値は年度ごとに多少の違いは見られますが、基本的に20歳代〜30歳代前半の周産期死亡率が目立って高くなることはありません。子どもをいつ産もうかと考える時には、こうした年代ごとの確率も参考にしておきたいですね。

妊娠・出産に最適な年齢って?

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20歳代から遅くとも35歳まで

今まで見てきたデータをまとめてみると、生物学的に考えられる妊娠・出産に最適な年齢は20歳代〜35歳までと言えます。

30歳を超えると自然に妊娠する確率はだんだん低くなっていき、35歳頃から一気に減っていきます。さらに45歳を越えると、体外受精や顕微授精をしてもなかなか妊娠しなくなるのです。また、妊娠中のトラブルや周産期死亡率は35歳以降、高くなっていきます。

そのため、自然妊娠をしたいならできるだけ30歳よりも前に妊娠・出産するのがおすすめですし、医療の手を借りる場合にも35歳までに妊娠・出産ができると理想的だと言えます。

個人差はあります!

体の状態には個人差があります。そのため、35歳を越えても妊娠しやすい女性もいるかもしれません。それでも一般的には、加齢とともに妊娠率は下がっていくのです。

さらに子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の病気がある場合は、もともと妊娠・出産しづらいため、より早めに妊娠・出産した方が安心です。特に子宮内膜症になると、そうではない女性に比べて早いうちに卵巣機能が低下していきます。子宮内膜症が見つかったら、かかりつけの産婦人科で妊娠の時期についてよく相談しておきましょう。

ただし、妊娠・出産をして子育てに取り組んでいくためには、今の自分の仕事の状況や相手の男性の状況など、家庭と社会のあり方も考えておく必要があります。 「生物学的には20歳代〜30歳代前半が妊娠・出産に最適」であることを踏まえて、自分の環境やまわりの状況も振り返り、相手の男性にも相談しながら妊娠・出産する時期を考えていきたいですね。また、35歳以上で妊娠を希望している場合は、できるだけ早く生殖補助医療機関に相談しておくと安心です。

年齢と産院選び

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高年出産は産院選びに影響します

35歳以上で出産することを「高年出産」といいます。

これまで見てきたように、女性の年齢が上がると流産しやすくなるなど、出産に伴うリスクが高くなります。妊娠前から持病があったり、妊娠に影響するような前置胎盤などが見られる場合には、特に妊娠中から出産まで注意が必要です。

そのため、高年出産の場合は初めて受診した産婦人科に「地域基幹分娩取扱施設」を紹介されることもあります。「地域基幹分娩取扱施設」とは、総合周産期母子医療センターのようにさまざまな科の専門医がいる病院です。妊婦さんや赤ちゃんが急変しても、集中治療を行ったり新生児専門の医師が対応することができます。

自然なお産が選べないことも

管理されたお産よりも、自然なお産がしたいと思う妊婦さんもいることと思います。

でも、自然は実際には残酷なものです。アフリカなどでは、自然に任せたために死産になったり、出血が止まらなくなってお母さんや赤ちゃんが亡くなるなどのトラブルがたくさん見られます。

高年初産では、産道や子宮口が柔らかくなりにくく、場合によっては帝王切開などが必要になることがあります。

自然なお産ができないと知って気を落とす妊婦さんもいるかもしれませんが、妊娠・出産で何よりも大切なことはお母さんと赤ちゃんの命を守り、元気に自宅に帰るために必要なことです。リスクの高い高年出産では、おしゃれや楽しみ以上に、ぜひ安全性を優先させていきましょう。

まとめ

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これまでの調査結果から、女性は年齢を重ねるほどに妊娠しづらくなることがわかってきました。年齢とともに妊娠率が下がってしまう主な理由は、卵子の質の低下です。さらに、年齢とともに卵子の染色体異常は増えていき、胎児や新生児の死亡率も増加していきます。婦人科系の病気も増えて妊娠・出産のトラブルに合いやすくなっていくのです。生物学的に見ると、最適な妊娠・出産年齢は20歳代から35歳。35歳以降は高年出産となり、妊娠・出産のリスクが高くなっていきます。さらに持病のある人は妊娠しづらくなったり、妊娠・出産時のトラブルが起こりやすくなります。若くてもなかなか妊娠しなかったり、35歳以上で妊娠を希望している場合は、生殖補助医療施設で診てもらうと安心です。無事妊娠したら、自分の年齢に対しての妊娠・出産のリスクを考えて、適切な産院選びを心がけたいですね。

(文:大崎典子/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

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