ハグ強制はOK?「逃げ恥」で注目される「契約結婚」…普通の結婚と法的に何が違う?

12月7日(水)20時50分 シェアしたくなる法律相談所

今期放送中のドラマの中でも、もっとも話題となっているラブコメディ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)がいよいよ最終回(12月20日)を間近に控えています。


このドラマで「恋ダンス」とともに注目されているのは、その設定です。主人公のふたりが「夫(津崎平匡)=雇用主、妻(森山みくり)=従業員」の雇用関係で「契約結婚」するというものですが、法的には本当に成立する内容なのでしょうか?


*画像はイメージです:https://pixta.jp/


■契約当初のみくりさんたちの「契約結婚」は、事実婚にあたるのか?

事実婚というのは、「社会観念上夫婦となる意思をもって夫婦共同生活を送っているが、婚姻の届出を欠くために、法律婚とは認められない男女の関係」のことをいいます。要は、世間的に見て夫婦になるつもりで一緒に暮らしているけど、婚姻届を出していない関係のことを事実婚といいます。


契約当初のみくりさんたちの「契約結婚」についてこれをみると、みくりさんたちは家事代行サービスのために同居しているだけであって男女の関係も全くないわけですから、世間的にみて夫婦となるつもりで一緒に暮らしているとはいえません。


よって、契約当初のみくりさんたちの「契約結婚」は事実婚といえません。


それでは、みくりさんたちの「契約結婚」はどのような契約なのでしょうか?


みくりさんたちの契約は、「契約結婚」といいつつ、家事代行サービス+みくりさんが世間的に妻として振る舞うことを目的とした民法に載っていない契約といえそうです。


 


■「ハグ」を強制できるのか?

みくりさんたちの契約は、契約当初、かなりドライな契約でした。しかし、みくりさんも平匡さんは一緒に暮らしていくうちに週一回の「ハグの日」を決めたりしているように、その契約内容はウエットなものに変化していきます。


それではドラマとは違って、仮にみくりさんや平匡さんの関係が悪化し、みくりさんが「ハグの日」にハグを拒絶した場合、平匡さんは、みくりさんとの「ハグ」の履行を確保するために、裁判所の力を借りて、「ハグ」の強制をできるのでしょうか? 結論からいうと、強制できません。


また、お金の支払いを命じることで心理的に圧力を加えてやらせるやり方(間接強制)で「ハグ」を強制するのはどうでしょうか? これも人格を不当に圧迫し、人格尊重の理念に反する場合、間接強制は認められません。


そして、「ハグ」を強制することは人格尊重の理念に反しません。よって、間接強制で「ハグ」を強制することもできません。


 



■幸せな結婚生活を送るための「婚前契約」?

ドラマの最終回に向けて、これからのみくりさんと平匡さんの関係がどうなっていくのでしょうか? 二人は結婚するのか、それとも…?


仮に二人が結婚するとして、幸せな結婚生活を送るための「婚前契約」はあるのでしょうか?


一つの手段として、夫婦財産契約をすることが考えられます。夫婦財産契約というのは、結婚中に得た財産が誰のもので、誰が管理し、どのように処分するか、結婚中の債務は誰が負担するか、離婚する場合の財産の清算をどうするかといったことを決めるものです。


ただ、夫婦財産契約の内容は、婚姻の届出をする前に契約をして登記所に届け出ないといけなかったり、婚姻中は原則変えられなかったりするという非常に使いにくい制度となっています(1年に2件程度)。


 


■夫婦財産契約が締結されなかった場合はどうなるの?

みくりさん達が婚姻の届け出をする前に今お話した夫婦財産契約を締結しなかったときには、自動的に法定財産制度(民法760条以下)が適用されます。


それでは、みくりさんと平匡さんの夫婦仲が悪くなり別居した後、平匡さんが生活費を支払ってくれなくなった場合、どうなるでしょうか。


別居していても結婚し続けているのですから、みくりさんは平匡さんに対して婚姻費用の分担を請求することができます(民法760条)。


婚姻費用の額、支払方法は、まず夫婦の話合いで決めます。婚姻費用の分担について平匡さんと協議ができないとき、又は協議が整わないときは、平匡さんの住所を管轄する家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることができます。


調停における合意が難しいときは、さらに審判に移行することになります。


 


■弁護士から一言

仮にみくりさんたちとの「契約結婚」が、事実婚だった場合、婚姻費用分担義務のような法律婚の効果が準用されます。


事実婚で別居後、パートナーが生活費を支払ってくれなくなりお困りの方や、法律婚をされている方で別居後、夫が生活費を支払ってくれなくなってお困りの方は、弁護士鈴木謙太郎にご相談ください。


 


 


*著者:弁護士鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)


【画像】イメージです


*wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)

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