鍋、和食、天ぷら… 珠玉の一皿を供する5人の女性料理人

12月5日(木)7時0分 NEWSポストセブン

『ビストロ コロリス』の川瀬彩さん

写真を拡大

 いまだ男社会の料理界にあって、高い志と温かいおもてなしの心で珠玉の一品を供する女性料理人たち。言葉にできない悩みや苦労を乗り越え、今日も店に明るい灯をともす5人のマエストロが愛情のこもった一皿を供してくれた。


●「手作りにこだわった料理を、自信を持って提供させていただく」 『ビストロ コロリス』 川瀬彩(40)


 創作メニューから本格的なフレンチまで、旬の食材を使った深い味わいを堪能できる「ビストロ コロリス」。店名の「コロリス」はフランス語で「色」「彩り」を意味し、オーナーシェフを務める川瀬彩さんの名前と、目にも美味しい色鮮やかな料理に由来している。


 川瀬さんはイギリスの料理専門学校を卒業後、フランス全土をくまなく食べ歩き、世界的なソムリエとして知られる田崎真也さんが経営するフレンチレストランやホテルオークラ日本橋などで修業を積んだ経歴を持つ。華やかな料理の数々は、いずれも味わい豊かな逸品ばかりだ。


「食材は知り合いの農家の方から、その時期の最も上質なものを仕入れています。そのうえで、手作りにこだわった料理を、自信を持って提供させていただいています。一度来店されたお客様が常連になってくださるように、サービスにも誠心誠意努めています」


 営業時間は昼と夜の2部制で、ランチには1360円という低価格のコースメニューもあるので、普段使いとしても気軽に利用できる。


・住所:東京都新宿区西新宿7-16-1 第三歯朶ビル1F

・営業時間:11時半〜15時、17時半〜22時

・休:日・祝(パーティー予約は営業)※ランチメニューは「LUNCH A」(1360円)から「LUNCH SP-2」(5550円)まで5つのコースが用意されている


●「料理とは食材のいいところを伸ばし、悪いところを隠してあげる作業なのです」 『割烹智映』 北山智映(39)


「割烹智映」では、刺身に醤油やわさびが添えられずに出てくることも珍しくない。


「料理とは、食材のいいところを伸ばし、悪いところを隠してあげる作業なのです。さらにいえば、ひと口で食べられるように調理するのが日本料理の“おもてなしの心”であり、そこまで考えて取り組むべきだと思います。たとえば、選んだ魚にわさび醤油がベストだと思うなら、わさびと醤油を溶いてあえるといったように、完全に計算されていないと魚の味は引き出すことはできません」


 日本料理の基本を徹底的に学んだ北山智映さんは、魚本来の美味しさをどうしたら生かすことができるかを考え抜き、既成概念にとらわれない調理方法を編み出して、食材に合った独創的な料理を供している。


「料理は舌の味蕾(みらい)だけで感じるものではありません。たとえば、うら寒い晩秋には、炭で炙ったウルメイワシに熱燗などが美味しいように、食というのはコミュニケーションツールだと思います。料理の先に伝えたいことがある。それは季節の移ろいや日本の豊かさ、情緒だったりするのです」


・住所:東京都中央区銀座7-7-19 ニューセンタービルB1F

・休:無休(完全予約制)

※料理は1万7600円のコースのみで、先付、前菜、お椀、お造り、珍肴、焼き物、煮物、寿司(5貫、1巻)の8品。締めの寿司も、銀座の一流寿司屋と比べて引けを取らない。●「いつ来ていただいても、同じ味を楽しめる食事処でありたい」 『御料理山さき』 山崎美香(55)


「季節によって使う野菜が変わることはありますが、“あのとき食べたあの味”を思い出して訪ねてきてくださるお客様の期待を裏切りたくないので、料理は開店当初から大幅に変えるようなことはしていません。いつお店に来ていただいても、同じ味を楽しめる食事処でありたいと思っています」


 そう語るのは江戸料理の名店として知られる「山さき」で腕を振るう山崎美香さん。大塚にあった老舗江戸料理店「なべ家」での約8年の修業を経て独立した山崎さんは、わずか5年目でミシュランの星を獲得。その後も連続して星を獲得し続けた凄腕の料理人だが、驕ることなく今でも誠実な態度で自分の料理と向き合っている。


