自然淘汰は嘘?「キリンの首は徐々に伸びた説」が見直される

11月28日(木)16時0分 NEWSポストセブン

進化やDNAに詳しい今泉氏(撮影/平野哲郎、キリンの写真/AFLO)

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 シリーズ累計売り上げ350万部を超える大ベストセラーとなっている『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)。同シリーズの監修を務める動物学者・今泉忠明さんは、昨年全国12万人の「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(ポプラ社主催)では堂々の1位に輝いた。


 そんな今泉さんに、動物の進化や寿命について訊いた。


◆“親のクセ”は子供にうつる!?


 進化の歴史において、生き残って子孫を残したのはより優れたものだといわれている。それを「自然淘汰」という。野生動物たちは生き残るためこれからも進化を続けていくが、私たち人間は今後どのように進化するのだろうか。今泉さんはこう話す。


「医師が寿命を延ばしてくれる人間には、自然淘汰の原理は働きません。“最大の家畜”は、豚や牛ではなく人間なのです。極度の飢えや外敵の存在に怯えることがなくなった今、極端な話、戦争でも起こらない限り、人間が身体的に進化することはもうないと考えられています。


 人間のDNAは2%程度しか調べられていませんが、残りの98%の一部にDNAスイッチというのがあり、極限状態で切り替えがされるという説があります。つまり、生きている過程で得た能力が、スイッチONになると、子に遺伝するということ。それが本当ならば、自然淘汰説を唱えたダーウィンの進化論が否定されるので、大変なことです」


 ダーウィンよりさらに昔、ラマルクという生物学者は、「キリンの首はだんだん伸びた」と説いた。首の短いキリンが高所にある葉っぱを食べようとし、その“学び”が子孫に伝わったのではないかという説だ。長く否定されていたが、近年、新たな研究により見直されている。


「線虫(植物などに寄生する数mmの虫)の研究で、学んだことが子孫に遺伝するという結果が出ています。“右へ向かうと食べ物にありつける”と教えた線虫は、子孫も自然と右方向へ行く“クセ”がついているんです。となると、親が一生懸命勉強をしたら、その子はその頑張りを受け継ぐかもしれない。鳶が鷹を生むことは、努力しだいで可能かもしれないということです」


 まだ線虫でしか判明していない結果のため、それがほかの動物にも当てはまるのかはわからない。しかし、自分が学んだことが後世に伝わる可能性は決してゼロではないのだ。


◆寿命がないと絶滅する


 地球には、不老不死と呼ばれる生物も存在する。そう聞くとうらやましさを覚えるが、今泉さんは「寿命」のある素晴らしさを語る。


「ベニクラゲは現存の生き物として唯一、寿命で死ぬことがありません。年を取ると体が変形して、赤ちゃんに戻る。ただし、もちろん魚に食べられれば死にます。


 生命が誕生した時は、おそらく、どの生き物もベニクラゲのように寿命がなかったと思われますが、それでは大きな環境の変化があった時、適応できない個体だったら種が全滅してしまう。しかし寿命があって、それまでと違った新しい形質を持った子孫を残すことができれば、変化する環境に適応できて生き延びるかもしれない。進歩は寿命のおかげなのです。そう考えれば、寿命は決して怖いものではありません」


 今泉さんは、人間も「いきもの」の一種だということをつねに忘れないでほしいと話す。特別な存在ではなく、「ざんねん」な経験も糧にして生きている仲間なのだ。


※女性セブン2019年12月5・12日号

NEWSポストセブン

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