自称「いけてる人」と本当に「いけてる人」の習慣 第5回 上司が動かなくて困る! コンプライアンス都合よく解釈野郎

12月5日(木)7時36分 マイナビニュース

こんにちは、人事・戦略コンサルタントの松本利明です。私は戦略人事のコンサルタントとして25年以上「働き方や人事」に関するコンサルティングを行い、5万人のリストラと6,500名以上のリーダーの選抜をしてきた『人の「目利き」』と言われています。

最近、驚くことが増えました。本人は「周りに気を使い、慕われ、優秀な俺」と思っているけれど、周囲からは「勘違い野郎」と評価されている人が繁殖しています。特に令和になり、その傾向が顕著になりました。

ややこしいのは「本人は悪気がなく、よかれ」と信じ切っていることです。いわばグレーゾーンの範囲なので周りは指摘しづらい状況なので本人は気付きません。なので、うっかりするとあなたも「悪気がない困ったちゃん」の仲間入りを仕掛けているかもしれません。

本連載では、「悪気のない困ったちゃん」のパターンを知り、そこから抜け出すヒントを解説します。

○動かざること山のごとし野郎

「動かざること山のごとし野郎」とは、「コンプライアンス」を都合よく解釈したもので、リスクが全部潰れるまで何もせず動かないタイプのこと。確かに、日産をはじめ、企業不祥事の報道は後を絶ちません。企業のガバナンスが機能せず、コンプライアンスを重視することは極めて今日的テーマであることは間違いありませんが、ここを勘違いしているのです。

自らの保身だけではなく、「部下が傷つかないようにしたい」という愛情深い場合もあるので余計にややこしいのです。
早速例を見てみましょう。
○一言や態度のグレーゾーンはここだ

この一言を言われたら、あなたは付いていきたいと思いますか?
○(1)「確実に成功する保証はあるのか?」「リスクはゼロなのか?」

万に一つのリスクまで考えている間に時間だけが過ぎていきます。チャンスを逃すことになりかねません。ミスやトラブルが発生するリスクを最小限に抑えたいという気持ちはよくわかりますが、100%確実に物事が進むのであれば、そもそも上司の判断はいりません。そこまで確実なら機械に置き換えた方がコストも安く生産性も落ちません。しかし、上司にはそう言えません。
○(2)「前例はないのか?」「他社事例はないのか?」

保守的な組織かつ、仕事ができないおじさんほど、前例を気にします。うまくいったという事例を集めることで、今回も成功するという根拠にしたい気持ちは分かりますが、同じように進むほど、企業を取り巻く環境は甘くないのが実情です。

変化が激しく、前例がないことでも取り組まなくてはいけないことはよく発生します。前例がないか弱い場合、「前例おじさん」は次に「他社事例」を求めてきます。残念なことに他社と自社は違います。他社の成功事例が自社でも成功するとは限りません。

セブンイレブンによる高品質なPB食品の成功事例を、他のコンビニでも同様に展開しても、「確実に成功」するわけではないことは分かるでしょう。セブンイレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル含めたセブンアンドアイホールディングのノウハウ、知見、規模を駆使して初めて実現できています。

今の企業は自社の強み(コア・コンピタンス)を生かした戦略を取っているので、他社事例を集めれば集めるほど、その差が浮き彫りになるだけです。
○(3)「我が社では時期尚早ではないのか?」

(2)を繰り返し、分析を重ねた結果「我が社では時期尚早」という、問題先送りにします。動かざること山のごとしタイプは「時間や周りが解決してくれる」という問題解決をはかる傾向が高いのです。まさに動かざること山のごとしですが、単にサボっているケースもありますが、本当に心配性でリスクを潰そうと分析しまくり、無限ループに陥ることもあります。

遅刻の言い訳を考えると、数限りなく言い訳を思いつくのと一緒。リスクを全て洗い出そうとすると、きりがなくなります。リスクとリスクのつながりなど、無限の組み合わせが発生するので、何も判断できなくなってしまうのです。
○上司を動かす3つのコツ

いかがでしたか。動かざること山のごとし野郎を動かすのは至難の業にみえてきますが、動かすにはコツがあります。「同じレベルで問答」してはいけません。なぜなら、同じ土俵なら、上司には負けるからです。戦い方をズラしましょう。方法は3つです。

1つ目は、「もっと上の役員に守ってもらう」です。正攻法ですが、動かざること山のごとし野郎には一番効果あり。責任の所在が自分から役員に移るからです。そして、動くのは部下で責任は役員になるので、自分は動かざること山のごとしのままでいられます。部下にとっても、役員の目が光っているので、成功後に上司による手柄の横取りも起こらず安心です。

2つ目は、新規事業などの取り組みになりますが、先に顧客を連れてくるのです。顧客を見つけてきて、「あなたは、このお客を失うリスクの責任を取るのですか?」と詰めればぐうの音も出ません。あなたの勝ちです。

論点が「やる/やらない」ではなく「顧客を失う/失わない」に移り変わるからです。当然、顧客を失わない方が強い社内インパクトを与えます。なぜなら、顧客がいるのに「やりません」では社内だけでなく、社外に与えるマイナスインパクトはコントロールできず、自社の信頼問題になるからです。

最後は、急がば回れ。「逃げる」ことです。本質を理解せず、できない理由ばかり挙げる上司の下ではどのみち「失敗は確実」です。運がいいことに、組織の中にはあなた以外のメンバーがいます。

先に逃げれば、誰かが変わりにその役目を担うことになります。キーは、その仕事より、もっと重要で緊急な仕事を入れること。上司はリスクがより低い方を選ぶので、自分が指示した仕事より、もっと重要で緊急な仕事を優先させてくれること確実です。

そして、あなたが担当を外れることを後ろめたく思う必要はありません。自分より、その仕事に適した人にバトンタッチしたと割り切りましょう。組織の中は持ちつ持たれつ。後任には、別機会でフォローしてあげて帳尻を合わせれば、チームの和にひびが入ることはないので、ご安心を。

○筆者プロフィール: 松本利明
外資系大手のコンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパルを得て現職。世界を代表する外資系や日系の大手企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。5万人のリストラと6,500名以上のリーダー選抜・育成に従事した「人の『目利き』」。英国BBC、TBS、日経、AERA等メディア実績多数。『「いつでも転職できる」は武器になる』(KADOKAWA)などはベストセラー。

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