BLにラノベ風、『鬼平犯科帳』ポスターが話題 既存読者のネガティブな反応に出版社「アンチが出てきてこそ」
2018年11月29日(木)13時31分 キャリコネニュース
時代劇漫画『劇画 鬼平犯科帳』の25周年を記念したポスターが話題を呼んでいる。11月27日にキャンペーンを開始すると、ネット上で「斜め上過ぎる」「最高だな」などの反応が相次いだ。
ポスターは、少女漫画・ラノベ・BL・ハリウッド風の4種類と、池袋版、秋葉原版を合わせ全部で6種類。少女漫画の表紙風ポスターでは鬼平の周りに花びらが舞い、帯には「超絶エリート、しかも妻ラブ。お江戸のスパダリ(編注:スーパーダーリンの略)に萌えませんか」の文言が並ぶ。
ラノベの表紙を思わせるポスターでは、タイトルがひらがな4文字で「おにへい!」、サブタイトルが「俺の剣がチートすぎて今日もお江戸が平和な件」、帯に「ツンデレ美少女はいませんが、俺TUEEEEEEEは味わえます」と、ラノベの「あるある」を詰め込んだ形だ。
「時代劇に興味のない、若い世代をターゲットにした」
同作は、池波正太郎さんの時代小説を原作とした漫画。火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公にした物語で、絵は『ゴルゴ13』などの代表作があるさいとう・たかをさんが描いている。
ポスターは作品のイメージとだいぶかけ離れているが、リイド社の担当者はあえてそうしたと明かす。
「これまでの広告・宣伝は、メインの読者層である50代〜70代に合わせて固めの感じにしています。今回はその真逆を目指し、これまでにやっていないことをやろうと考えました。時代劇に興味がなく、それこそ『ゴルゴ13』もうっすらとしか知らないような若い世代に目を向けてもらい、作品を後世に残そうという思いで作りました」
元々は、11月27日からユーチューブで公開されているウェブCMがメイン、ポスターはサブの位置付けだったという。ポスター画像に目をつけたツイッターユーザーのツイートは29日13時時点で、2万件以上のリツイートがされている。一方、動画の再生回数は同時点で9000回程度。ポスターとの注目度に若干差がある。これについて担当者は、
「動画にも注目してほしい気持ちはあるが、動画もポスターも、既存読者層以外に広めようと思って始めたもの。メインがサブに食われた形ではありますが、結果的には良かったと思います」
と語っていた。
池袋版・秋葉原版は「実際に書店で見られたらレア」
ポスターのデザインは思い切った挑戦だったようだが、既存の読者からのネガティブな反応は少ないという。
「電話はありませんね。主な読者層はネットをあまり見ないだろうという見立てだったので、想定通りです。ツイッターでは『こんなことしなくても』『やり方の方向性が間違っている』などの声は見ましたが、こうした宣伝はアンチが出てきてこそだと思うので、見ていただいてありがたいと思っています」
ポスターは今後書店に送られ、12月以降、各店舗で掲出される予定だ。掲出の最終的な判断は各書店によるものの、話題になったこともあり、見る機会は多そうだ。
ちなみにリイド社の担当者によると、若い女性を主なターゲットにした池袋版と、男性をターゲットにした秋葉原版は、それぞれ20枚しか印刷していないとうい。書店も数店舗にしか送っていないので、「肉眼で見ることが出来たらレア」だと話していた。
ツイッターでは、ポスターのプレゼント企画も行っている。12月11日までに同社広報アカウントをフォローし、リツイートした人が対象。当選者は後日、リプライで連絡される。