薬の副作用 肝機能障害、アナフィラキシーが多くなる理由

12月1日(日)16時0分 NEWSポストセブン

血圧降下剤などの重篤な副作用

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 あなたの健康を守るはずの「薬」が、かえって命を脅かすケースがある。銀座薬局の薬剤師・長澤育弘氏が警鐘を鳴らす。


「広く使われている薬のなかにも、『命にかかわる副作用』が出ることはあるのです」


 医薬品の副作用は、薬が病院や薬局に納品される際についてくる医薬品添付文書に記載される。しかし、発売後の薬を服用した患者に副作用が出た場合、その薬を製造した製薬会社や医師などが厚労省に報告しなければならないと法律で定められている。その情報は所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が精査して、必要に応じて国が添付文書の改訂を製薬会社に指示する。一連の副作用が疑われる症例に関する情報はPMDAのホームページに公開されている。


 こうしたデータを通じて、すべての薬を俯瞰して副作用が疑われる症例を眺めると(表参照)、「肝機能障害」の多さに気づく。


「肝機能障害のほとんどは薬物性肝障害だと思われます。そもそも体内に入った薬は肝臓などでその有効成分が分解されて徐々に薬効を失いますが、肝機能が弱っている人はその際に肝臓が処理しきれず急性肝炎を発症することが多い。すると高熱が生じて動けなくなり、救急搬送されるケースがあります」(長澤氏)


 肝臓の疾患で怖いのは、肝細胞の壊死などが急激に進む「劇症肝炎」だ。


「発熱や食欲不振が起きて皮膚が黄色く変色します。1度発症すると7〜8割が命を落とすとされる病気です」(長澤氏)


 PMDAのデータベースでは降圧剤の「オルメサルタンOD」、血管拡張剤の「アムロジピンOD」「コニール」を服用した高血圧患者が劇症肝炎を発症していた。


「アナフィラキシー」「ショック」という症例も多くの薬で散見された。


「薬を“異物”とみなして身体が拒否反応を起こしてしまう、アレルギー反応の一種です。老若男女問わずどんな飲み薬でも起こる可能性があり、中には命に関わるケースもあります」(長澤氏)


 どんな薬でも服用すれば、副作用のリスクがあり、たとえ確率は低くとも死に至るケースもある。


 不要に飲む薬が増えてしまっていないか、医師や薬剤師など専門家のサポートを仰ぎながらチェックしていくことが、思わぬ死のリスクを避けることにつながる。


※/表は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する「副作用が疑われる症例報告に関する情報」データベースに掲載された、副作用・有害事象が疑われる症例報告から、薬剤師・長澤育弘氏監修のもと事例を抜粋(同じ有効成分の薬における症例を含む)。同データベースの死亡例には調査の結果、薬との因果関係が認められないものも含まれるが、それらは表には掲載していない。掲載した医薬品は、長澤氏協力のもと、中高年世代が副作用に注意すべき薬の分野を限定した上で、厚生労働省「第4回NDBオープンデータ 内服薬 外来(院外)」(2017年4月〜2018年3月)から、60歳以上男性への処方量が多い上位145の薬を掲載した(PMDAに報告された症例がない薬を除く)。

※1/添付文書に掲載されていない有害事象が発症した事例。

※2/2017年6月16日付で名称を『ニコランジル錠5mg「トーワ」』に変更。

※3/2018年6月15日付で名称を『フロセミド錠20mg「武田テバ」』に変更。

※4/2017年8月15日付で名称を『クエンメット配合錠』に変更。


※週刊ポスト2019年12月6日号

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