 秋から春にかけての名物は「ねぎま鍋」で、黄金色の出汁と季節の野菜がまぐろの旨味を際立たせる。


「まぐろは本マグロかインドマグロの背トロと大トロで、野菜はネギ、セリ、クレソン、ウド、ワカメです。一番美味しいタイミングで食べていただきたいので、テーブルごとにお給仕がついて取り分けさせていただいています」


・住所:東京都新宿区神楽坂4-2 福井ビル2F

・営業時間:18時〜22時(最終入店 20時)

・休:日・祝(完全予約制)※料理はすべてコース。ねぎま鍋のほか、冬は合鴨巖石鍋(9900円)、寄せ鍋(1万2100円)、ふくちり(1万7600円)も。当日キャンセルは100%のキャンセル料。中学生以下は入店不可


●「職人でいる間は納得してはいけないものだと思っています」 『天茂』 高畑粧由里(55)


 天ぷらの名職人と謳われた倉茂富夫さんが1964年に創業した老舗で、現在は跡を継いだ一人娘の高畑粧由里さんが2代目店主として揚げ場に立つ。高畑さんは以前、中高一貫校の英語の教師をしていたが、30歳のときに富夫さんが病に倒れたことを機に店を継ぐことを決意。教師の傍ら富夫さんの厳しい指導の下、本格的な修業をはじめ、33歳で正式に2代目となった。以来、多くの天ぷらファンの舌をうならせている。


「20年以上揚げ場に立っていますが、納得できる揚げ方ができているかというと、そんなことはありません。3年くらい経ったときでしょうか、おぼろげながら自信を持つことができ、10年くらい経ってようやく父の天ぷらに近づけたかなと思えるようになりました。でも、職人でいる間は納得してはいけないものだと思っています」


 営業時間は昼と夜の2部制で、ランチメニューは天丼とかき揚げ丼の2種類(ともに1400円)。夜はおまかせコース(7700円)のみで、江戸前のネタと季節の野菜に加え、シメには天茶漬けか天丼のいずれかが味わえる。


・住所:東京都港区赤坂3-6-10 第3セイコービル2F

・営業時間:11時半〜14時、18時半〜22時

・休:土・日・祝


●「高校生のときには『いつかはカレー屋を開く』と決めていた」 『SPICY CURRY 魯珈』 齋藤絵理(35)


 大学卒業後、カレーハウスCoCo壱番屋への就職が内定していたが、辞退して25歳までと決めてプロのダンサーになったという意外な経歴の持ち主


 2017年、「SPICY CURRY 魯珈(ろか)」の店主・齋藤絵理さんは、『JAPAN MENU AWARD』の3つ星を2年連続で受賞するとともに、日本カレー界の最高権威である『Japanese Curry Awards』の新人賞に輝いた。開店からわずか2年の快挙で、晴れて名店の仲間入りを果たした。


 食通の両親の下、幼少期から食べ歩きを共にするなかで本格カレーに強く惹かれ、高校生のときには「いつかはカレー屋を開く」と決めていたという。


「大学在学中はダンス漬けの毎日。卒業後も25歳までと期限を決めて、プロのダンサーとして活動していました。でも、カレーへの思いが断ち切れず、ヘルシーでスパイシーな南インド料理店『エリックサウス』で7年間修業した後、2016年12月にこの店を開くことができました。大久保を選んだのは、インドやネパール系のハラル(※イスラムの教えで許されている食品)を扱う店が多く、フレッシュなスパイスが仕入れられるからです」


 看板メニューはカレーと台湾料理の魯肉飯を合いがけした「ろかプレート」。それぞれの味を堪能した後、混ぜ合わせることでコク深い旨味が楽しめる。


・住所:東京都新宿区百人町1-24-7 シュミネビル 1F

・営業時間:11時〜15時(月・水・金)、11時〜14時/17時〜20時(火・木)

・休:土・日・祝 ※入店の待ち時間を短縮するため記帳制を採用。持ち帰り弁当は、閉店後と当日の7時半〜10時半に予約可


◆撮影/中庭愉生、岩本 朗 取材・文/左古文男


※週刊ポスト2019年12月13日号

NEWSポストセブン

「料理」をもっと詳しく

「料理」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